湿地帯に咲く花 ’16.5.28

 ラン科のお花たちもそろそろだろうかと出かけてみた。さすがにまだ咲き初めのチラホラ状態ではあったのだが、トキソウが咲きだしていた。こちらのラン科は他にカキラン、ヤマトキソウ、コバノトンボソウなどや、さらには晩夏にはサギソウなどはもちろん、その他にも希少種も咲くなど、極めて植物層富かな山域であることがお気に入りとなっている。

 では、ラン科のトキソウが早くも咲き初めとなっていた個体をご覧いただこう。この花がこれから次第に多く咲きだし、6月後半まで咲き競ってくれることを祈ろう。

     

 続いてユリ科の花も見られる。キンコウカ、ノギランはまだ蕾状態であったのだが、初見のソクシンランの咲いているのに出会えた。

         
ソクシンラン、花穂部分の5mmほどの花をアップ     花茎は高さ30~50cmとやや高め    この葉の状態が名の謂われ*

 *ソクシンランの名の謂われは叢生する葉の中心から花茎をだすことによると図鑑にある。右端写真のように根生葉は多数叢生し、線形で長さ10~30cmの葉であるようだが、花茎には葉はつかないようだ。この花の花期は4~6月とやや早めのグループである。今回も下部は咲き終わって開花は中ほどが咲いていた。

 しかし、ご覧のように花の一つひとつは約5~6mmほどの白色の小さな花序を多数つけるが、全体的に腺毛の密生が特徴的だろう。また花の上部は淡紅色を帯び、葯は黄褐色と図鑑にもあるように、この花観察にはルーペが必携だろう。

 それにシライトソウは咲き初めであったが、今期この花はいろいろ出会っているためにまたか・・という感じであったのだ。。それでも一応アップしておこう。


シライトソウ(シュロソウ科)

 モウセンゴケ科の仲間も見られるのだが、一番早く開花するイシモチソウのみ咲き乱れていた。そのうちにモウセンゴケ、トウカイモウセンゴケなども見られることとなろう。なお、同じような湿地帯を好むタヌキモ科のミミカキグサ、ムラサキミミカキグサなども気温が高くなるころには咲いてくれる。

       
 花は白い1cmで花弁先低い鋸歯有り  葉の先が丸く膨らむ腺毛があり モウセンゴケの葉もきれい  コモウセンゴケでなく、トウカイモウセンゴケ 

 他に咲いていた山野草などはタツナミソウ、ブタナくらいだったが、これからいろいろな種の開花が出てくることだろう。もちろん、ニガナ、ハナニガナ、ジシバリやコウゾリナ、カンサイタンポポなど野の花もあたりを黄色く染めてしまうほどの咲きようだった。

     
 タツナミソウ(シソ科)    ブタナ(キク科)

 続いて木本類である。

 今日はなんといっても最初から最後まで、ジンチョウゲ科ガンピ属の本家であるガンピが多数満開で咲き誇っていたのが印象的であった。この木は高さ1~2mになる落葉低木のために自然観察時にはありがたい樹種でもある。

         
ガンピの全体、葉は互生、仲間に対生種もあり     花は淡黄色で7~20個つけることがある   ガンピの葉裏、両面共伏毛、裏は毛で灰白色 

 その他の木本類、↓画像の初めから5種は湿地帯に分布することが多いが、あまり知られていないようだ。

         
 クロミノニシゴリ(ハイノキ科)木は8mに サルマメ(ユリ科)1mの小低木、果実   イソノキ(クロウメモドキ科)蕾  ウメモドキ(モチノキ科)小花多数、蕾  ヘビノボラズ(メギ科)以上湿地好き
         
 ネズミモチ(モクセイ科)葉もむと甘い香  ネジキ(ツツジ科)1mの木でも花咲く  ナツハゼ(ツツジ科)実は美味  イヌツゲ(モチノキ科)葉、花も小さい  ソヨゴ(モチノキ科)花の雌花少ない 
         
 カナメモチ(バラ科)生垣に  イタチハギ(マメ科)荒れ地に多い  ヤマウルシ(ウルシ科)かぶれ、注意  イボタノキ(モクセイ科)生垣に  スイカズラ(同科)雑草並み 
         
テリハノイバラ(バラ科)地を這う   ナワシロイチゴ(バラ科)実は苗代時  ナワシロイチゴの葉は丸っこい      

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