湖南アルプス三山のミニ縦走 '16.9.9

 20年ぶりの湖南アルプスを歩きました。以前に関百をやってた時でしたが、太神山(たなかみやま)を登らねばということで、ならば笹間ケ岳から矢筈ケ岳そして太神山を歩いたことくらいで、内容的にはほとんど忘れていましたから、それなりに新鮮味ある山歩きが楽しめました。

 でも、肝心の花の時期を若干逸していためにサギソウたちがもう終わっていたのが悔やまれました。来年は晩夏の花にうまく出会える頃にリベンジしようと心します。とりわけ小さな湿地、池など続く大谷河原一帯のヒナノカンザシ、イトイヌノヒゲ、ミカヅキグサなどの湿生植物達を狙えるとよりリッチなハイクが楽しめることでしょう。

 本日出会えた花たちをご覧いただきましょう。ほかにもホザキノミミカキグサが満開でしたが、あちこちで見飽きているためにスルーでした。ヘビノボラズは果実がほんのり淡い紅色となっていました。

       
 サギソウ  ヒメオトギリ イトイヌノヒゲ   ミカヅキグサ

 さて、JR石山から帝産湖南バスの終点アルプス登山口バス停下車で、天神川沿いの車道を歩き始めます(9:20)と10分少々で笹間ケ岳への富川道に入る登山口です。これより御仏河原あたりは岩場あり流れありで素敵な雰囲気があります。二番目の矢筈ケ岳への表示を左に見送ると、すぐに笹間ケ岳分岐を右折します。
 ところが、ここでザックにつけていた「カウベル」という熊よけ鈴がなくなっていることに気がつきましたが、今日はハイカーもほとんど姿もなく、笹間ケ岳から降りてきてから探しに戻ろうと暢気に構えて前進としました。

 これより、小さな池が二つあり、その後に大き目な池が、今年の雨不足な年なのに、満々と水を湛えていました。これらの池の淵にも先月であれば花が見られたことでしょう。さらに進めば広い砂原交じりの大谷河原の湿地帯でした。わずかにサギソウの残り花がポツンと草むらに見えたくらいで、他にめぼしい花たちは終わってしまっているようでした。

 この後にはさらに西向きにとって、ザれた滑りやすい尾根を半時間もしないで一つ目の3等三角点埋まる笹間ケ岳でした。こちらの山頂には八畳岩が座っています。すぐにこの岩に登れば上にいた人から、「○○さんではないの!」と元気な声にびっくりでした。

 
笹間ケ岳433m 

 その方たちは4人ほどで先に岩の上におられたようでした。本来であれば、久しぶりに出会った旧知のお二人とゆっくり会話を楽しみたいところではあったのですが、こちらは山話をすることより、落としたカウベルのことが気になりだして、岩上でも比叡山方面の写真を一枚撮っただけで、すぐにその山頂を後に来た道をひたすら駆け下るように戻ります。というのも、ここまでに一人の方に交差してここへ上がってきていました。それから今も岩上に先着されていた男性の方が先に降りて行かれ、二人に出会ったことから万一落とした鈴が拾われてしまえば、もう後の祭りとなってしまいます。それでなくとも私にとっては大変高価な熊鈴だったことから、仕方ないではすまされないとの思いだったのです。

 走るように戻ります。イエ、走りはしませんでしたが、相当なスピードアップで落としたと気のついた時点の笹間ケ岳登り時右折箇所まで戻ってきました。これより、細い道のシダなどストックでかき分けながら探します。すぐに右に矢筈ケ岳への表示ある分岐でした。でも、この後すぐで御仏河原の登ってくれば岩場を過ぎ、滋賀県で最古の明治20年に造られたという空石積えん提の上の砂地あたりでした。その歩いた砂地にポツネンと「愛しのカウベル」は居たのでした。ヤッタ~!!と思わず叫んでしまいました。

 大汗かいてここまで戻ったので、すぐに昼食を木陰でと座れば、男性が挨拶もせずに素通りで降りて行かれました。考えてみれば今日はハイカーは我が身一人で他には居ないものだと思っていたのですが、ここまで私の目には3人の姿があったのでした。でも、それにしても今日は実にラッキーであったのではないでしょうか。
 落とした熊鈴地へ私が戻ってくるまでに、少なくとも3人は通過していなかったのでしょうネ・・。思い返してみれば、最初に交差した方は「矢筈へこの道で行けますネ」と質問され、「この先、大きな池から小さな池二つを過ぎればL字型に左折し、10メートほどですぐに右へ矢印で矢筈ケ岳への表示が下がっていますヨ」と説明していたので、落とした地までに矢筈へは右折のために熊鈴のある地にはきていないハズです。
 二人目は、岩上から私より先に出発された男性も、私は走るように戻ったがその男性の姿は見なかったし、おそらく山頂から反対の関津方面に下山されたのだろう。結果、私の「愛しのカウベル」のあった地を通過したのは、最後に出会った三人目の無言で通過された御仁であったのだが、この先生より先に私が落とし場所に先着したことによって、他人に拾われずにすんだとの検証としながら、昼メシが実に美味しかったのでした。

 私は悠然と腰を上げ、予定どうり矢筈ケ岳へ向かいます。本来であれば途中は何の変哲もない無感動な樹林帯の道を黙々と歩くことになりますが、先ほどの「愛しのカウベル」のお蔭で、余裕が出て、道沿いの果実化の始まっているコシアブラを観察し、さらに進めば緑色の実をたわわにつけたウラジロノキに出会えた。そして、近年あまり目にすることがないようになったと思えるヒメヤシャブシなども目にするなどで嬉しさを隠せない一人旅となった。そして出会峠から右折して、お~もう矢筈はすぐだナと急登を上がりだすと、最初に交差した男性が降りてこられた。「また、会いましたナ~」と声を交わして山頂へむかいましょう。それにしても、その男性はえらい時間が遅いのではないの、山頂で昼寝でもされていたのかな~・・?、などと思いながら山頂(562m三角点無)到着でした。狭い山頂は樹林の中で展望もなく、すぐに下山でした。


眺望無しの矢筈ケ岳562m 

 出合峠から戻らず、北へ太神山へ向かいます。それにしても先の男性に追いつかない。そんなに速足ではなさそうだ。ひょっとして富川道へ戻ってアルプス登山口へ下山されたのだろうか。ま、人の ことはいいと太神山表参道へ合流し、右折ですぐに二尊門へ着きました。そして太神山へ祀られる不動寺本堂でお詣りをすませ、2等三角点埋まる太神山599.7mへ登頂でした。

 
 懸造りの不動寺本堂

 下山は参道から泣不動そして、松茸の山らしく、9月~11月にかけて入山禁止の表示が随所に下がっていたのですが、これはすべて昨年のもので、今年用には張り出しはされてはいません。松茸も出ないのだろうか。それに山の持ち主も高齢で、ここまで登ってきて張り紙を下げるのもできないのではなかろうかといらぬことまで考えながら、それなりに歩きずらい山道を下って、ようやく不動橋からすぐで立派な舗装路に出て、延々とアルプス登山口バス停まで帰ってきましたが、自販機もWCもなく、時間があったため、次のバス停である東急団地入口15:41まで足を伸ばして石山駅へ帰ろう。

 ところが5分走って上関バス停から乗った登山者が私の前の席へ座られた。へ~、矢筈からピストンで笹間ケ岳そして上関バス停へ下山されたようだ。ところが、話しかけてみると本当は関西百名山の太神山へ登る予定で大阪から来たのだが、岩場があり道がよく分からなかったので、来た道を引き返してきた。大阪へ帰ると青春18切符を持っておられたのにはあっけに取られてしまいました。

 話し出してみて、自分が歩いた道も地図を持っているのを見せて話されるのですが、よくよく聞けばはっきり歩いたコースの説明もしどろもどろであったのです。どうやら、矢筈ケ岳から引き返し、私がカウベルを落としたところを通過して富川道へ向かい、濡れ気味の岩場あたりで、怖くなってしまい、また、逆戻りをして池のある道から笹間ケ岳へ登り返し、上関バス停へ下山されたようでした。

 それにしても、自分の歩いた道すら説明できないような方なのに、よくも笹間ケ岳へ向かうことができたものだと、びっくりポンでした。関百を大分歩いておられるようでしたが、どうやら、これまではほとんどが他の人に連れて行ってもらってるのではないだろうかと勝手に思っていました。しかし、それで大阪からよくも単独で出てこられたものだと思うのでしたが・・。それにしても、今回は落し物はするし、おかしな単独行の方に三度も出会うし、おもしろい一日となったのでした。

 そうそう、最後の最後に東急団地入口バス停に向かう田んぼ道でアキノタムラソウが見事に咲き誇っていたのが、まだまだこちら方面では自然が豊かなんだなぁと独りぼっちで多いに楽しめました。

 
 満開のアキノタムラソウ
 

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