京都西山に咲く花 ’17.6.26

 梅雨の中休みを狙って西山の花巡りに出かけたが、結果として一日中雨は降らずに8時間に及ぶ徘徊となったのだ。ところがラン科のツチアケビが3年ぶりに咲き、オオバノトンボソウが蕾ほころび、おまけに花の開花がもうすぐのような雰囲気のムヨウラン?にまで出会えたことから、久しぶりの西山徘徊が充実の嬉しい一日となったのである。

 まずはツチアケビからだ。

         
葉は退化し葉緑素のない植物    ラン科ツチアケビ属 ツチアケビ    9月頃にはアケビ形の実を確認したい

 次にオオバノトンボソウがようやく蕾ほころぶ状態となってきた。もう少しで開花である。

 
 バラ科ツレサギソウ属 オオバノトンボソウ

 それに、希少種のムヨウラン?が嬉しい。まもなく開花時期だろうか・・?、いや、これはもう花後ではなかろうか。。この種は葉緑素を持たない菌従属栄養植物と言われるようだ。移動、栽培は完全不可であることを知ろう。いずれにしても、この後も盗掘に遭わないように末永く見守りたいと思うのだが・・・。

     
ラン科ムヨウラン属 ムヨウラン?    京都府 絶滅寸前種 

(’17.6.29 *部分追記)

  今回見つけた花の茎高は33cm、花の部分は茎から先が一番下が枯れており、二番目が3.5cm、3.4.5番目がほぼ同じく3cmであった。それに、写真には写っていないが、退化した葉らしき部分は茎の下部に三か所、張りつくように黒褐色となってついていた。
 それに、ムヨウランにはいろいろな種類がありそうだが、発見三日後に再度出向き、よくよく細かく各部分をルーペで拡大して観察してみると、花跡の部分らしきところへ微小突起?、がありそうだ。調べれば、近縁種のホクリクムヨウランには、花茎、花柄子房や果実にも微小突起があるが、ムヨウランにはないとネット上に解説等があることから、この花はホクリクムヨウランであるかもしれない。いずれにしても、花の開花を来年までゆっくり待つこととし、その後に確たる同定等の調査をすることとしよう!!。


  次は草本類だが、数は多くない。今年のオオルリソウは鹿の食害で、これ一本となってしまった。

         
オオルリソウの蕾     ムラサキ科属 オオルリソウ   茎には1mmほどの圧毛がポイント 

 *一方、茎に圧毛でなく、粗い開出毛があるのは近縁種のオニルリソウで、花などでの区分は難しく、茎の毛の様子が同定ポイントとなろう。その画像はこちら

 
 次はノギランだが、こちらもなかなか開花は遅々として進まないが、それでもようやく蕾ほころぶ状態となってくれた。

 

     
キンコウカ科ノギラン属 ノギラン     蕾でもワクワク気分である・・


 次にシオデである。黄緑色の種であるから、周囲の緑色の中にあって見分けにくい花である。なお、タチシオデと共に『日本のアスパラ』とも言われるくらいにアスパラガスのような味で美味しいことでも有名である。

         
 サルトリイバラ科シオデ属 シオデ*   シオデは日本のアスパラとも・・     葉裏は白っぽくならず無毛*

 *シオデと近縁種のタチシオデとの相違点であるが、タチシオデは開花が早く、春5~6月頃には咲くが、シオデは6月下あたりから8月にかけて咲く。花は両方とも雌雄異株だ。しかし、以下の相違点もさらに知っておけばフィールドで仲間からビックリされること請け合いだ。笑

①花のシベの先の葯が巻くのがシオデ(↑左画像)、巻かないのがタチシオデである。
②葉裏が表と違い白っぽく見えるのがタチシオデで、表と変わらず緑色がシオデ(↑右画像)である。
③両者の茎では、浅い稜が数条ありザラつくのがシオデで、滑らかなのはタチシオデである。
④果実では未熟時は白く粉がふくのがタチシオデで、浅い緑色がシオデだが、その後熟してくると両者供深い緑色となって判明は容易ではなくなることも覚えておこう。


 続いて見られた山野草たちである。トチバニンジン蕾、ツルアリドオシ満開、ササユリ終、オカトラノオ満開、キツリフネ終、マルミノヤマゴボウ果実化

 

         
ウコギ科トチバニンジン属 トチバニンジン   アカネ科ツルアリドオシ属 ツルアリドオシ    ユリ科属 ササユリ 
         
 サクラソウ科オカトラノオ属 オカトラノオ    ツリフネソウ科属 キツリフネ    ヤマゴボウ科属 マルミノヤマゴボウ


 それにヤマノイモ科属たちである。

         
 オニドコロ    ナガイモ    キクバドコロ

 


 後は木本類たちだ。ところで今回はポンポン山山頂の樹木たちの花または果実の様子を確認してみた。山頂での樹木17種を確認済の内で花はイソノキ、イヌツゲ、シバグリが咲き、カマツカ、ウワミズザクラ、カナクギノキ、ナツハゼ、クロモジの果実化が進んでいた。その中で画像はイソノキの実を撮った。

     
クロウメモドキ科イソノキ属 イソノキ     ポンポン山

 木本類はこの時期のために花や果実たちが多数見られるのだが、今回は一部の画像のみ取り上げよう。花はナツツバキ、ムラサキシキブ、アクシバ、シラキ、アマヅルで、果実化は次の通りであった。ヒノキバヤドリギ、クロバイ、チドリノキ、コクサギ、ゴマギ、ヤブデマリ、コバノガマズミ、ニワトコ、スノキ、ウスノキ、タカノツメ、ヒメコウゾ、ニガナ、クマイチゴ、コジキイチゴ

         
 ツバキ科ナツツバキ属 ナツツバキ    シソ科ムラサキシキブ属 ムラサキシキブ   ツツジ科スノキ属 アクシバ 

 
 (’17.6.30 追記)

 アマヅルは小さな花を咲かすが、まだまだ蕾のようだ。

     
 ブドウ科属 アマヅル   同左の葉裏  毛が多い

 * ブドウ科はヤマブドウ、エビヅル、サンカクヅル、アマヅルやノブドウ等が山歩きの中で見かけるが、中でもアマヅルはサンカクヅルとよく似ている。その主な違いを取り上げてみよう。その同定ポイントは葉での比較が一番ではなかろうか。

①アマヅルの葉は両面とも光沢があり葉質は厚めだが、サンカクヅルは単に緑色で、葉質は薄いくらいだ。

②前者は鋸歯が小突起で縁は丸っぽく山状となって膨らんでるように見え、後者のサンカクヅルの葉には歯牙上の浅い鋸歯となり、鋸歯と鋸歯の間は谷状となってへこんでるように見える。

③成葉は普通には両者とも三角状となるが、アマヅルの葉は寸詰まりでサンカクヅルの葉身より最大2cmほど短い7cmくらい。それに、アマヅルの若い木につく葉は、特に三裂しやすく、葉裏は紅紫色となりやすい。

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