比良 ホッケ谷右岸尾根から蓬莱山 ’17.1.28 晴

 JR蓬莱駅-ホッケ谷右岸尾根-ホッケ山-小女郎池-蓬莱山-キタダカ道-JR志賀駅

 久しぶりの大雪となった比良山塊である。これは出かけるよりほかはない。JR蓬莱駅(8:50)を出ると中年一人がスマホと睨みっこしている。この多雪に登山者は蓬莱駅には下車しないことも知らないのだろう。ここでまさか小女郎谷から取りつこうなどと下車したのだろうか。これだけの雪がプラットに積まれているのだから、その道へ一人で入ってもその谷筋で立ち往生し峠まではまず進すめないだろう。

 我が足はホッケ谷右岸尾根から蓬莱山を目指すのだが、縦走路の稜線さえ捉えれば後は踏み跡バッチリの新幹線並みのレールが敷かれているのだから、勝負は稜線までのこの尾根だけが雪との闘いになることをお目当てシュー歩きである。 

まずは駅のプラットより見上げる蓬莱の山並みに心躍らせる。

でも、駅前からもう道がツルツルに凍結しており、志賀中学の生徒たちと同じように転げそうになりながら学校上を回り込んで進めば、その前にまた見事な稜線がずらりと並んでいるのを見上げ、気分上々のワクワク感でこれからの雪上ハイクに期待が膨らむ。
そして、湖西道路をくぐれば山麓の別荘地が散らばる一帯となり、雪も次第に深くなってきた。いよいよ人影のない最後の建物地でスノーシューだな、と思って歩けば、なんと目の前にシューの足跡が横道から入って来ているではないか。
まさか、今日のルートは踏み跡など皆無だと心に決めてやってきた身にとってはこれをどう捉えればいいのだろうか。植林帯の中のトレースはウロウロしているのや、赤布からあらぬ先へ突っ込んで、引き返しているなどのトレースを見て、これは道を知らない
人だろう、それにまだそんなに時間は経っていないようだ。これらを見ながら、ひょっとして先行者に追いつくのでは・・と歩いていた。すると、ヘアピンカーブ手前で思ってたとおり、先行者の姿があった。
このコースはやっぱり初めての入山とのこと、「どうしてこの道を知ったの」と聞けば、「ネットなどで見たから」とのことであった。話しをしだしてすぐに駅から1時間少しで登山口(10:05)Ca390であった。こちらも単より二人の方が歩きやすかろうと一緒に尾根にかかった。
ところが、南尾根はすんなり上るも、本来なら北東への仕事道部分はなんなく歩けるだろうとタカを食っていたのだろう。その道上部で道が雪の中に消え、最初の左折点Ca620を見失ったようだ。やむなく無理やり北西に切り返して上がって、どうにか左画像の迷点最終地Ca690に着くことができたのでまずはホッとした。。結局林道よりの登山口からここまで1時間15分もかかってしまっていた。でも、ここまで上がれば後の道はもう大丈夫だ。
すぐにP735を踏んで11時半、谷分岐へ下って、いよいよこれからは登り一辺倒の尾根である。その方の口ではどうやら、この尾根を登るのではなく、林道をそのまま進んで、権現山への一般コースを登る予定のハズだったような気がした。手にするスマホのGPSでそのようなコースを見せてくれた。

お~、これはすまないことをしたのかなと思ったが、それも後の祭りで別に不満そうでもなかったことから、特にそのような話をすることもなく、すぐでやっぱりこの辺りで昼にすると言えば、その人もすんなり同じように食べることとなった。(11:40~12:20)
そして、元気なその方に歩いてもらい、なんとか稜線に13時(左画像)にこぎつけることができた。ところが、その方は「権現山へ行って、降ります。そしてさっき歩いた林道から車の置いてあるJR蓬莱へ帰ります。」と向かわれたのだ。
「そうですか、こちらはなんとか蓬莱へそしてキタダカ道を降りたい。」と言って、あ~やっぱり蓬莱より権現に行きたかったのだと思いながら、その方と別れることになった。
こちらの後は思ってたとおりの新幹線道である。でも、アイゼンも持たないために、さすがにツボ足では無理だろう。とそのままシューで歩き通すことにしたが、それが正解であった。
ホッケ山でもいつもであれば、少々の降雪時には風で吹き飛ばされて地が見えるのが普通なれども、今日ばかりはほとんど雪をかぶっていた。(13:15)バックには見慣れ過ぎた皆子山など京都北山の山並みが広がっているがゆっくり眺める気にもなれない。
南方向の景色も見飽きているのだが、右はしには愛宕山が薄っすらと写っている。中ほどに比叡山、手前左には黒く低いのが霊仙山で、右手前が先ほど別れた方が向かっている権現山であるのだが、もうどのあたりへ進んでおられるのだろうか~、アラキ峠方向はトレースは間違いなくあるのだが、栗原への道にはトレースはないかもしれないと言っておいたのだが、始めてとのことだが、よく歩かれる感じの方だから心配なかろう。

(後で蓬莱山直下の登りで追いついてきた中年男性に聞けば「間違って霊仙山へのトレースに引っ張られて登ってしまい、権現山からやってきました。」との話を聞いたからズゴノバンまでは間違いなくトレースはあり、それ以降は広い林道だから大丈夫だろうと分かった。)
こちらは、これから向かう我が方向である。でも、これだけ多くの踏み跡を追う山歩きは如何なものだろうかと思ってしまいながら、雪原なのか、はたまた、新幹線道かの心の葛藤に立ち向かうのもいつもの雪の山歩きの楽しみの一つとするのである。そして、勝手な道を選んで歩いたり、疲れれば人の道を借りたりしながら、歩き回っている男がいるのであった。
そしてホッケより半時間もかかって小女郎池(13:45)にやってきた。あたりはひどく踏み荒らされて目を覆いたくなるような雪原が広がっていた。さすがに看板の二本足も見えないほどの雪であった。まだまだ後があるためにゆっくりとはしてられない。
もちろん、小女郎峠はカットで、P1101方向北側にとってショートカットである。指呼の間の蓬莱も間近にきた。そして、北側には遠く武奈が白銀に輝いている。あちらも多くの登山者で賑わっていることだろう。
左画像は夏道の蓬莱への取りつき岩場の地蔵さん地だが、トレースはそれより東側を直に上っていた。このあたりから前方を見上げると真っ青な群青色の下に白銀が広がっている景色を、これも見たかった一つであると見惚れきっていたのだが、肝心の写真を忘れるほどの素晴らしさで、身も心もそして疲れも忘れ去り、これぞ天下一品である眺望に浸りきっていたのだ。

そこへ青空から5人のグループが降りてきたが、「どこへ降りるの?」、と聞けばリーダーらしき人と二人が10mほど先を歩き、後ろの3人に聞いたことになったようだが、その二人は「さぁ・・どこだったかな」、と一人が「え~とタイラとか言ってたな・・。」「そう、ダイラですか、まだ大分歩かないといけないから気をつけて降りてくださいね。」と交差した。

グループでの山歩きには全員に十分行程を知ってもらっての山歩きが、まだまだ徹底されていないのだなとの感じに今回も出会ってしまった。
そしてボーダー達で賑わう蓬莱山(1174m1等三角点)登頂となったのだ。時計を見れば14時半にもなっていた。
さすがに、琵琶湖バレーである。ボーダーが多いように見えたが、よく見れば土曜日にもかかわらず、驚くほどの人出ではなさそうだった。

(でも、下山後JR志賀駅には外国人観光客がうるさいほどたくさん電車待ちしていたが、この人たちは国ではスキー場がないのだろうか・・?、子供連れで、ごった返すロープウエイでよくも蓬莱山まで上下するものだとビックリものである。)
スキー場から降りて打身山へ向かう途中に、笹平を振り向くと逆光の中にボーダーの滑りで楽しそうな歓声が耳に入ってきていた。こちらは打身山山頂はカットして、その手前東側を巻きながら寺屋敷の本線からクロトノハゲへ向かおう。
  もっとも、近年では打身山山頂から直に電柱沿いへ降りる道を進む人が多くなって、本来コースである寺屋敷の行満波切不動尊や天命水前を進む登山者は無雪期以外にはほとんどいない。もちろん、きょうもノントレーで新雪のようなふかふか雪が広がっていた。

お堂の屋根の雪かきもしないで、ごめんなさいネ、でも下山まで無事故でお願いしますと、勝手な願いで手を合わす・・笑
すぐそばの天命水も雪深く、ノントレの深い深い雪の中、右側に滑落を注意しながら進むこととなったが、トラバース道後半は多雪に悲鳴を上げて、電柱沿い道へ向かって上り、そのトレースに合流して分岐に下った。頭の上にはゴーゴーとロープウエイが降りて行った。
分岐そばの展望台地からの琵琶湖の沖島などが綺麗に見えている。
分岐の表示板も、もう一度雪がくれば埋まってしまうのだろうか。左の赤い表示には「ネット・ロープの先は危険です。入らないでください。立ち入り禁止」と表示あるも、ご覧のように多くの登山者と思えるトレースがあるのだが・・
分岐から急坂を下って、クロトノハゲへのトラバース道が続いている。その後半では北に比良岳、烏谷岳、堂満岳に釈迦岳までも並んで見せてくれた。ところが、踏み跡はすぐにクロトノハゲへは降りずに、東南に右折して、無理やり近道としていた。やっぱり人間だ、一人ラッセルよりも楽してその踏み跡を追うことにしたい。
でも、すぐに15分ほどでキタダカ道の本線に合流してくれた。このような道から登り上げた登山者はキッと普段からのキタダカ道熟練者だろうと、感心しながらその後もゆったり降りることができた。(登った人のトレースと分かったのは志賀駅で電車待ちのおばさんがキタダカ道を上り、ロープウエイで降りたと言っていたからの判明であったので間違いない。)
天狗杉には15:40に着き、2~3分ほどひと息いれながら、今日の山行の素晴らしさをまだ下山してもいないのに心うきうきとなってしまった。
その下の方で「ワカンを突っ込んでしまって抜けないんです。」ともがいている一人の男性がいたが、どうにかワカンが引っ張り出せたようだった。こちらはその方を追い越して先に降りた。
そして、林道の第一堰堤から先のロープウエイ山麓駅への分岐を右に見送って、分岐を左折し雪まみれの小さな脇山橋を渡ればすぐに左画像の第二堰堤に出合って、琵琶湖を見ながら降るがまだ雪はあった。

ワカンの主は第一堰堤下分岐辺り両方に踏み跡が散乱していたのだが、どちらへ行けばいいの・・?、状態ではないだろうかと、いらぬお節介なことを思いながら下山に向かった。

そしてこちらは、さらに分岐を左折して駅の見下ろせるあたりの木戸の最初の民家のゴーゴーと音を立てて流れるところでシューやスパッツにストックなどを後始末させていただいた。今日の歩きはほとんどシューをつけたままで歩きとおしたことになり、このコースでは初めてのようだった。
これより15分もかからないでJR志賀駅(16:55)に帰り着いた。それにしても今回は8時間ほどの超スローペースの歩きとなったようだ。どうりでのんびり太郎であったのだ。シュン

 なお、今回に負けず劣らずの大雪の6年前の蓬莱も、最初の取りつきが少し異なるのですが歩いていますから見比べて見てください。こちらです。

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