京都西山に咲く花 ’17.7.15

 ツチアケビのその後を確認しようと西山を8時間にわたって徘徊した。しかし、そのツチアケビは鹿にすっかり喰われてしまい、2~30cmほどの茎が花などを喰いちぎられた状態で突っ立っているだけであった。そのような姿を目の当たりにして、連日の猛暑日で一層堪えてしまい、その後の歩く元気もなくなってしまった。
 でもでも、なんとか頑張って歩き回り、その後にオオバノトンボソウの満開や、こちらは鹿の忌避植物の仲間といえるのだろうか、ノギランの咲き初めに出会えてなんとか溜飲を下げることができた。とりわけ、オオバノトンボソウは鹿の目につけばすぐに食べられるために、山歩きの中でも花が咲いている状態に出会えることは多くはない種のようで、その点では運がよかったと思わざるを得ないのだろう。

     
オオバノトンボソウ    ラン科ツレサギソウ属 

 * オオバノトンボソウを正面から観察すると、その特徴がはっきりする。それは背萼片と側花弁が兜状に重なり、↑右画像では側萼片がバンザイをしているように見えているが、これは個体差がある。またハの字型に薄茶褐色であたかも顔の中の眼のように見えるのは、葯であり普通フレッシュな花の葯は白っぽい黄緑色だが、この花はやや時間が経っているので褐色になってしまっているのだろう。 

◎ ラン科ツレサギソウ属の同定ポイント(亜高山帯でも見られるものを含む)

①正面から見て花びら(側花弁)が輪になったもの=コバノトンボソウ(距が跳ね上がる)・ホソバノキソチドリ(下がる)

②正面から見て頭の上に庇状に背萼片が被さって、花びらの上に乗るものや花びらが中にあるもの = ツレサギソウ(距が垂れ下がる)・オオヤマサギソウ(反り返る)・オオバノトンボソウ(垂れ下がる)

③正面から見て花びらが角のように飛び出て、万歳しているようなもの = キソチドリ、オオキソチドリ(距が下向きに曲がりこむ)= ヤマサギソウ(距が日本刀のように反る) = マイサギソウ(距の先半分ほどが持ち上がる)

 
 ノギラン(キンコウカ科ソクシンラン属)の開花は、ここではこれからが本番のようだ。 

 
 花は下から咲くノギランはこれから

 他に開花していたものはシオデや、高い位置で開花のナツツバキは落ち花を集め、まだ開花が続くイソノキなどであった。最後に、下山中の湿り気ある路上でしきりに吸水中の蝶が留まってくれたのはモンキアゲハチョウであった。この頃ではこのアゲハチョウの仲間たちも、そんなに飛び回っているのに出会えることが珍しくなっているのではなかろうか。

     
 シオデ   ナツツバキ 
     
 イソノキ、これでも開花の花   モンキアゲハチョウが路上で吸水中 

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