京都北山 愛宕山に咲く花 ’16.8.25

 京の愛宕山での花巡りほど楽しめるとはいいがたい山は少ないのではと思うのは私だけだろうか。四季を通して花はほとんどないに等しい。それにもかかわらず、あの田中澄江の「花の百名山」でもオタカラコウが見たいと、愛宕山が取り上げられている山でもあるのだが・・。

 さて、今回のわたしの花巡りのお目当ては、晩夏に咲くことで知られる「ミヤマウズラ」を楽しんでこようと登ってみたのだ。しかし、この花も例年にくらべて開花が相当早く、今日はもうほとんどが終盤となっていたのには驚いてしまった。でも、しかし、結果的には揃ろいもそろって、その数を合わせれば20株以上は遥かに咲いていてくれたので、その点からの満足度は十二分なるものがあったのだ。考えれば田中澄江さんに「昨今では愛宕山の花は、オタカラコウでなくミヤマウズラを見にきたらどう・・」と天国にむかって言ってあげたいくらいに思ってしまいながら、笑い吹き出して下山してしまったのである。

 ところが現実は、猛烈な酷暑で曇り空が続き、加えて花の性質上、ほとんど日の当たらない地であるために薄暗く、写真は普段からそれでなくても腕もデジもダメなために、撮影には最後まで泣いてしまったのが残念であったのだ。(↓画像クリックで拡大画像

 

 ウズラの花はこれくらいにして、やっぱり山頂の愛宕神社へもご挨拶のお詣りをしておこう。するとこちらにはキタヤマブシが咲いていたのだ。これぞ、いよいよ秋花のシーズンになったのだな、でもこんなに暑い毎日なのにもう秋なのかと思ってしまうのだった。トリカブトか、「きれいな花には毒がある!」の謂れとなった種だろうと思いめぐらしながら、神社で手を合わせているのであった。


キタヤマブシ(キンポウゲ科トリカブト属)

 話は変わって、愛宕神社の不思議について取り上げてみよう。社務所からさらに石段を上がれば、愛宕神社の三の鳥居である青銅の両部鳥居が立っている。まず、この両柱の下部には猪の絵が「神使の猪」といわれて浮き彫りで描かれているのを知っている登山者は以外に多くない。この猪の彫り物は、古来より猪が火難から守ってくれる神使の生きものであったことからの謂れのようだ。

 二つ目の不思議は、この両部鳥居のすぐそばに石を囲って注連縄で何やら祀られている。愛宕神社の社伝では、大宝年間役小角が泰澄を伴って山に登り、神廟を造立したのが始まりと伝わり、この石も役小角が置いたという名石で、「上の亀石」といわれる。ちなみに、「下の亀石」もあって、それは奥嵯峨、愛宕念仏寺の先にある鳥居本の一の鳥居のそばの平野屋の前に祀られている。この上下の亀石は地中でつながっているとの伝説があるようだ。

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