京都西山に咲く花 ’16.9.16

 もう、ジャコウソウが咲いていることだろうと、西山へうろうろとしてきた。やったね!、そのお目当て花のジャコウソウ(京都府RDB:準絶滅危惧種)の満開に出会えたのである。でも、よく見ればもう足元には落花が目についた。厳密にはもう4~5日前には初々しく咲き初めていたのだろうか。昨年9/29には満開だったが、その時には沢山の落下が広がり、満開後半となっていたものを残念に思いながら、それでも喜々として撮ったのも忘れもしないのだ。
 今年の開花は、計算すれば去年より三週間ほど早くに満開を迎えたことになりそうだ。そして、この花こそ花の命は短くて・・の代表花ではなかろうか。和名は茎葉をゆすると麝香(じゃこう)のような、よい香りがすることによるといわれているのだが、私はこの花にどちらで出会っても毎回茎葉をゆするのだが、麝香の香りだなと思えた経験はないように思っているのだが、よほど我が鼻や心は鈍感なのだろうか・・。。

     
今年も満開のジャコウソウ(シソ科)に出会え~ ♪♪

 あたりには赤紫色のツリフネソウが数多く咲いている。だが、アキチョウジや大きな花を咲かせるツルニンジンはもうみじめな姿に変わり果てているではないか。それでも、あたりを黄色に染めんばかりに背高のっぽのオタカラコウが群落で林立し、よく見れば負けじとナベナも背比べをせんばかりに天をついた花跡を伸ばしており、傍らに残り花を見せてくれた。このナベナは数少ないマツムシソウ科の一員であったのだが、近年はスイカズラ科に移っているが、私的には何も忍でなくとも昔の名前(マツムシソウ科)で出ていてほしかった花なのである。要するに私はナベナも小林旭もファンなのだ。(笑)

 また、あたりにはレモンエゴマの群落も花が終わりかけているようだ。さて、エゴマが出てくれば京都では大山崎の離宮八幡宮を語らない訳にはいかない。とりわけ近年では大山崎での、長木(ながき)による油の取り組みがあり、それは古くから「離宮八幡宮はエゴマによる油の神社」として知られているためだ。
 ネット記事によれば「千年以上前、貞観元年(859)8月23日、清和天皇の勅命により九州にあった宇佐八幡宮が大山崎に遷宮されました。この場所は嵯峨天皇の離宮があったため離宮八幡宮と呼ばれるようになりました。離宮八幡宮では長木という道具が発明され、荏胡麻(えごま)の種子からの搾油が盛んに行なわれるようになりました。離宮八幡宮では毎年8月23日を油の日として、燈明用、工業用、食用として生活に欠かせない油の恵みに感謝し、日々の生活の平安を願ってお祭をしています。」とある。なお、エゴマは東南アジア原産とされ、別名ジュウネンともいわれており、食べると十年長生きできるという謂れからである。そのエゴマはシソ等とともに栽培される植物であるのだが、そのエゴマに似て、全体にレモンに似た香りがあることからの名と図鑑にあるが、こちらは自然種である。

         
 ナベナ(マツムシソウ科でなくスイカズラ科)   オタカラコウ(キク科)    レモンエゴマ(シソ科)

 さらに、目についた樹木の果実があった。アクシバとオトコヨウゾメの果実は赤色である。まず、アクシバの赤い実は食べられるが、実より花の方が特徴的であり、一度見れば忘れられないだろう。同じように花びらがカールして可愛く見える花にウリノキという花もあり、この両者はよく似た花姿と勝手に思っているし、もちろん大好きな両者だ。

 続いて、オトコヨウゾメだが、なんといっても名前がおもしろい。ネットにある名前の由来では次のように説明されているものがあるが、定説はなさそうだ。「ガマズミ類を地方の方言では「ヨソゾメ」といっているらしい。ガマズミの他の果実は生食できるが、この果実は苦くて食べられないので「男」をつけたものである。」との説や、大きい目のガマズミの実を子供たちが熟すと食べていたが、オトコヨウゾメの実はやせていて食料にならないので、男を冠してオトコヨウゾメというようになったらしい。
 なんとも分かったような分からないような説が図鑑等にあるのだ。それより、私は自然解説のなかで、「要するに私のように、女性にとって男として役立たなくなってしまった人のようなものだ。」と言って笑い話にすり替えることにする対象の植物である。(笑)
 でも、左利きの方には果実酒に用いれば、おそらく垂涎の的として多いに喜ばれる木の実であることもつけ加えておこう。なお、新しいAPG植物分類体系ではガマズミ属は、ニワトコ属とともに、スイカズラ科からレンプクソウ科に移されていることも知っておきたい。

     
アクシバ(ツツジ科スノキ属)     オトコヨウゾメ(レンプクソウ科)
 

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