湿地帯に咲く花 ’16.7.29
昨年8/18に見ているサギソウの群生地だったが、今年の花の開花状況からそろそろ開花準備をしていることだろうと向かってみた。それにしても猛暑日の中で大変であったのだ。相変わらず湿地帯好みの植物達だったが、やはりこの時期はお疲れモードに見えたのだが、本当のところはみんなはどうなのだろうか・・?、植物達も近年の温暖化現象に苦しんでいることだろう。でも長い進化の中ではこれくらいの暑さや、氷河時代を当然経験してきただけに、人間様に比べれば比較にならないほど強靭な生き物であろう。
例年に比べれば水位が極めて低い溜め池近くから観察としよう。イソノキはほんのり赤色がかってきた。そして最後は黒色に熟すことになる。サルトリイバラにそっくりだが、全体に小ぶりの姿であるサルマメの果実はもうすっかり赤色になっていた。さらに丘陵から低山の湿地や池の畔が好きなクロミノニシゴリの実はまだまだ緑色が抜けきらず、黒色に熟すには9月ころとなろう。そして、同じように湿地が大好きなウメモドキだが、こちらはさらに開花が遅い種であるだけに、果実色も緑色はやむをえないだろう。こちらは9月ころになれば真っ赤に熟してくる様は山歩きの中でつとに目に留まってくれるので10月ころが見どころとなろう。
イソノキ(クロウメモドキ科) | サルマメ(シオデ科) | クロミノニシゴリ(ハイノキ科) |
続いてモウセンゴケ科の最終ランナーであるトウカイモウセンゴケの咲き残りが少しだけ見られた。これはコモウセンゴケの変種のようだ。ちなみにその仲間はこの一帯では咲く順にイシモチソウ、モウセンゴケが見られるのだが、コモウセンゴケ、ナガバノモウセンゴケやナガバノイシモチソウは分布しないようだ。
なお、トウカイモウセンゴケとコモウセンゴケの相違点は葉の姿は前者がスプーン形で後者がへら形のようだが、見分けは容易ではなさそう。関西圏ではトウカイモウセンゴケが多く、関東形のコウモノセンゴケは関西ではほとんど見られないようだ。
トウカイモウセンゴケ | 葉身と葉柄で約3cmほど |
またタヌキモ科のミミカキグサは約5mmと小さい花が咲き、また約4mmというさらに小さな花のホザキノミミカキグサも咲いてくれていた。なお、その他の仲間であるタヌキモは京都市内の深泥池では見られるが、こちらでは見られない。それにムラサキミミカキグサも分布はしないようだ。もちろん、タヌキモ科は上のモウセンゴケ科と同じ食虫植物の仲間である。
ミミカキグサ | ホザキノミミカキグサ |
続いて、サワシロギクが咲きだしてきていた。この野菊は沢などの水辺や湿地に生え、咲き始めだけ花の色が白いが、次第に赤紫にかわってくるようだ。
サワシロギク | 葉の姿 |
北アメリカ原産のアカネ科のオオフタバムグラが咲き初めであった。この種は外来種にしては個体数はそんなに多くはなさそうだ。他に咲いていたものにはバラ科のキンミズヒキも咲いてきていたが、まだまだこれからだろうか。しかし、コケオトギリは終わっていた。
オオフタバムグラ |
最後に初夏にいろいろ楽しませてくれたお花たちの果実模様をご覧いただこう。
カキラン(ラン科) | ヤマトキソウ(ラン科) | キンコウカ(キンコウカ科) | ノギラン(キンコウカ科) |
そうそう、サギソウの開花は昨年より20日も早く出かけたために、まったくの空振りとなってしまったのが悔やまれた。でも、他の植物観察ができたのだからよしとしよう。