京都西山 野の花散策 ’16.9.20
このところの台風には生活のリズムが大層影響されているのはわたしのみではなかろう。それにしても今年の連日の猛暑がなんとか消えて、「暑さ寒さも彼岸まで」との言葉が、ようやく実感でき一番ホッとしているのは己の身体であろう。
台風16号も南にずれたお蔭で、台風一過となってくれるのを待ちわびていたのであるが、どうやら雨模様はまだぐづつく予報と知れば計りなしの状態で、これではじっとしておられない。せめて、雨の落ちる時間まででもと、山は無理として野の花巡りの散策としよう。
しかし、いつ降ってきてもよさそうな空模様となってきたために、足早の散策となってしまった。見た種をサッと並べてみたいが、この時期の野の花では、なんといっても面白いのはマメ科ではないだろうか。いろいろある仲間でまず、ノアズキとヤブツルアズキについて相違点などを見てみよう。
ノアズキ (マメ科ノアズキ属) | ヤブツルアズキ(マメ科アズキ属) |
酷似するこの二種の同定ポイントは 花は共に大きさも造りも姿もほとんど同じで区別は容易ではないが、つぶさに観察すれば相違点が次のように分かる。
①ノアズキの花は竜骨弁と一緒に左側の翼弁が上を向き、竜骨弁の上部を包まず竜骨弁上部は全部見える。
②ヤブツルアズキの左側の翼弁は一緒に上向き、上部で竜骨弁上部を抱く(包む)ため、竜骨弁上部が隠れることになる。
なお、竜骨弁の基部を取り巻いている右側の翼弁(下側のもの)は両者ともほとんど相違は見られない。
しかし、この花二種での違いは相当慣れないとフィールドでは違いを見極めるのは容易ではない。やはり、このニ種は果実で違いを見分けるのが一番簡単である。なお、万一果実ができていない時には葉を見比べよう。なお、アズキはヤブツルアズキを改良したものといわれる。
①ノアズキは果実に毛密生、その豆果は広線形で約4~6cmの長さ。一方、ヤブツルアズキの豆果は無毛の線形で4~9cmと細長いと見るのが容易であろう。
②次にノアズキの葉の長さ、幅ともに約1~3cmと小さく先が丸っぽい、また、ヤブツルアズキの葉はまれに3裂するものもあるが普通ただ3小葉だ。その長さは3~10cm、幅2~8cmとノアズキより全体的に大きいかで同定しよう。
ノアズキの果実は幅広い | ヤブツルアズキの果実は細長い |
続いて、ヤブマメ、ネコハギ、アレチヌスビトハギを比較してみよう。
この三種は花や果実がそれぞれ色や姿が異なるために、見比べは容易であろう。↓の花姿をご覧になれば違いは一目瞭然であることがお分かりいただけるので、葉や豆果の相違については省略としたい。
ヤブマメ(マメ科ヤブマメ属) | ネコハギ(マメ科ハギ属) | アレチヌスビトハギ(マメ科ヌスビトハギ属) |
マメ科には他にタンキリマメ、トキリマメ、さらにはノササゲなどの同じような姿の黄色花があるのだが、それぞれの豆果はいろいろ特徴があって出会えると、これらだけで何とも面白い時を過ごせる種で、大好きなマメ科の面々なのだが、なぜかこの三種を当地で出会ったことがないのが残念である。さらに観察域を広げた活動が必要となりそうだ。
続いて、ザクロソウという珍しい花をご覧いただこう。葉がザクロの葉に似ていることからの名で、花は直径3mmと極小さな薄緑色に見える5弁花であるが、花弁でなく萼片が5個で超可愛らしいお花である。仲間にクルマバザクロソウという江戸時代末期に渡来し、各地に帰化している種もあるといわれる。後者の花は葉腋に束生することが相違点といわれる。(↓画像クリックで拡大画像や説明が見られる。)
最後にその他に見た主たる野草類をご覧いただこう。
オオニシキソウ (トウダイグサ科トウダイグサ属) |
ヒメジソ (シソ科イヌコウジュ属) |
ゲンノショウコ (フウロソウ科フウロソウ属) |
サワヒヨドリ (キク科フジバカマ属) |
タカサブロウ (キク科タカサブロウ属) |
ヌスビトハギの豆果 (マメ科ヌスビトハギ属) |
他に目についた野草類は次のようなものであった。
ノコンギク、ヒメジョオン、ヒメムカシヨモギ、シュウブンソウ、ガンクビソウ、ノボロギク、ハキダメギク、オカダイコン、オトコエシ、ヒヨドリバナ、ヘクソカズラ実、キツネノマゴ、アゼナ、イヌホオズキ花と実、ハダカホオズキ実、アキノタムラソウ、エノキグサ、コマツナギ、クズ、ゲンノショウコ赤白、ダイコンソウ、センニンソウ花と実、ヨウシュヤマゴボウ実、ミズヒキ、キンミズヒキ、イヌタデ、ハナタデ、イタドリ、カラムシ、ヤブマオ、ヒガンバナ等