比良 中井新道からヤケオ山 ’16.9.10
JR近江舞子-中井新道-ヤケオ山-ヤケ山-涼峠-JR北小松 |
実は本日の目的は中井新道の登りではありません。でも、やっぱり比良の中井新道は一応過去に登山道もそれなりに手を入れられたコースであることから、比良を歩く人には中井新道というコース名くらいは知っている方が多いようです。そのようなことから、さわりくらいの中井新道を触れておきましょう。
歩いたヨといわれるほとんどの人は、このコースを下っていますが、これは最初にHPで取り上げた方が「中井新道は登りは舞子の駅から登山口までの間が分岐多く、表示もなくて分かりにくいので、下りの方が歩きやすい」と書かれたことによると思われます。実は私も過去は全て下りオンリーでした。
それから、このコース歩きはしばらく遠ざかっていたのですが、今年になってネット上で中井新道は歩く人も少なくなり、相当の荒れ状態が進んでいるとの情報が目に入ったことから、その荒れ具合を確認してみようと4月末にやっぱり下りで歩いてみました。そうそう、この時に唯一満開となっていたシロヤシオの姿はどうかなと確認もしてみました。この後にすぐ出てくる古道も確かに上部は以前とそう変わりなく歩けましたが、下部は相当の倒木などで荒れ放題の部分がありました。
そして、やっぱり中井新道の登りをやってみようと本年の真夏に大汗かいて初の登りをやることができました。今年のその二回目は下山した後のJR舞子駅までの道をはっきりと覚えていましたので、難なく登山口あたりまで着けたのですが、肝心の登山口あたりのテープを見逃したために、若干のロスとなりましたが入口が判明すれば、その後は古道を確実に追えばP761へ登れました。そこまで登れば後はヤケオ山までは稜線歩きでした。
このような経験で、今回は中井新道歩きは単なる近道としての利用であったのです。そこで今回のお目当てです。
それはヤケオ山の隣の小ピークであるヤケ山付近で大群生で咲く「シコクママコナ」を見たいとの山行だったのです。こちらの群生地で咲くシコクママコナの再会は数年前の9/28に見ての大感動以来でしたが、今年は早いだろうとのことで開花日程がぴったりとなったのでした。どうです、この大群生状況は!
さて、この花の様子をもう少し詳しく見てみましょう。↓の画像は本日見たものばかりですが、いずれもシコクママコナでしょう。
①米粒のような部分が白いが基部が褐色 | ②基部褐色、米粒も黄色がかっている | ③三件とも苞が定かでないが鋸状あり |
主たるママコナ類の区分点を比較してみましょう。なお、この仲間の分類はゴマノハグサ科からハマウツボ科ママコナ属へ変更されています。咲くのは山地のやや乾いた林縁や草地に生える半寄生植物です。花弁に2つ並んだ白い膨らみが米粒のように見えること、または、若い種子が米粒に似ていることが和名の由来の説となっています。
種名 | 花冠内の米粒状の様子 | 花の基部につく苞の状況 | 分布の傾向 |
ママコナ | 下唇には2条の白色の斑紋あり | 苞は葉状で、縁は極端な刺状の歯牙になる | 全国各地に分布 |
ミヤマママコナ | 下唇に2列の黄色い隆起した斑となる | 苞は縁に鋸歯とならない | 東日本に多く分布 |
シコクママコナ | 下唇の2条の隆起部分が黄色い | 苞の縁にトゲ状の短い歯牙が散生する | 西日本に多く分布 |
関西圏では伊吹山でママコナは見てはいますが、一般的にはママコナの個体数が極端に少ないのではと感じており、総体的にはシコクママコナが多く分布するように思っています。ただ、ママコナかな、いや、シコクママコナでは・・というようにどちらとも見分けが難しいと思われる個体もありそうです。
要するに一点だけでなく、いろいろな面からの総合的な判断が必要ではないでしょうか。いずれにしても、ママコナの場合には下唇内がほとんど白っぽく見え、花の基部につく苞に鋭く棘状が目立つことがポイントであろうと観察時は見ています。反面、シコクママコナの苞の棘状は短く、そう多くはついていないと思っています。なお、下唇に2列の黄色い隆起した斑があり、苞に鋸歯がない場合、シコクママコナの種で苞に歯牙のない型であるものは、広島ではミヤジマママコナと言われているようです。
結論として、私的なザッとした三種の見分け方
①ママコナ=花冠内の下唇の二つの隆起が白く、苞に鋭く長い棘状がついているもの。
②ミヤマママコナ=花冠内の下唇の二つの隆起が黄色っぽく、苞は棘状とならずほぼ全縁となっているもの。
③シコクママコナ=花冠内の下唇の二つの隆起が黄色く、また、白っぽいものもあるが基部が茶褐色のもので、苞には、棘状となっていない場合もあるが、
それらのうちに短い棘状がつく苞が散見されればシコクママコナと判断しています。
ママコナ類についてはこれくらいで、ヤケ山から私はこれまではほとんど寒風峠からリトル比良へとか、オトシ経由の涼峠から下山にかかっていました。しかし、今回は10年ぶりくらいでしょうか、大石道から涼峠へ直接向かい、楊梅の滝下へ出てJR北小松へ下山としました。