比良 小女郎谷北東尾根から蓬莱山 ’17.5.8 晴のち曇

 

 JR蓬莱-八屋戸-P265-無名峠-北東尾根-P717-縦走路-蓬莱山-P1101-小女郎池-
Ca1090ケルン-縦走路合流-ホッケ山-ホッケ谷右岸尾根-P735-林道-JR蓬莱

 前日は醍醐三山ハイクの案内であったが、やっぱり登山もしたいと脚が叫んでいる。今夏のアルプス案内のためにそろそろアルトレも必要だろう。幸い好天に恵まれたので、小女郎谷北東尾根を登って急登に向かってみよう。満開のコバノガマズミ、蕾のタニウツギにナルコユリもまだまだ蕾ができたばかり、こんなのを観察しながら駅から八屋戸左折の金毘羅道を半時間でP265の三叉路到着だった。この左角には「森の中の手づくりギャラリー木花夢坊」の可愛らしい小さな手作り看板が下がっているので分りやすい。

 
P265の三叉路の看板 

 ここで衣服調整し、カウベル装着でいよいよ山中へ入ろう。崩壊寸前の小屋から西北へ林道を取る。足元は杉の小枝の散乱で少々歩きにくいが、タネツケバナ、朝方は気温低しで花はすぼんでいるタニギキョウなどが楽しませてくれ、次第に急坂となってきても何とか頑張れる。
 そしてCa400あたりで道がぷっつり消える。これより同じ西方向へ植林地の中を頑張るばかりであったが、足元にはバイカオウレンは小さな葉っぱばかりでとても花をつけた様子はない。でもヒメカンアオイだろうか、こちらも若い葉ばかりで花期は晩秋から初春あたりのようだからもう花は終わったのだろう。

 それにしても急坂だなと思えるころには無名の峠地に到着でフラットでありがたい。さぁここで長めの一本である。というのもこの後はここCa500から650までが激急登となることを知っていたのである。この無名峠から西への小女郎谷へはきれいに踏み跡の道が降りていた。おそらくここより上部に続く植林帯の伐採作業の人たちの通い道となっているのだろう。反対の東側には道はないので、作業者は小女郎谷からしか上り下りしていないのだろう。でも、山歩きのこちらはそんな道には用はなく、やっぱり道なき今回の東側からの登りがもちろんいいに決まっている。

 
無名の峠地 

 さてさて、杉や檜の植林帯の急坂を小さなシキミやアセビの小枝を引っ張りながら、ふぅふぅ言いつつ登りあげよう。でも、急で高度を稼ぐのも早いために、なんとか辛抱できる範囲だろうか。書かれた字の色の消えかかった公社営林地の看板を過ぎてCa650あたりまでの急登をほぼ半時間足らずで上ってホッとしよう。

 そして、Ca650あたりまで上がれば、ここまでがあまりにも急であったために、その上は平坦とも思える気がした。ここでホッとすれば浅く掘れた道型が目に入って難なく歩けるではないか、これはありがたい。ゆったりと体を休めるように歩き進めよう。

 そうこうしている間にP717へ到着である。ここまで駅から1時間40分であった。それにしてもきつい登りが堪えた。ここで10分休憩としよう。今回のルート上で地形図へ標高の表示が掲載されている個所は、ここと最初のP265のみであり、その点では寂しい。

 
113の赤いポールが立てられていた 

 すぐにCa800あたりまで上がれば岩の埋まった尾根となってきた。これより100mほど標高を上げると、あたりはブナの自然林が広がって素晴らしい。この雰囲気がガラリと変わってきたことから気分上々となり、咲き初めのイワカガミが岩場の周りに広がり、嬉しい瞬間である。しかし、こちらの尾根のイワウチワはもう終わっているようだ。
 そして残り花のカタクリはチラホラとしか見られない。カタクリといえば鹿除け柵内で大群落を見てはいるのだが、そんな人の手にかかって咲いている花壇の花を見るようでいただけないと思っていたが、ここへ登って来てやっぱり大自然の中で咲く花が、何よりも本来の姿であろうと思わずにはいられない。

 さらに、周りには太いブナが出迎えてくれたのだが、一帯は太いものは数少なく、若い若い二次林ばかりのブナ林が広がっている。これらの木々はまだまだ未成年までもいかないほど若木のブナが大群生となっていた。それらの中には白い花をやっと咲かせたのだろう。ムシカリが風を受けて枝を広げていたが、他には花らしきものは見当たらない。右前方にはようやく蓬莱がチラッと頭を見せてくれる。 

         
 咲き初めのイワカガミ    わずかに残花のカタクリ   若いブナ林 

 さらに1000mあたりまで上がれば、青空の下へ枯山水の日本庭園のような雰囲気が現われた。そのようなところを岩を縫いながら歩ける幸せ感一杯の至福の喜びとなる。登り一辺倒の今日の尾根も後少しとなったことが分かり、右前方にはさらに蓬莱山のリフト小屋も見え、さらに近くなった気がする。そして1050m、今度は左手を見れば人の姿もない小女郎峠が晴天の下へ静かに広がって見せてくれた。山は平日が最高であるのだ。

     
日本庭園のよう     西側の小女郎峠

 いよいよ、すぐ上が大パノラマが飛び込んできたのだ。比良縦走路でも東側の琵琶湖などの見晴らしはよいのだが、この場所からの眺望は比良随一の展望台と自慢したいところでもある。

         
 Ca1050から登って来た尾根見下ろす    同じ地から北の蓬莱山    展望後に縦走路へ合流し左へ向かう

 笹原に立ってのパノラマビューを存分に楽しんでから、すぐにP1101手前の地蔵さん地へ進んだ。ここまで無事に登って来られたことに感謝して首を下げましょう。縦走路も誰も姿はなかった。そして青空の下で待っててくれる本日の高みの蓬莱へ進もう。

 20分で上がって、ちょうど昼時だから観光客が芝生の上のベンチへ大勢が座って食べている。こちらは1等三角点に挨拶後はすぐ下の山の休憩所に入ってのんびり半時間ほど昼を広げた。腰を上げれば外はやっぱり黄砂が広がっており、遠くは霞んでいる。

 
蓬莱山1等三角点 

 下りは縦走路をホッケ山まで進み、ホッケ谷右岸尾根を予定通り下るのだ。でも、途中P1101から笹原をかき分け小女峠をカットして、小女郎ケ池に立ち寄って行こう。その足でCa1090のケルン地へ上がって蓬莱とともに武奈やコヤマノ岳などの展望を楽しみ、そして笹原をかき分けて縦走路に乗った。

     
静かな 小女郎ケ池  蓬莱山をバックにケルン  左奥に武奈、コヤマノ岳

 ケルン地から15分もしないでホッケ山到着だった。途中の稜線にフモトスミレを期待していたのだが、タチツボ、シハイスミレの終盤やアセビにムシカリの咲き初めくらいだった。お目当てのフモトスミレはまだまだのようで、影も姿も見せてはくれずじまいであった。

 さぁ、最後のマイナールート下りとしよう。今冬の大雪に雪の重みで倒木が多く、あれだけ手こづったこの尾根登りと下りの二度の右岸尾根だったが、今回はさすがにホイホイと50分で、縦走路とりつきから林道下山口まで降りてしまったのは何だったのか。思えば雪の中の倒木だらけが原因であり、本来の道が隠されてしまって、惨憺たる苦労だったのだが、本日とは雲泥の差には笑ってしまった。それにしても春のイワカガミの咲き初めを眺めながらの歩きはありがたいものであった。

 その後のJR蓬莱駅までの林道歩きでもタニギキョウ、オオバタネツケバナの満開やヤマコウバシの芽出しの葉を観察しながら、吾なればこその歩きを楽しむことができ、車窓からあの尾根を登って苦しめられ、こっちの尾根を難なくやっつけて下山したのだな、と思うころには汗臭いザックを枕に目がふさいでいた。

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