比良 武奈ケ岳から釈迦岳 '17.7.20

 JR比良-正面谷-金糞峠-南尾根-コヤマノ岳-武奈ケ岳-イブルキノコバ-八雲ケ原-釈迦岳-イン谷口-JR比良

 ようやく今年の梅雨明け発表が昨日あった。それにしても近年の猛暑日の連続で身体はもうすでに疲れ切っている。でも、そんな弱気虫は叩き押さえて元気虫を呼び出し武奈へと向かうのだった。
 この時期である初夏花のラン科の花たちもほとんどが終焉となっている。それはクモキリソウやオオバノトンボソウであるが花跡は鹿に喰われたのだろう、茎の先上が無くなったり、葉毎すっかり姿がなくなっていた。また、ラン科ではないが、久しぶりに比良山系で姿を見せてくれたイチヤクソウは花から若い実に進行中である。
 

 結局、暑さの中の滝見歩きとなってしまい、いつもながらのかくれ滝など三つの滝で涼を取る歩きとしたのだが・・。今回の正面谷コースでは金糞峠の間に湧き水が三か所あり、前半は用意の凍らせた500ccペットボトル3本には手をつけず、湧水でことを足すこととし、ザックの軽量化を考えてスタートした。
 しかしながら、中間コースには湧水箇所はまったくなく、3本はあっという間に足りなくなってきそうだったが、氷化したペットボトルで飲むに飲めず、そのおかげで水はなんとか持ちこたえ、どうにかイン谷へ下山、リフト小屋跡の向かいの湧水で喉を潤すことでやっと事足りた。しかしながら、猛烈な暑さに閉口したが、それでもなんとか比良駅へたどり着いた。。トホホ

         
かくれ滝 18m     金糞滝 8m    カマブロ滝 5m

 さて、いつもの花巡りであるが、やっぱりこの時期である。その期待はまったくであり、敢えてあげればノリウツギが満開であったくらいで見るべきものはほとんどなかった。しいて言えばトリアシショウマ、ヤマトウバナにオトギリソウくらいだったろうか。それに果実類はウワミズザクラ、ムシカリにアカモノたちの赤い果実が目についた。

 
 ノリウツギ (アジサイ科・属)

  *ノリウツギの生育地はなぜか、撮影のし難い個所に咲いているような気がしている。ネット上にもあるように、樹高は2から5mくらいになる木ではあるが、先端がやや倒れて他の木により掛かり、つる植物のように見えることもあるのだ。
 生育立地はとかくに多様であり、林縁や草原、岩礫地、湿原にも生育する。私的にはなぜか崖際や地面から少し離れた地にあったりして、花や枝葉などを手に取れるような位置にはないように思っている。従って花そのものをマクロで撮り難い樹木である、とずっと不思議に思う樹種であるのだと感じている。
 ノリウツギという和名は樹液で和紙をすく際の糊に利用したことによるとの謂れである。なお、真夏の暑い花の少ない時期に満開となるノリウツギは、その点で花好き者にとってはありがたい種でもあるのだが・・。


 そうそう、この暑いころなのに、シダのヒカゲノカズラの仲間であるホソバトウゲシバが元気に見せてくれた。

 
ホソバトウゲシバ 

 正面谷を汗みどろで登って、金糞峠に着いたが、空には雲が広がって青空など見えず、ただ暑いだけの状態である。よくもこんな日に登ってきたものだと返す返すもツイテいないなと思うのであった。・・トホホ

 ヨキトオゲ谷へ入り、今度はシロモジだらけの葉を見ながら、谷に流れるせせらぎの音をBGMがわりに歩き、小さな丸木橋を渡れば南尾根であった。この尾根筋は先ほどの青ガレあたりの登りとは雲泥の差で、穏やかな登りが続きそのうちにブナの木が出だしてくれば、先にはブナ、ブナばかりの心地よき歩きが楽しめた。
 登り途中では、せめてはその大き目なブナを撫でまわし元気をもらいながら、上へ上へと登って行くのだが、若木ばかりで大木はそんなに多くないので、撫でまわすのも程よい回数となって、ちょうど良い歩きができるのであった。私的には元気をもらいたい古木の認定はつごう10本も満たないブナの数であっただろうか。

 コヤマノ岳山頂あたりで、初めて男性にコンチワと声を出したが、武奈の山頂までは人の声を聞いたのはこの一度切りで、しこたま若いブナ林歩きのコヤマノ岳となったのが、本日の一番喜びのひと時となった数少ない時間帯であろうか。
 よし、これなら武奈ケ岳の頂は独り占めだなと、ほくそ笑んで期待しながら、直下の急登を登り上げ、思い通りだ、人の姿はないぞ!、と到着して東側から回り込むように三角点を写し込み、東南側ばかり写真を一通り写して、さぁ、早いがメシとしよう。
 でもありがたいことには結構涼風があり、これならすぐに寒くなりそうだから、西北側に座ろうと回りかけたとたんに、一人の男性が立ち上がったのであった。これにはびっくりであり驚いた。「コンニチワ!」と元気な声で挨拶すれども、相手は蚊の鳴くような声で「こ・ん・に・ち・は」というと、そさくさとこちらの方を振り返りもせずに、下山していったのを唖然として腰を落として見送り、こちらは食事とした。

 あ~よかった、頂へついた瞬間によほど、ここではやったこともない「ヤッホ~!」とハリ上げようかナ・・と思ったほどだったが、止めていて、よかったなと思いながら、独りぼっちの40分ほどの武奈を過ごすこととなった。見上げても空は朝からと相違なく、黒っぽい雲が広がっていたが、それでも角度を変えればわずかに薄い青空もないではなかったが、蛇谷はなんとか見えるも、蓬莱あたりの頭は雲が広がってはっきりとは見えず、かくれなく広がる武奈の頂上とはいいがたい頂であった。
 でも、さすがに山頂である。よい気分になれる、ほど良い涼風が吹き渡り、かいた汗もすっかりひいて、快適な身に戻ったようだ。よし、さぁ、この後は予定通りイブルキから釈迦岳へ足をのばしてイン谷へ下山しようと腰を上げた。

 
 東側からの武奈三角点

 ところが、登りまでは二人しか目にしなかったのだが、降り出すとすぐに直下の下りで単二人にあって、この調子だと何人にも出会うことだろうと思ったのだが、結果はここまでの4人しか出会うことがなく、静かな山歩きとなってくれた。ところで、下山すぐのその二人目に会った方からは「頂上までどれくらいあるのでしょうか」と聞かれ、「え~、頂上までって、もう目と鼻の先ですよ、すぐですから頑張ってくださいね」と笑いながら、答えてしまった。だって、登ってこられたすぐ下から見あげれば、武奈の山頂は見えるのだから、と一人笑いしながら降りていくのであったが、「この山に登られたのが初めての方なのだろう。うらやましいナ、初めてとは・・。自分にもこの程度の初登山はどっか他にないのかなぁ・・」などと思いながら、コヤマノ岳分岐からイブルキノコバへ冬道を下って八雲ケ原だったが、他に何思うこともなく、さりとて花や珍しい樹木たちにも目も向かずに、ようやく八雲観音さんで首を垂れてカラ岳から釈迦へ向かった。

 そして釈迦岳山頂はもちろん、貸し切りであったのは予想どおりであった。北側の風景を楽しむも、何度も見慣れた景色で見飽きているが、武奈の頂とは違い、すっかり青空が広がっていたのには驚いたが、蛇谷ケ峰を見下ろしながら5分ほどのひと息で、すぐに頂上を辞そう。

 
 釈迦からの蛇谷ケ峰

 そして、大津ワンゲル道を左に分けて、右への南稜旧リフト道をイン谷口へ下山とした。さすがに後半には水分量が気になったが、それでも沢水のそばのニセ湧水で喉を濡らしてイン谷旧リフト小屋下山となり、その前で完全湧水をしこたま飲むのであった。そしてJR比良駅到着は14時半ころとなったが、本日は約20K弱を朝いちばんの湖西線で6時半ころから8時間もかかってしまった。フゥ

ホームヘ







inserted by FC2 system