六甲山の自然観察を楽しむ’16.1.10

 新神戸駅-徳光院-雷声寺-旧摩耶道-行者茶屋跡-青谷道-妙光院-王子公園駅

 今回は「六甲山自然案内人の会」主催の観察会を楽しんできました。とりもなおさず知り合いの方がガイドをされて多くの参加者へ素晴らしい案内をしていただいているのを初めて拝見し、びっくりポンと感動の一日となったのでありました。ガイドさん、大変お疲れ様でしたとともにありがとうございました。

 さて、最初は歴史的なお話からでした。神戸の造船業界で大活躍だった、川崎造船所(現川崎重工業)の創始者,川崎正蔵翁によって開基された大圓山徳光院の話を詳しく聞かせていただけました。また、解説によれば、大圓山徳光院は、明治39年(1906年)の創建であり、禅宗の一派、京都嵯峨の臨済宗天龍寺派に所属し、夢窓国師の法灯を掲げるとのことでした。

 まずは、修復で鮮やかな朱色に蘇った朱楼門について、次のような説明がありました。「明治40年、播州より移築した朱楼門であり、鬼瓦に明和3年の文字があるところから見て、その頃の建立と思われ歴史的にも相当な遺構のようです。 」


朱楼門

 続いて境内の本堂に多宝塔、鐘楼と経蔵等についても解説いただけました。本堂に掲げられた山号の額は、明治期に内閣総理大臣を二度も務めた松方正義の揮毫によるもののようです。そして川崎正蔵は松方正義の三男の松方幸次郎に川崎造船所の社長の座を譲ったとのことです。
 また、多宝塔は国の重要文化財の指定を受けているようです。説明によりますと室町中期、文明五年から文明十年にかけて、市内垂水区名谷の明王子に建立されたものを、明治33年に川崎邸に移築したのであり、これをこんどは昭和13年に現在地へ移築したとのことでした。この多宝塔は兵庫県下最古のもので、神戸市内では唯一の多宝塔であり、再度の移築、修理にかかわらず、よく当時の姿をとどめ、中世の様式、技法を知る上で貴重な遺構であるとのことです。

     
扁額には「 大圓山」とあり    室町時代の多宝塔

 説明の中にもありました、NHKの朝ドラ「あさが来た」の五代さんも、こちらの徳光院を開基した,川崎正蔵翁がつながりもあってと具体的な話しを聴かせていただき、参加者のみなさんも楽しく聞いておられたようでした。このように誰でもが関心ある話題でのガイド手法も勉強になったのでした。

 続いてやや急な道を登り、雷声寺墓地へ上がって街の向こうの海を眺めながら一本たてましょう。それからも急な登りでしたでしょうか。山道に入ればいろいろな樹木観察となりました。当方のフイールドと若干異なります。他所のエリアに行けばこれがいい点なのです。赤い実を残すイヌマキに庭木の女王ともいわれているモッコクから始まりました。

 中でも普段あまり見れないカゴノキが一杯で出てきました。それにシャシャンボもいろいろありましたが、わたしの所では自然種を見る箇所は少ないので、これだけ太さの違う本数があればうれしくなります。この二種は我が方では植栽以外、自然の名においては、ほとんど会うことが少ない種ですから、やっぱりうれしくなっちゃいましたネ・・。

     
 上の方の木から枝をいっぱい伸ばして   登山道の上に横たわったままで生きて 
カゴノキ(クスノキ科) 木肌が剥がれ落ち、その後が白い鹿の子模様になることからの名があり

 

     
 細い薄片が剥がれると木肌が赤っぽい    高くなってもせいぜい5mくらい
シャシャンボ(ツツジ科) 丸い小さな実が多くつく様子を小さな坊や「小小ん坊」がなまったとの謂われ 

 さぁ、これ以外はわたしのフイールドでも沢山見られます。でも、相対的に六甲山の木々は個体が太いものが多くありました。これだけ太い本数の森にはポンポン山や愛宕山は負けていると思って歩いていました。こんなことも頭に描きながら進みます。
 昭和35年代といわれていますね、日本の燃料革命があったといわれているのは・・・。六甲の山域周辺の暮らし向きが違っていたのでしょうか。そりゃ、そうでしょう。外人さんの生活が多かった神戸のことですから、そのようなこともあながち考えられないこともないでしょう。それは、 山麓のタキギを集めて米や風呂などの燃料にしていた生活は、こちら神戸方面ではずっと早くに切り上げて、油や、はたまた電気、ガスに変わった生活様式となっていたのでしょう。

 では、特に目についたのは、太い木が沢山あったムクノキ(ニレ科)で、普通高さ20m、直径1mほどになる落葉高木です。

     
 これは成木で肌がきれい   古くなると板根状になるのも特徴 

 

     
 イヌシデ(カバノキ科)  ヤブニッケイ(クスノキ科)  アカガシ(ブナ科)
 太い木が多かったがアカシデは見なかった・・ この木は我が方では見れない   これも太いのが多くあり

 タラノキの葉痕も普段、背が高く、刺が多くて手で掴めないのですが、小さいタラノキ(ウコギ科)が初めて撮れましたが維管束痕ははっきりと写っていませんね。ピンボケが残念でした。ちなみに図鑑によれば葉痕はV字からU字形とありますが、これはU字形に見えますね。そして細かく小さな維管束痕はほとんど見えませんが、図鑑では30~40個もあるようです。

 花はモチツツジがもう咲き初めとなっていましたが、植栽のロウバイや梅の開花はこの時期でいいでしょう。

     
ソシンロウバイ(ロウバイ科)     ウメ(バラ科)

 オオツルウメモドキは山中で、それに人里でウンナンオウバイと説明を聞いたのですが、今後はそれぞれ花時に意識したく思います。オオバノイノモトソウ、マメズタ、ミツデウラボシなどのシダ類も話しが聞けました。

 他に気のついた種は次のようなものでしたでしょうか、いえ、ありすぎてとても書ききれません・・・。

ツタウルシ、クマノミズキ、アラカシ、イヌビワ、エノキ、ネズミモチ、モチツツジ、アベマキ、クヌギ、コナラ、イチヤクソウ、ネジキ、ニセアカシア、ヤマモモ、クロガネモチ、ヤブツバキ、ナワシログミ、イボタノキ、マユミ、テイカカズラ、アオキ、ヒサカキ、オオバヤシャブシ、ヤマザクラ、ヤマコウバシ、シキミ、ハリギリ、ネムノキ、ムラサキシキブ、カラスザンショウ、ヤツデ、アセビ、シロバナウンゼンツツジ、コアジサイ、イヌガヤ、ウリカエデ、センダン、ツルアリドオシ、ヒイラギ、リョウブ、ヒノキ、アカマツ、ミツバベンケイソウ、イタビカズラ、ツワブキ、ハンショウズル、ヤマホロシなどなど・・

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