湿地帯に咲く花 ’17.8.13
今年も酷暑の中の花であるサギソウの一番花を見させてもらってきた。さすがに去年の超満開時のサギソウとは異なり、本年は咲き初めで10本ばかりが、それぞれ一本ずつ別々の地に離れて咲いている状態の初々しいものばかりを眺めさせてもらえた。
サギソウの名の由来は、花の姿が羽を広げたシラサギに似ているからとあるが、まさにその通りであろう。 ちなみに、環境省カテゴリーは準絶滅危惧(NT)、京都府カテゴリー2015は絶滅寸前種となっている。いずれにしても、どちらで咲いていても超希少種であることを心得ておきたい。
サギソウ(ラン科ミズトンボ属) |
続いては、オトギリソウの仲間のヒメオトギリであるが、こちらは花も背も母種よりずっと小造りの花であり、山ふところの湿気た登山道に咲いていた。しかし、あまりに小さすぎて持て余してしまうのだ。花は一日花といわれる。なお、よく似たものでコケオトギリもあるが、コケオトギリは野原や休耕田などの湿ったところに生える花といわれる。なお、ヒメオトギリの雄しべは10〜20個と多く、葉には黒点はなく明点があるが、明点だけとはコケオトギリも同じである。また、花の下の枝別れにつく苞は線形~披針形(↓右画像)であり、茎につく葉(↓中画像)とは姿が異なる。
ヒメオトギリ(オトギリソウ科) | 茎につく葉はやや丸みがあり大きい | 花柄下につく苞は線形~披針形 |
サワシロギクはこれから多く咲きだすこととなろう。この種は京都府カテゴリ2015では準絶滅危惧種となっており希少種である。この舌状花はしばらくたつと白色からやや紅紫色に変わってくる。また、茎は細いが硬く枝分かれはほとんどしない。また茎につく葉も硬く、下の葉は柄があり細長くて大きい。また中程のものは中くらいで上には次第に小さく細い葉となって柄はつかない。
サワシロギク(キク科シオン属) | 葉は下、中、上で姿が異なる |
その他の山野草には下記のようなものが見られた。
ホザキノミミカキグサの残花 | 咲き初めのヒヨドリバナ | これも咲き初めのアブラガヤ | 同じく咲き初めのガンクビソウ |
オオフタバムグラは葉腋に2~4個咲く | 愛知の段戸山で発見のダンドボロギク | ノギランの残花から若い果実化へ | 希少種のシダ植物、ヒモヅル |
山野草の果実状態の様子
カキランの実 | ササユリ | キンコウカ |
さて、次は木本類であるが、とりわけ、次の種はこれまでから果実は木の高いところでしか見たことがないというより、高すぎて見た内にならない状態の観察であったことから、葉のみしか手に取って観察したことはなかった種であり、現地で果実が沢山ついており、余りに可愛いすぎて、葉よりも実のことばかり考えてしまい、どうしても見覚えのない樹木であることで頭をひねっても答えが出ず、帰宅後も図鑑を調べるも、熟した状態の紫黒色の写真であったために、自ら同定に至らずやむなくネット上で教えてもらうはめとなり、ツツジ科シャシャンボと答えをもらったものである。
これで、このシャシャンボも葉では裏の主脈を葉先から葉柄へ向けて手で撫でると引っかかり(突起)がいくつかあること、そして、葉柄が赤みを帯びることの二点、さらには果実は緑色から赤へ変わり、最後は9~10月ころに紫黒色で熟してくれば、ツツジ科の中では一番といわれるほど美味しい果実であろうことを忘れないでおきたい。
果実のついたシャシャンボは初見 | シャシャンボ(ツツジ科スノキ属) | ふちには浅い鈍鋸歯、裏主脈上には突起あり |
最後に木本類の果実等をみよう。他にもサルマメ、ヘビノボラズ、イソノキ、マルバアオダモ、ゴンズイ、アオハダ、ガンピ等、多数あるも割愛としよう。
クロミノニシゴリ最後は黒く熟す | アオツヅラフジの実は黒くなり粉をふく | マメ科のイタチハギの実はびっしりと |
ウメモドキ最後は真っ赤となり目立つ | ヒメヤシャブシの実は茶褐色で地味 | サカキは12月頃に黒紫色に熟す |