加越花の医王山を歩く’16.5.18~19

金山登山口-梯子坂-カニの横這い-大沼-三蛇ケ滝-鳶岩-白禿山-夕霧峠-奥医王山-百万石道路-国見ヒュッテ

 新・花の百名山でもある日本三百名山の医王山へ前日発で久方に出かけてきました。今回は数ある医王山のコースの中で、まず梯子坂と名のある激下り道より、豊吉川に切れ落ちるカニの横這いでスリルを味わい、さらに鳶岩への激急登の岩登りを取り入れての花巡りで、極めて変化ある山歩きを楽しめました。

 前日発で国見ヒュッテ付近でテン泊です。それにしてもいい天気です。標高700あたりからの北アの眺めも剣、立山などの名峰がどうにか目にできました。夜は満点の星降る中でテン泊もご機嫌な夜となりました。早朝は賑やかに地元の方々でしょうか、多くの写真撮影者で賑わい、こちらもテントを飛び出て、砺波平野の散居村広がる上に、白馬岳あたりから登る日の出の夜明けを撮りましょう。

     
金沢森本ICから県道27で国見ヒュッテ即幕営   5/19、4:50白馬岳より日の出となり 

 さぁ、日の出を見てから、いよいよ医王山登山の始まりです。まずは金山登山口(堂辻)から取りつきましょう。

金山登山口前には8台ほどの駐車スペースありです。道標の立つ地を右への水平道を進みます。
ここは石川県側は金山登山口と表示、富山県側は堂辻と表現となっています。
帰りを計算に早朝5時すぎにスタートでした。今回は足の揃った元気組5名様のお揃いで~す。
富山県側の道標はこの黒い菱形で、右の水平道から梯子坂へ入ります。最初は国見平の穏やかな
花巡りでした。
中でもヒメシャガはほとんどが終わってはいたのですが、ずっと顔見世してくれました。
他にもいろいろな花を見ながらこのあたりはのんきに歩き始めました・・・。
そして出ました。聞きしに勝る激下りでした。おいおい、どこまで下るんや!!
もちろん、フィックスロープもあるほど激下りの梯子坂を奈落の底を感じるほど下ってしまいました。
でも、たどりついた先には新緑の素晴らしき渓流地にやってきました。
ここで最初の一本でした。
こんなに雰囲気のよき地はそう何度も経験できません。いつまでもじっとして無我の境地で眺めて
いたい気持ちでしたが、そうもいきません。一息後にこの分岐を右へ取ります。
なお、左の沢は鳶岩を登った後に、ここへ周回して帰ってこれる路でもあるのですが、ほとんど歩く人
もなく、いわゆる難路コースのようです。
分岐からすぐで本日最初の難路でもあり、また楽しみにしていたカニの横這いに入りました。
この一帯は右側が下の豊吉川に切れ落ちています。
鎖はありますが、岩があちこち左側からの湧水の流れで濡れています。こんなによいお天気が続いて
いたのですが乾いていない部分があります。
でも足元を確認しながら、慎重に前進しましょう。
そうはいってもカニの横這い区間もそんなに長くはありませんから、大丈夫です。
川向こうの斜面にはオオバギボウシの葉がいっぱい下がり、右後ろにはミニ滝が落ちています。
深い森の静かな中に、このような麗しき渓谷美が見られて興奮気味でもありました。
そんなミニ滝を眺めてから10分ほどで鳶岩分岐に着きました。
結局梯子坂からカニの横這いを歩き、この鳶岩分岐まで半時間強くらいだったでしょうか。
鳶岩分岐より少し下れば右に三蛇ケ滝ですが、その滝の見物は後回しにして、大沼方面へ
向かいます。
こちらはここまでの道と違い、きれいな遊歩道が整備されていました。水洗のトイレ小屋も完備で
こちらでゆったりと休みましょう。
もちろん、太古の崩落で出来上がったといわれる大沼です。こちらは泉鏡花の「薬草取」の舞台に
ふさわしく、幽霊でも出てきそうなうっそうとした森となっていました。池の畔に置かれた大沼の伝説
を読みながら、心しびれる雰囲気を感じます。

さて、この後にはこの大沼越しに見える鳶岩を見上げて、あれをこれから登るのだな・・と期待に
胸を膨らませませてから戻りましょう。。
小屋のそばにはイタヤカエデの大木が君臨していました。近くには白い花をいっぱいつける
ケナシヤブデマリもよく見ればほぼ終盤となっていましたが、それでも草むらの中で輝いて見えます。
三蛇ケ滝の前に「三色泉」へも15分ほど足を延ばして立ち寄りましょう。その道々にチゴユリや
クルマバソウ、タチシオデなどいろいろな山野草が咲いたり、これから咲くだろうササユリの
葉など見ながらどんな池が見られるのだろうかと、期待しての訪問でした。

「三色泉」は大沼や大池平にある池の水が伏流水となって湧き出したもののようで、その名の由来
は時間や季節によって泉の色が変化することによるものですと説明にあります。

ただ、池というより小さく、きれいな湧水の流れのような泉でした。畔にはモミジチャルメルソウや
タネツケバナなども咲いているように見えました。それに山側にはホウチャクソウが群れ咲く状態
となっていました。
引き返して三蛇ケ滝へ寄ってみましょう。滝そのものは三段に流れて落ちる滝からの名のようですが、
落差ほぼ20mほどの短いものでしたが、流れ落ちる水量は元気でなかなかのものでした。
かたわらにはタニウツギが満開で、ミズキの蕾も膨らんでいました。

きれいな水質からこの流れのあたりには「ハコネサンショウウオ」が生息していることで知られる
ようですが、なかなか見つけられませんでした。
さて、この後は今回のお目当てでもある、カニの横這いに続く、鳶岩の岩登りが待っていました。
最初の取りつきから急な登りの岩が出てきます。もちろんフイックスもありますが、ホールドも多数
あって、そんなに鎖を頼る必要はありません。トントンと100mほどの岩を登りあげましょう。
そして、目の前にこの岩、そうです。鳶岩でした。その謂われは岩の形が大沼の魚を狙うをトビの嘴
に似ていることから、この名で呼ばれるようになったそうです。
大沼の水面から約120mの高さにあると説明されています。
見ずらいですが、これが岩場すぎの稜線から見下ろした120m下の、つい先ほど畔で休んでいた所
の大沼の池なんですが・・、さすがに高度感はありました。

ちなみにここからの見下ろしは当方4度目となりました。たぶん最後でしょうネ・・
二つのお目当てを楽しんだ後には、これより奥医王山を目指すのみとなりました。これより尾根歩き
となります。でも、大沼から白禿山までが、思ってたより1時間という長い歩きでした。
ユキグニミツバツツジはほとんど終わりとなっておりました。ズミは高いところで咲き初めでした。
でも、日本海側要素植物のひとつでもあるヒメモチが目に入ったことは久しぶりの喜びでした。
それに、ヒメシャガに出会ったのが今回の山歩きで三回連続でしたが、この山域ではほぼ終盤と
なっていたのでしたが、一輪だけ白花にも出会えたのでした。この花は多分アルビノ個体でしょう。。
また、タチシオデにも、この種がなんと多い山域だろうかと感心した山と知りました。
白禿山の謂われでもある直前の岩場に着くと、眼前にこれから登る奥医王山が飛び込んできた
のでした。肉眼ではこの奥には雪をかぶった白山も目にでき、心ときめきました。
そして、石川県民はここを「医王山」と呼んでいるとされる「白禿山」へ9時半前に到着でした。
896mで、三角点はないのですが、展望台と小さな祠が祀られています。高い展望台に上がれど
この暑さで、やはり北アの立山、剣などの眺望は苦しく、せいぜい能登半島の宝達山でしょうか。
金沢市街ももやっているような感じでした・

本日は早朝5時過ぎのスタートでしたから、ここで昼食としましょう。カンカン照りの中に木陰を探して
どうにかゆったりと半時間ほど食事とします。
白禿山から25分で巻き道から上がれば、すぐで干支の山の「蛇尾山」920mへも立ちよりました。
でも、樹林の中で見どころは0でした。涙
蛇尾山からすぐで石川県と富山県の県界上に建つ夕霧峠休憩所到着、トイレ、休憩室あり
ちょっと休んで、さぁっと腰を上げましょう。そして30分ほどで今回の最高峰でもある奥医王山でした。
939.16mで、以前には富山県の福光町が登山会を催したといわれ、その時の碑が埋まっていた
のですが、なんと、1993年9月16日に開催という標高と開催日のこだわりようが面白いですね・・笑

この山は日本三百名山で、田中澄江の「新・花の百名山」でもあります。どうりで花の多い山でした。
なお、こちらの山塊には「医王山」という山はなく、山塊全部をもって医王山とのことであります。

この後は夕霧峠まで引き返し、百万石道路といわれる舗装路を45分ほど歩いて国見ヒュッテまで
帰ってきたのでした。一番疲れた区間がこの舗装路の登山靴歩きとなりました。フゥ・・

 見られた花々は以下のようなものでした。まず、山野草のユリ科からです。他にもチゴユリが多数咲き、ユキザサも1本だけ咲いていました。また、現地でヒロハユキザサといっていたのですが、茎を触って稜がなく丸っぽかったので、ヤマトユキザサでした。低山ですからアルプスでよく見られる、亜高山帯で分布のヒロハユキザサはこちらでは出会えないでしょう。また、エンレイソウは終わっており、それにナルコユリ、ミヤマナルコユリにアマドコロなどが蕾をつけていたため、それぞれの相違点を観察できました。

         
タチシオデが多数見られた山塊にはびっくりポンでした。   ヤマトユキザサの蕾 ヤマトユキザサは葉も花も大きめ   ツクバネソウは満開
         ユリ科は世界に250属3700種も
ある大きな科といわれているのです
が、さすがにこちらでもこの時季が
花時で多数のお花に出会えて見ご
たえがあり、うれしい一日となりました。
 ホウチャクソウは茎が枝分かれすることが他にないポイント  シライトソウの蕾と満開状態、これも連続三回出会えた種   

 次は三回連続で出会えたアヤメ科のヒメシャガでしたが、さすがにこちらでのヒメシャガはほとんどが咲き終わりとなっていました。しかし、超珍しいヒメシャガの白花も一輪咲き残ってくれていました。

       
 ヒメシャガは地が淡紫色   ヒメシャガの白花は突然変異   参考にシャガは大ぶりで鋸歯あり

 続いていろいろな山野草です。ほかにキクムグラ、モミジチャルメルソウ、トキワハゼなども咲いていました。

         
 クルマムグラ(アカネ科)茎棘無  ヒロハテンナンショウ(サトイモ科)葉1ケ  ミヤマカラマツ(キンポウゲ科)白~淡紅色   トリガタハンショウヅル(キンポウゲ科)  イワカガミ(イワウメ科)今年見飽きた


 最後に木本類ですが、こちらもいろいろと咲き誇っていました。

       
 今回大満開のホオノキ(モクレン科)  これがアズマツリガネツツジか・・  ズミ(バラ科)の蕾  ヒメウツギ(ユキノシタ科)葉裏無毛
       
ユキグニミツバツツジ葉柄無毛  ケナシヤブデマリ(スイカズラ科) エゾユズリハ(ユズリハ科)   ユキツバキ葉脈見易い
       
 ヒメモチ(モチノキ科)  ヒメモチの葉、木の高さ1m以下  マルバアオダモ(モクセイ科)バットの木 葉は鋸歯がほとんど不明瞭 
     
 アオダモの葉には明瞭な鋸歯あり  コブシ(モクレン科)  花冠外側基部に葉がつく ウワミズザクラ(バラ科) 

 なお、当地でラン科のいろいろな種が咲くとあるのですが、今回はまったく出会えなかったのが残念でありました。そのような予想はしていたのですが、せめてコケイランくらいは見つけたかったのですが虚しい思いとなりました。 他にも、タニウツギがあちこちで満開であったのですが、見飽きた花であえて見過ごして歩ききました。
 また、フジの花もいっぱい満開となっていましたが、単純にフジがきれいやなぁ~で終わるのではなく、ノダフジ、ヤマフジ、ナツフジのつる性の巻き上がりの習性についても、右巻き、左巻き等の確認をするなど観察しながらの一歩進んだ花巡りが楽しめました。

ホームヘ

inserted by FC2 system