湿地帯に咲く花 ’16.6.17

 今回はカキランが満開でご参加の皆さんにいたくお喜びいただきました。ラン科と聞けばすぐに飛びつくランファンの多いことで知られることから、本来ならあまり宣伝したくはないのですが、これだけのカキランを見させていただけば、やっぱり見て来たヨと、つい声高らかに物申したくなるというものです。満開時に出会えた喜びは何物にも代えがたいものがありました。この満開の日に出会えるのを執念で迎えることができました。日程調整等、ご協力ありがとうございました。


カキランの色あいが素敵~

 ご参加のお客さまが発見していただきました。この花は何ですかと声上がり・・?、エ~、これは何だろう、ヒメハギにも似ているし、、、ちょっと自信がないなと、宿題にさせて下さいとしたのでした。帰宅後調べるとやっぱりヒメハギで、この花はこの6月ころに咲くカキノハグサと同じ仲間のヒメハギ科です。その時に言っていた花後ではなくて、若い果実のようでした。
 私もこちらへは今年三度目でしたが、気がつかなかったのにお客様に見つけていただくという体たらくで申し訳ありませんでした。言い訳を言わせていただければ、ちょうどそのあたりには他の希少種の花ばかりが気になっていたものであります。ごめんなさい・・そして、ありがとうございました。


ヒメハギの果実でした。

 本来、ヒメハギは日当たりのよいやや乾燥気味な地に生えるのですが、あそこは日こそよくあたる場所ですが、水の滲み出るような場所であって、その生える場所からして、自信をもってヒメハギですとは言い切れなかったのであります。植物も個体差があることもとっさの判断の中では抜けていたようです。いい勉強になりました。

 次にシライトソウです。こちらは5/28に私は、ここでは最初に見ていたのですが、今日は咲いているのをお客様が先に気がつかれました。私は20日も経っているのだから、シライトソウはもうトッくに見られないだろうと、他のことを考えながらハナから見向きもせずに、通りすぎてしまう始末でした。しかし、個体数が多くあって、日にちがずれて長く咲くのだろうと感じ、今後の参考とすることができました。この点でも御礼ものでした、ありがとうございました。


シライトソウ(シュロソウ科旧ユリ科)

 次にはラン科のコバノトンボソウも小さな花をあちこちで咲かせてくれていました。


コバノトンボソウも小さい花で距が後ろに跳ね上がる。

 他にもいろいろと咲いていました。私もここでは初めて出会ったのがカキツバタ(中央基部に白い斑紋が特徴)ではなくて、ノハナショウブが咲いていたのです。なお、ハナショウブという種は園芸種であって、ノハナショウブがその原種ということになります。
 それにキンコウカやその仲間のノギランも咲きだしていました。このキンコウカであたりが黄色くなってくれるのはまだまだこれからということになりそうです。。

         
 ノハナショウブ(アヤメ科)黄色の斑紋、満開    キンコウカ(キンコウカ科旧ユリ科)咲き初め   ノギラン(キンコウカ科旧ユリ科)咲き初め 

 他にも小さな黄色花のコケオトギリ(オトギリソウ科)が咲き初めで、さらに黄色花のキバナノマツバニンジン(アマ科)も咲き初めとなっていましたが、下見時に満開であたりは黄色に染まったように見えたブタナ(キク科)はさすがに終焉となっていました。
 また、ソクシンラン(キンコウカ科)の花はほぼ終わりでした。それに最初からラン科で期待していたトキソウ、ヤマトキソウはそれぞれほとんど終焉となっていたのはショックでした。例年より10日は完全に早かった種だったのでした。

 そうそう、4日前にあれだけきれいに咲いて、期待していたササユリ(ユリ科)の花もほとんどが散って残花がわずかとなっていたのは残念でした。また、モウセンゴケ科の仲間で一番手のイシモチソウは完全に終わって、続くモウセンゴケ、トウカイモウセンゴケはまだ蕾状態で、タヌキモ科のミミカキグサやホザキノミミカキグサなどは今回は姿なく、まだ先になるのでしょうか。
 それからシダの仲間である超希少種で滋賀県では絶滅危惧種に指定されているヒモヅル(ヒカゲノカヅラ科)にも出会っていただきました。熱帯性の植物であるこちらは滋賀県が北限となっており、奇妙な植物であり、植物好きな方にはぜひご覧いただきたい種であることをここで申し述べておきましょう。興味ある方は是非ご一報下さいませ。


 もちろん、木本類も湿地帯好みの種はどなた様にも珍しく、興味をもって説明をお聞きいただけました。それらはガンピ咲き終わり、サルマメ赤い果実、クロミノニシゴリ花終わり、ウメモドキ花終盤、イソノキ果実化、イヌツゲ花終焉などでした。
 また湿地帯だけではなく広く分布するネジキ花終盤、タカノツメ果実化、ネズミモチ花終盤、サカキ蕾、ナツハゼ果実化、アオハダ果実化のような状態となっていました。もちろん、他にも普通に見られる樹木たちの果実化等もいろいろありましたが、それらは省略とさせていただきます。いろいろ多すぎてお疲れさまでした。

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