湿地帯に咲く花 ’17.6.24

 カキランはもう咲いているだろうか。それに第二目的のコバノトンボソウも咲いていることだろう。でも、第三目的のトキソウはすでに時遅しの様子ではなかろうか。などと思いながら出かけてみたのだ。実のところは来週の水曜日あたりがカキランの花時だろうと読んでいるのだが、どうやら明日(6/25)から一週間は本当の梅雨となりそうな予報であり、やむなく24日としたのである。

 まずは本日一番のお目当てのランであるカキランだが、咲き初めとなっているが、かたわらにはまだまだ蕾だらけの株がいっぱいあり、もう一週間は咲き誇ってくれることだろう。。

         
日当たりのよい湿地で咲く  ラン科カキラン属 カキラン  柿色の花を10個ほどつける

 続いて、コバノトンボソウだが、こちらは満開で大群落となっている。

         
 日当たりのよい湿原で咲く ラン科ツレサギソウ属 コバノトンボソウ  葉は1枚で、黄緑色の花は見つけにくい 

 

 朱鷺の羽色に似ることからの名前と謂れのあるその地へ着けば、トキソウが思惑どおり一週間ほどの遅れとなって残り花で待っていてくれた。しかし、ほとんどの花が痛みかけているものや傷ついたものが多かった。でも、よくよく見ていけば、どうにか見られる残り花も、それなりに咲いており、どうにか間に合ったのはありがたい。

         
日当たりの良い湿地 に自生  ラン科トキソウ属 トキソウ   葉は茎の中部に1個つく

 

 トキソウで十分心遊ばせた後に、視線をかえると何と一部分が赤くなって見えているではないか。呼ばれるように寄ってみれば、それはトウカイモウセンンゴケの群生であった。ところがモウセンゴケの仲間たちはいずれもmm単位の小さなお花を咲かすのである。コンデジの辛いところである。さらに進めば、モウセンゴケの本家はもとより、仲間内で一番花期の早いイシモチソウまでが、まだまだ残花を咲かせていた。

     
 モウセンゴケ科属 モウセンゴケ   同左の葉はスプーン形  食虫植物
     
モウセンゴケ科属 トウカイモウセンゴケ    同左の葉はへら形 
     
モウセンゴケ科属 イシモチソウ    同左の葉は三日月形で巾4~6mm 

 さらに進めば、こちらで見られるとは思いもよらなかったノハナショウブの残花が咲いてくれていた。思わず「ヤッホ~」と声が出てしまった。神社の境内にある池の中の花であるハナショウウとは、こちらは自然花だけに、感動は比較にならない山野草なのだ。園芸種のハナショウブはノハナショウブが原種であり、有毒なために湿原などで食害に遭わずに群落となることがある。
 ところが、ノギランはいまだに蕾ができたばかりのようである。それに、ササユリがこちらでは昨年と違ってめっぽう数少なく、それも終わったものや、蕾状態のものなどしか目につかなかった。いずれにしてもカキランなどとともに昨年より相当の遅れのようだ。もっとも昨年が早すぎたのでもあるのだが・・。

 
アヤメ科属 ノハナショウブ  

 その後には心に余裕がでて、イソノキの地味な開花や、クロミノニシゴリ、ヘビノボラズのまだまだ若い果実にも目を止めたり、ウメモドキの残花を覗いたりしながら心躍らせていたのだ。砂の広場には地を這うように、いつまでもテリハノイバラがいっぱいの花である。

         
クロウメモドキ科イソノキ属 イソノキ    ハイノキ科属 クロミノニシゴリ     モチノキ科属 ウメモドキ
         
 メギ科属 ヘビノボラズ   バラ科属  テリハノイバラ   同左の托葉、棘、枝無毛 

 ウスノキの果実は真っ赤に熟してよく目立っている。一方、スノキの実は黒くなって熟していたが、そう目だたなく派手ではないためか、なぜか今日はレンズは気が進まなかった。なお、こちらではアクシバやツルアリドオシはまだ蕾であった。

 
 ツツジ科スノキ属 ウスノキ花でなく実

 もちろん、アオハダ、サルマメ、ガンピ、ナツハゼ、タカノツメやヤマハゼ、サルトリイバラにガマズミ等の若い実など最近見飽きるほどで、眼中にはないのでパスであるのだ。それよりも、つる性のアオツヅラフジやアマヅルの方に目はいき易い。

         
ツヅラフジ科アオツヅラフジ属 アオツツラフジ   この花は雄花 ツツラフジの仲間は有毒種    葉の両面とも淡黄褐色の毛がある
         
ブドウ科属 アマヅル 鋸歯は小突起     葉裏は脈腋に赤褐色のクモ毛あり    落葉つる性木本

 そして、相当歩けば、今度はキバナノマツバニンジンというアマ科の北アメリカ原産種で、明治末期に千葉県で見出だされて以来本州を中心に咲く。湿った道などで生える帰化植物であるが、外来種らしからぬ可愛らしさで咲き初めとなって風に揺れていた。

 
 アマ科属 キバナノマツバニンジン

 さらに、シライトソウがまだ咲いており、ここでは一か月からさいていたこととなるのだ。だが、ソクシンランはさすがにもう咲き終わってこれから果実化が始まるようだった。

         
 シュロソウ科シライトソウ属 シライトソウ    キンコウカ科ソクシンラン属 ソクシンラン   叢生する根生葉から花茎が立ち花多し 

 最後に「ネコヤナギ」だがこの時期となれば、いよいよ色づいた虫こぶが気になりだしてきた。

     
ネコヤナギハウラタマフシが数えきれない    葉裏も白毛密生で、虫こぶともに目立つ 

 * どうやら、ネコヤナギハウラタマフシという虫こぶらしい。その虫えいにはコブハバチの一種の幼虫が入っているらしい。だが、そんな中身までは見たくない・・。笑

   それより、ヤナギ科の虫えいでは、これまでに「柳のバラ」といわれるイヌコリヤナギにつくものを見ていたのだが、今回のネコヤナギが二度目の出会いであった。
  ちなみに柳のバラといわれる虫こぶの正式名称は「ヤナギシントメハナガタフシ」(柳芯止め花形付子)というようだ。

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