大峰関西の百名山二座を歩く’16.5.22

 今回の百名山二座目の大峰山(八経ケ岳)登山でした。もっとも大峰山脈の中で大峰山という山名を持つピークはなく、今なお女人禁制を守る唯一の山であることや、西の覗きなどの修行で知られる山上ケ岳が宗教的な意味合いで大峰山とされてはいますが、関西で最高峰の八経ケ岳もその大峰山とされています。

 行者還西口トンネル登山口で、駐車場管理人から「百名山バッチは大峰山、八経ケ岳とあるが、どっちにする?」、と聞かれ、バッチを求めるほとんどの方は「大峰山」といって買われていました。地元以外の山人は八経ケ岳でなく、やはり「大峰山」の方がネームバリューがあるように思われているのですね。
 私達関西人の岳人にとっては大峰山という名より、八経ケ岳の山名の方が今日は八経へ登ってきたんだヨ、と友にも誇らしげに言えて、圧倒的にうれしいのですが、このあたりも人って在住によっていろいろで、おもしろいな~と黙って見ていたのでした。

 さて、今回のコースは急登を片づけて弥山へ上がり、そして国の天然記念物として有名なオオヤマレンゲの群落地を歩いて関西の屋根ともいわれる1914.9m(2等三角点)を踏んでのピストンコースでした。やはり、八経ケ岳のハイシーズンはオオヤマレンゲの咲く6下から7上あたりの登山者が多いのですが、雨も少ない今回はお天気に恵まれ、皆さん悠々で登頂となったのでした。

 それは、前日には見られなかった「シロヤシオ」が超満開でどこまでも続き、シロヤシオというその名も知らなかった方でも、喜びの笑顔が広がっているのでした。当方もこの山への歩きは数しれないのですが、これだけ一面にシロヤシオの満開時の訪問は初めてといってもいいくらいで、なんと幸せな日となったのかとの思いで、ついつい興奮気味の案内となってしましました。

     
     
     
シロヤシオは別名ゴヨウツツジ、マツハダともいいます。どうです、松の木肌に見えませんか・・ 

 ツツジ科も全国で30種以上ありますが、真っ白の大ぶりの花を咲かせる種は数すくなく、気品あるシロヤシオは愛子様の御印とされてからも、人気がさらにアップした樹木花として知られています。なお、御印とは古くから皇室の慣例によって身の回りにお持ちになる品々へ印される紋章のことのようです。なお、皇太子殿下は1990年6月に山上ケ岳~大普賢岳~行者還岳より八経ケ岳への大峯奥駈道の縦走路で登頂され、天川への下山コースを歩かれたようです。

 さて、急登から奥駈道出合へ乗れば、この後の稜線からもシロヤシオを愛でながらの稜線漫歩でした。途中の原っぱのようなところからはこれからの弥山方向などが目に飛び込んできました。皆さんで、すわ、カメラタイムとなりました。ギェ~、あそこまでも登るのか・・との声もあり


左が八経、右に弥山の小屋など遠望

 さすがに山野草などはまだまだで、せいぜいバイケイソウの青々とした葉が見られるだけでしたが、聖宝の宿跡の聖宝理源大師像へ着けばここで一本です。聖宝理源大師は、大峯山中興の祖とされる修験道当山派の開祖で、役行者を慕って山岳修行をし、京都の醍醐寺三宝院や東大寺の東南院を創立した真言宗の高僧だったようです。

 そしてふと奥の方へ目をやると、何か咲いているではありませんか。近寄るとこの山の特産種でもある珍しいオオミネテンナンショウが咲いていました。その特徴は仏炎苞が緑色でなく黒紫色で、葉は2個で各5小葉でつき、付属体は棒状といわれます。


オオミネテンナンショウ(サトイモ科)

 さぁ、これからが弥山へむけての急登となってきます。気合いをいれて登りましょう。そして木製階段が出てくればさらにきつくなってきます。それでもなんとか頑張っていればミヤマカタバミ、さらにはワチガイソウが随所に咲いていました。これには元気が出てきます。

 
 ワチガイソウ(ナデシコ科)

 そして、ようやく弥山小屋到着でした。すぐに国見八方覗という苔むす中に石標の立つ先へ進んで、展望を案内です。山上ケ峰や大普賢岳などがしっかり顔見世となってくれました。このテント場から引き返して戻るとお客様から、「この花はなんですか?」と興奮気味な質問でした。見れば足元にこれまた可愛いお花が咲いているではありませんか。そうです、わたしはこのお花を「登山道のバレリーナ」と昔から呼んでいるのですと皆さんに伝えます。本名は「ヒメイチゲ」です。あまりに小さく可愛いすぎて手が震えてきちんと撮れませんでした。汗

         
 ヒメイチゲ(キンポウゲ科)   弥山の下りから八経ケ岳     サンカヨウ(メギ科)

 そして、八経ケ岳へ向かいます。少し下ってオオヤマレンゲ群生地あたりから登り返しましょう。鹿除け柵内にはサンカヨウが満開で、マイヅルソウは少しで咲きそうな様子です。肝心のオオヤマレンゲも葉を返せばもう蕾を膨らませている個体も見られました。来月中旬にはほころびて純白の天女花を咲かせることでしょう。

 鹿柵ゲートを出ると、すぐで八経ケ岳山頂でした。頂は狭く、大勢ではゆったりとはできませんでした。記念写真を撮って引き返しましょう。というよりわたしはここではピーク写真を忘れてしまいました。まぁ、なんども踏んでいますからよしとしましょう。

 こうして、ワイワイ賑やかに弥山小屋へ上がってきて、最後は弥山山頂を踏みに行きましょう。というより皇太子行啓記念碑を見てから、天川弁財天奥宮の祀られる前で無事に登頂ができたことへの感謝のお詣りとしました。

 お詣りがすめば、弥山小屋へ戻ってお待ちかねのお昼となりました。さぁ、この後は来た道を下るだけです。足元注意して降りましょうとお願いしてどんどん下ることができ、奥駈出合まで戻ればもう帰ったも同然と思いたいのですが、この後の下り道が本当の要注意箇所だと重ねて注意喚起しましょう。そして沢にかかる傾いた木の橋を渡ってこれが本当の下山となりました。ご参加の皆さまお疲れさまでした。またいずれどちらかの山でお会いできればうれしいです。ありがとうございました。

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