1月の大雪により荒れ放題の大杉谷左岸道となっている。入山は慎重に・・

京都北山 大杉谷左岸から愛宕山 ’17.2.8 曇

 清滝-空也の滝-大杉谷左岸-愛宕山-水尾岐れ-西尾根-JR保津峡駅

 

 「伊勢へ七たび熊野へ三たび愛宕様へは月参り」と古くから京のことわざとして言われてきたという。やみくもに愛宕詣での山登りではなく、せめて今年はその俗諺による月参りの山登りもいいのではと考えている。ところで、昨年と異なり今年の気象状況はうれしいほどの寒波模様である。

 山好きなものにとっては、寒い時には寒く、暑い時には暑くとの正常な地球上の温度であってほしいものであるのだ。さて、そのような冬はやっぱり相応の積雪が必要である。夏の水不足の心配となるような雪なしの冬もいただけない。当然、雪が少なければ、咲くべき山野草も姿を見せてくれないのではもちろん困りものである。そして、上手い具合の積雪状況によっての雪山遊びが楽しめることも気になるところでもある。

 今年はどうやら、そのような気がかりな寒波状況がグッドな様子を見せてくれそうな年回りとなりそうだ。さぁ、喜び勇んで山へ向かおう。とのことで、2月の愛宕さんへの月参りとしよう。もちろん、お気に入りの大杉谷左岸道へ入ろう。ところが地元新聞やテレビでの情報で知ってはいたが、山中は思わぬ雪害が大きいようであった。

 いつものように清滝(8:45)より空也の滝手前から取りつけば、すぐに倒木の連続場面登場でびっくりである。その後倒木だらけであったのだが、ヒグラシの滝がそろそろかなと思えるあたりまで上れば、左は谷、右は遠く上まで斜面地に、やや、これは通れない、どうすれば・・というような大杉が重なるように倒れかかって道を大きく隠してしまっている。やむなくなく沢筋を渡渉してどうにかドボンもなく上の道へと進んだのである。
 それに、ヒグラシの滝へ降りるも、滝の手前にも杉の倒木で滝まで進めなくなっていた。さらに続いて右股に向かえば道が土砂崩れもあったりと、大杉谷一般道に合流するまでには数えきれないほどの箇所が土砂崩れや倒木によって痛んでおり、時間も通常より相当のロスとなってしまったのである。

         
 滝下の大杉倒木で通行不能   そばまで行けなくなったヒグラシの滝     右股の土砂崩れ地

 結局登山口である月の輪寺向かい側あたりから、大杉谷一般道合流地まで2時間も要してしまった。もちろん足元の雪はほとんど白くても柔らかくツボ足で登れるくらいであったのだが、倒木や土砂崩れによる障害物越えに紆余曲折せざるを得なかったのだから体力はしっかり使ってしまったのである。

 このようにアイゼンも不要なほどでありながらの大杉谷左岸であってもこれだけ苦労させられるのであるから、もしこの後にも1月中旬と同じような積雪となれば、このルートをとるのは危険な状況となるのは間違いないであろうと、さすがの当方もこの道へは今月はよして、3月になろうと登りながら弱気なことを考えていたのだ・・。

 さて、その後の一般道の大杉谷急坂から月の輪寺道へと合してからは緩やかとなってくれ、ゆったり歩きである。そして、広沢の池や桂川の銀色の景色を眺めながら白髭神社から愛宕神社へ、清滝から3時間半もかかってようやく到着となった。さすがに-4度でありお参りを済ませて、お決まりの「阿多古祀符 火迺要慎(あたごしふ ひのようじん)の護符を求めて知り合いへのお土産としよう。

 ちなみに、京の家では、この護符を求めて台所に貼り、火難除けとする慣わしが古より続いている。また愛宕神社は三歳までに子供が祀ると一生火難を免れるということにより、七月三十一日の夕刻から八月一日早朝にかけての参拝は千日詣りと呼ばれ、千日分のご利益があるとされていることより、三歳未満の子供を連れてというより、おぶってお詣りする姿も見られる。それに愛宕神社で護符と樒を受けることでも知られている。

 
 粉雪散る愛宕神社

 そして、珍しく空いているストーブ小屋へ飛び込んでゆったりお昼としよう。毎日登山らしき男性数人が大きな声でのんびりタワイナイ駄弁りで賑やかである。耳に入る話では、どうやら時間は売るほどあるような人たちのようで、表参道を往復する愛宕歩きの方で、内容的に聞くほどのことでももなさそう・・・。
 そこへ二人連れの女性の方が静かに登場であり、雰囲気も上品な物静かなお友達のようで、聞けば月の輪寺道から登って来られたようで、お花好きだということで話が弾み、鳳凰三山など花の百名山、アルプスや鳥海山など東北の山などの経験もあるとのことであった。それだけ相当な山歩きをされているとのことで当方のガイドによる花歩きはどうですかと誘うのであったが、花も詳しくこれだけ花好きで山の経験からしてもお客様として最適な方達と出会えたのも久しぶりのことであった。是非ご一緒したいものである。。

 ゆっくりのんびりとストーブ小屋で小一時間もお昼休憩とし、お先にと下山にかかって、この雪の状況であれば下りでもアイゼンも出すこともなく、水尾岐れから10mで西尾根へ下ることとした。こちらの道は南向きのために、雪も最初の炭焼き窯跡あたりでほとんど無くなってきた。

     
 表参道水尾岐れ   小屋そばから南へ下る西尾根取りつき 

 ところがその窯跡あたりにまた倒木が道を完全に塞いでいた。しかし、その倒木もなんなくクリアーして降りれば鹿除け柵地だが、こちらの網越えに上から長い倒木が網を押さえつけて用を為さない状態となっていたために、その中を下山し下の網を解いて道に出られるようになっていた。これでこの間も登山者が従来通り歩くことになるだろう。

 
 西尾根上の炭焼き釜跡地の倒木

 その下の米買道の大岩から中尾根を下って鼻歌交じりで水尾道の車道へ下山となってJR保津峡駅到着(14:50~15:04)としたのであった。それにしても大杉谷左岸道がこれまでにないほどの荒れ様となってしまったことから、今後は歩く人も少なくなってしまうことだろう。これでまたこのルートの廃道化が進んでしまうのではなかろうか・・との心配事が発生してしまった山歩きであった。

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