余呉思わぬ横山岳’16.5.8

 菅並登山口-西尾根コース-西峰-横山岳-東峰コース-網谷林道登山口-杉野農協前バス停

 横山岳への日程調整大失敗によって無駄足となってしまった。というのも花の横山岳なのに花なしの横山となってしまい、これほどつまらない横山岳に出会ったことは初めてであったのだ。山歩きそのものは西尾根コースは結構楽しめることは承知済であるのだが、登れど登れど花など出てこない。それは今年の大変な温暖化によることが大きな原因であったのだが、裏を返せば早春の花が終われば、その次に続いてくれる山野草のほとんどないことを意味することを忘れていたことである。これは端境期だからしようがないでは済まされない情報であったのだ。

 でも、そうはいっても印ばかりの花があったのだが、わたしにとっては承知できる花の数などではなかったのである。登りの西尾根で見られた花は、ほとんど終盤のイカリソウ、チゴユリ、ヒトリシズカ、ウスバサイシン、それでもなんとか見られたのはユキザサ、フデリンドウぐらいが西尾根で見られたくらいであった。

     
 ユキザサ   フデリンドウ 

 案外ふつう知られていないように思う花としてウマノスズクサ科カンアオイ属のウスバサイシンが咲いていたのに心慰められた。なにせこの種は横山岳以外では出会っていないのだ。一般的にはスミレサイシンは知っている方の方が多いように見受けるのだが、この二つの葉の姿が酷似するのも名の謂われとなっているのだろう。↓左画像の葉を比較参照されたい。
 ただ、ウスバサイシンの根は漢方で細辛(サイシン)といい、鎮痛、鎮咳、去痰に用いたといわれ、その点では薬草として利用されていたようだ。

     
 ウスバサイシン右二つはスミレサイシンの葉    ウスバサイシンの花

 さて、前後するが、菅並登山口の大ケヤキから歩き始めてブナ林広がる西峰へは2時間半にもかからずに着いてしまった。それもそのハズ、撮る花などないに等しく、誰にも熊にも会うことなく、ただ、黙々と歩くばかりであったのだ。稜線ではこの時期だから、疎林の背も高くなってきており、北側の眺望もないに等しい。やっぱり展望には雪のシーズンでないとやむを得ないのだろう。無雪期の歩きが久しぶりだったが、予想外に踏まれていないようだ。
 それでも雑木林の中をぬって、稜線にはツルシキミが咲くくらいで、横山岳へは11時ころにはやってきてしまったが、二~三人しかいない横山岳の広場が寂しさを感じた。こちらは過去に、花のシーズン、この山頂が多くの登山者で昼食場所が足りないくらいの盛況ぶりを知っているだけに、え~、この寂しさ何んだ~・・?、との思いが強かったのである。もっとも、本日は花時が過ぎていることを知らない登山者だといわれても仕方ない、バカな自分がいたのには泣きたい思いであった。
 それでも半時間ほどの昼食時の間に少ない登山者が入れ替わり立ち代わり姿を見せていたが、三高尾根下りが一人、西尾根下りは0で、後は当方と同じように東尾根へ下山していった。

 そして、腰を上げて東のピークへ向かおう。すると、こちらの稜線上でツルシキミが多く、ミヤマシグレは蕾状態であるが、ユキザサが蕾で、登り道ではほとんど終了していたチゴユリが満開となっているのにも驚かされた。稜線はやはり温度が低いのが原因であろう。
 さらに終盤のイワナシが出だすと東峰となって本峰の横山岳と違い、こちらの狭い頂上で多くの昼食者で賑わっているではないか。時間的なのか、以前の昼食はほとんどの登山者が本峰で取っていたと思うのだが、近年の昼食は東峰で取るのだろうか。

 さすがにイワウチワは完全に終わっていたのだが、改めて葉の多いのを見て、これだけのイワウチワ大群落であるのを知ったような気がした。この超大群生の満開時に出会った覚えがないために、いつかはこの花目当ての横山に照準を合わせるのもいいだろうナと気がしてきた。

 この後はこちらのコース上にもイワウチワ以外に、ほとんど花のないことは知っているためにどんどん下る一方の歩きとなるのであった。ウスギヨウラクの咲き初め、ユキグニミツバツツジのほぼ終盤だが、中にはまだ赤紫色が濃い鮮やかさを残してくれている個体にも出会えた。それにミヤマガマズミも咲き、そろそろ林道だなと思えるころにはミヤマナルコユリの蕾状態が多く見られた。

 林道に降りると、夜這いの水で身体などを洗って、最後の林道の野の花巡りをしながら楽しむこととしよう。相変わらずシャクが群落で終盤となっており、イチリンソウも咲き終わりのひと花を見せてくれた。それにオニグルミの雄花がだらしなくダラリと緑色の花を多数下げており、思わず手に取って見た。冬芽の鹿の顔のようなのも以前の冬芽観察会を思い出させてくれた。

     
 オニグルミの雄花   オニグルミの葉痕は鹿似 

 薄いピンク色のタニウツギは咲き初めで、白花のケナシヤブデマリはもう終焉となっていた。この後にも山野草が種類多く咲いている。見慣れた花ばかりで写真を撮るのも面倒であった。ウマノアシガタは大群生で咲き、オドリコソウも見られ、クサイチゴも満開であった。それにミヤマキケマン、マムシグサ、カキドオシ、キランソウなども満開である。

 
 咲き初めのタニウツギ

 でも、黄色花のヘビイチゴの仲間のオヘビイチゴが咲いているのに気がついた。このような花が咲いているのは、やはりこのあたりがまだ自然が残っている証拠だろう。実はオヘビイチゴの花知識は図鑑ばかりで、咲いているのも初見であったのだ。単なるヘビイチゴとの主たる相違点は3枚の葉ではなく、オヘビイチゴは5枚であることだ。

     
 葉が5枚はオヘビイチゴ   葉が3枚はヘビイチゴ 

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