湿地帯に咲く花 ’16.8.16

 猛烈な暑さの一日であったのですが、やっぱりこちらのサギソウを見ないと夏は終わらないとの思いで行ってきましょう。それにしても期待にたがわず、例年のように今年もサギソウの群落が広がっていて、それはそれで楽しめたのでした。

     
彷徨う湿原の中にいっぱいのサギソウたちの涼しげな景色の小さな思い出がまた殖えました・・   

 それにしても、今年の夏は雨量がこれほどまでも少なくて、小さな沼は伸びた草たちに埋まってしまい、もちろん、大きな池までもほとんど水は干からびているようで、例年の満々と湛えている水面が私の目のあたりから離れることはなかったのでした。

 そのようなことから、例年なら一歩も踏み入れられない沼地でしたが、本年は水のない沼というより無残な陸地のような平面にも、サギソウ以外に花の命を終えたモウセンゴケの近くでは、タヌキモの仲間であるミミカキグサたちが元気に、4~5mmと、それは小さな小さな花を謳歌しているのでした。

     
 ミミカキグサ    ホザキノミミカキグサ

 歩けば、近頃そんなに目にすることも少なくなってしまった黄色花をつける咲き初めのオミナエシが飛び込んできました。いわずと知れた「秋の七草」のひとつです。そうそう、秋の七草といえば、こう語呂合わせが言われていますね。『お好きな服は』です。オミナエシ、ススキ、キキョウ、ナデシコ、フジバカマ、クズ、ハギでした。
 じつに日本の秋の花によく似合うお花たちが選ばれているようですね。万葉のころからと千年を超える歴史あるお花たちに、奈良や京の公達も野の花を詠んで心遊ばせていたのでしょう。なお、以前はオミナエシ科という独立した科の植物でしたが、最新の分類体系でスイカズラ科に含まれるようになったようです。

     
オミナエシの花はやさしい感じですね。葉は対生し羽状に裂けます。 

 続いて、長い間咲き続けるヒメオトギリ(雄しべが束になりやすい)や晩秋まで見られるサワシロギクも咲いていました。

     
ヒメオトギリは花柄の分岐につく苞葉が線形   サワシロギクは湿地帯を好む 

 山野草の花も多くは咲いていません。それに樹木花も探すのに一苦労な状態です。やっと見つけたのはアオツヅラフジ(ツヅラフジ科)のこれまた小さな薄黄緑色の花が咲きかけていましたが、この種は花時はよほど注意しないと目に入りません。これはつる性でそのつるは右巻きでした。この葉の形は変化が多く、ときに三浅裂することもあったりします。でも一番目につく時期は10月ころから粉白を帯びた黒色に熟す果実が目立つのです。

     
 アオツヅラフジの花は黄白色で目立たず    葉は変化が多し

 いろいろと樹木の果実も楽しめましたが、ほとんどが見ているものばかりで新鮮味が少なく、珍しい種が見つけられなかったのには残念で、やはり視点を変えた歩き方をしないとダメらしく、要検討の今後となりました。次は本格的な秋花の時期に徘徊してみたいものです。

  金勝ア  7月29日   ホームヘ  湖南ア  10月7日






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