京都西山に咲く花 ’17.8.14
今年も連続する猛暑日であり、クーラーづけも如何なものかと、山麓の花巡りを楽しもうと出かけてきた。頭からのジリジリと照りつける太陽には閉口し、足元は夏草繁る野山の徘徊では、ダニやマムシも心配だが、そんな被害を気にしていれば楽しむことも半減しょう。その旨の対策だけしっかりすれば、後は花や木を楽しむだけである。さあ、いろいろな種の様子をご覧いただこう。
ガマ 仲間にはコガマ、ヒメガマあり | スズメウリ 花は6mmと小さく普通5裂 | ヤマウド 花はさながら線香花火 | キンミズヒキ 雑草の中の王様・・? |
アメリカイヌホオズキ 白色か淡紫色 | センニンソウ 葉はふちが全縁だ | ノアズキ 花は独特な姿が面白い | メハジキ 花も葉も目が喜び |
オトギリソウが長い雄シベを伸ばして華やかに咲き誇っていた。鷹の傷を治す秘薬としていたのだが、ある日鷹飼いの弟がその秘密をもらしてしまった。怒った兄はその弟を切り殺してしまったという伝説はあまりにも有名で、山歩きをする方で知らない人はないほどだ。
さて、その弟の涙と言われているのが、花、葉はもちろん、萼などにもいっぱい見られるが、これは赤い色素を含んで黒く見えるので、黒点と呼ばれており、その黒点が肉眼でも見えるほど散らばっていた。もちろん持参のルーペで覘くとびっくりするほど多くの黒点が散らばって見えた。その黒点が兄に切り殺された弟の涙と謂われるようになったのだろう・・。
なお、オトギリソウには種類が多数あり、種によっては黒点はないが明点がある種もある。それは色素を含まない場合を明点といわれるのだ。実際ルーペで覗けば白く見えるのだ。先日はヒメオトギリで明点をとくと観察した。
オトギリソウ 鷹飼いの伝説の花 | 対生の葉にも殺された弟の涙が・・ |
ところで、本日のサプライズは『キツネノカミソリ』に出会えたことだった。7/31にポンポン山の谷で保護されている大群落のオオキツネノカミソリを観察してきたのだが、今回は思いがけずにその変種のキツネノカミソリを見つけることができた。
日本全国でも、近年の鹿の大繁殖によってキツネノカミソリやオオキツネノカミソリがターゲットとなって食害に遭ってしまって、保護柵で守られている状態であるのだが、西山ではキツネノカミソリがほそぼそと無保護で咲き残っているのだ。この開花場所も早い保護柵等の手立てを取らないと絶滅の道を歩むこととなろう。行政の英断を待ち望むものである。
さて、キツネノカミソリとオオキツネノカミソリの相違点であるが、図鑑によれば、雄しべが花の外につきでないのがキツネノカミソリで、花の外に長くつきでるのがオオキツネノカミソリである。両者とも春に出た葉が枯れたあとに、花茎が伸びて、ヒガンバナよりひと月ほど早くに黄赤色の花が咲くのである。
’17.9.20 追記 | ||
今では希少種となっているキツネノカミソリ | 1ケ月後の果実の様子 |
山野草の果実状態も目についた。ほかにもナルコユリ、ササユリ、ウバユリ、キショウブなども実がいろいろな形で見せてくれた。
ホウチャクソウの実、鹿の忌避食種 | アメリカイヌホオズキの実は黒熟する | ヤブガラシの黒熟はあまり知られない |
木本類もいろいろ観察ができ、暑さにめげず楽しめた。樹木類は花期も幅広く、暑い時期であっても、また涼しくなる晩秋にまでも咲く種があって、果実はもとより花から葉の姿などにおいても観察期間はとどまらないのが魅力であろう。他にクサギが咲き初めとなって、群生で白く斜面を染めて遠めに見せてくれた。
ヌルデ ウルシの仲間で翼あり | アオツヅラフジ 雄花極小さい | 左の葉表、実は有毒 | ツヅラフジの葉も変化特に多し |
シキミ有毒、昔は墓地に植える習慣あり | キッコウチク 床柱等に利用 | オカウコギだが、ヤマウコギと極似る | エビヅルも葉の形変化多し、果甘い |