京都北山 千日詣の愛宕山 ’16.7.31

 清滝-月輪寺-愛宕神社-表参道-清滝

 

 今年も7月31日の恒例の「千日詣」は当然のごとく大層な暑さであった。「火伏せの神」で知られる愛宕神社は標高924mの愛宕山の山頂に祀られているのだ。こちらはいつもの表参道ピストンでは芸がないと、月輪寺コースから登ってお詣りとしよう。

 途中ではオオバノトンボソウの残り花が何か所かで見られて気分上々で歩いていると、足元に小さな赤っぽい花らしきものが散らばっているのに出会えた。上を見上げても背の高い松の木があるのだが、花らしきものはまったく目には入らない。実はこの花はヤドリギの仲間の「マツグミ」なのだ。もっとも高い松の木に寄生するために、よほど運がよくないと間近で目にすることは不可能に近そうな樹木花なのだ。

 
マツグミの花びらが散らばって~ 

 珍しいマツグミ(ヤドリギ科)の散りばなに出会え、嬉しくなってルンルン歩きしていると、上の方より、もう下山される元気な方たちから「お(のぼ)りヤ~ス!」と千日詣のお決まり挨拶用語でご挨拶があって、すかさずこちらも「お()だりヤ~ス~・・」と笑顔で元気に声を返しているのであった。

 そうこうしていると、あの法然上人や親鸞聖人も参られたといわれる月輪寺であった。そちらのベンチには、40年ほど前に「山口さんちのツトム君」で有名となられた南らんぼうさんが4人連れで休憩中であるのを追い越した。髭のらんぼうさんは見るからにやさしそうな人柄の雰囲気がいい。
 南らんぼうさんは、昨今、山歩きでもTVや山の雑誌などにも登場されて有名人となっている。他人とは思えないような気分になれ、その和やかな空気が、わたしのその後の歩きすべての時間の上にあった。今年の千日詣はマツグミや南らんぼうさんに出会える等、誠に縁起がいいと、ひとりほくそ笑みながらの登りも軽快そのものであった。

 さらに登れば、道沿いへウラジロノキ、エゴノキなどがまだ緑色の実を見せてくれ、花はほとんど見られなかったのだが、それでもリョウブが残り花で待っていてくれるではないか。こんな様子を撮っていると植物好きな方から、「リョウブですか、花はいいですね・・」と声がかかってきた。
 やっぱり、植物に関心ある方なのだろう。このような方は相対的には山の経験者がその傾向にあり、反面、山ガールや若い方は植物など、その興味もほとんどなさそうだ。それはそうでしょう、山歩き自体がまだ未成熟なために、歩く以外には関心が回らないのは仕方ないのだろうか。早く山に対する余裕度をアップし、楽々で歩けるようになって、山の自然などにも楽しみを見つけてもらいたいものである。


 それより、本日は千日詣である。愛宕神社のHP等によれば、「正式には千日通夜祭(せんにちつうやさい)と云います。7月31日夜から8月1日早朝にかけて参拝すると千日分の火伏・防火の御利益があり、また、3歳までに参ると生涯、火難に遭わないとも伝わります。毎年数万人の参拝者で境内参道は埋め尽くされます。」 と、それに新聞によれば夕方にはふもとから山頂まで約4Kmの参道に電灯がともり、登山愛好者や家族連れが山頂を目指すと報じている。

 山頂の愛宕神社は火が灯る提灯が並び、どんどん善男善女が登ってこられ、夕方から深夜にむけて次第に大混雑となることだろう。混雑をよしとしない我が足はそれを避けるために少々時間をずらせてのお詣りであった。午後の二時過ぎだったが標高924mの神社は下界より10度は低い、24度ほどでなんと快適であったことか。賑わいの始まる前の愛宕神社の様子だ。

       
 愛宕神社境内  ご祈祷受付、お札お求め 愛宕神社名物「火廼要慎」 台所へ 「登山安全御守護」を受ける

 神様へ家内安全など手を合わせたあとは、御札やお守りを頂だき、ようやくにして、のらりくらり、漫然と神社一帯で人の動きの高みの見物としようではないか。これだけでも心鎮まるというものだ。そして、我が人生、融通無碍の柔軟な発想、はたまた軽挙妄動を戒めて、快楽不退(けらくふたい)で生きようとの精神を心とすると神前に御誓い申し上げたのである。

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