湖南アルプスに咲く花 ’17.8.24

 暑い最中であったが、お目当てのヒメハギの仲間である『ヒナノカンザシ』が見られて大満足の花巡りとなった。花好きな方でも、この花の名を知る山人はそんなに多くないだろう。それは余りにも個体数が少なく、出会える機会がほとんどないのが原因ではなかろうか。こちらでも咲いている個所が限られており、しかも個体数がそれほど多くはなかったのだ。これからも大事に見守りたい種ではなかろうか。

 図鑑によれば日当たりのよい湿地に生える5~25cmほどの小さな一年草とあり、名は総状につく花序の形から連想したものであろう。花も極小さく、咲いていても見過ごして踏みつけてしまうかもしれないほど目立たないのだ。

 京都府RDBでは絶滅寸前種とあり、現状では絶滅のおそれが高いとある。また、滋賀県でも絶滅危惧種Bの位置付であるほど希少種であるとのことだ。偶然にしても、見つければ幸せになれそうだが、決して粗末にしてはいけない珍しき種であることを肝に銘じていただきたいものだ。祈ろう!「末永く咲いてくれることを・・!!」

         
    ヒナノカンザシ(ヒメハギ科ヒナノカンザシ属)     

 
 さらに、湿った芝生上の草地には、白い小さな小さな花が5~6輪ほど目に入った。エ~、この花は何だ・・?、角度を変えていろいろ眺めるも名が出てこない。取あえず写真撮って調べよう。としゃがみ込むも花が小さすぎ、おまけに葉はどんなだろうかと根元あたりの邪魔な葉をのけて、下部だけについているような対生の根生葉のような葉部分を撮ろうとしても、すぐに余分の葉が戻ってまともには撮らせてくれない。それに白い花そのものも細い茎のために弱い風なのにジッとしてくれない。こんなことからピンボケ写真ばかりで何とかまともなものも撮れずじまいとなってしまった。涙

 仕方なくあきらめて次に移動したのだが、帰宅後手持ちの図鑑で調べるも分からない。気長に時間をかけて調べようと方向転換だ。そして、何日かの間、いろいろ図鑑の総めくり作戦に出た。そして何とかたどり着くことができたのだ。その図鑑は山でなく野に咲く花の図鑑であったのだ。それには聞いたこともないマチン科のアイナエ属で名前はアイナエであったのだ。自力での花名の探索で苦労した甲斐あって喜びもひとしおであった。

 ただ、現地での写真が撮れなかったのが残念であったのだが、図鑑によれば、花は直径約2.5mmとあることから、これだけ小さければバカチョンでは致し方なかろうと妙な納得とした。しかし、来年こそはどうにかして撮影にリベンジしたいものである。なお、このアイナエ属には近似種としてヒメナエという種もあるらしいが、アイナエも近畿圏でも大変貴重な希少種ではあるのだが、さらにヒメナエは数少なく珍しい種であるようだ。大切に見守りたい。

 このアイナエとヒメナエについて図鑑等の記述を一覧で比較してみたい。

  アイナエ (マチン科アイナエ属)  ヒメナエ(マチン科アイナエ属)
咲く場所等 貧栄養の向陽地に生育する小さな一年草で、芝生状の乾き気味な湿めり気地  日当たりのよい原野の湿った所に生え、足を取られそうな沼地状態の地
花冠の様子  白い花は鐘形で4裂し、直径約2.5mm 花は白色の鐘形で4裂し、直径約2~2.5mm、萼の先は尖る。
葉の大きさ等  茎の途中にはなく基部に対生で2~4対つき、卵形~長楕円形で長さ7~15mm 茎全体にまばらに対生し、披針形~線形で、長さ3~8mm、幅1~2mm
同上  、幅3~6mmで、葉の先は尖り3脈がある。 葉の先は尖り、1本の中脈が目立つ
環境省カテゴリ  なし 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
滋賀県のRDB  希少種 なし ただし、近畿圏の奈良県絶滅、兵庫県、和歌山県は絶滅危惧Ⅰ類
京都府のRDB  絶滅寸前種 なし


 続いてはこれまた希少種のランの仲間のサギソウであるが、こちらはそれでも方々に咲いているのが今のところ見られ、山歩きの方々にも知らない人はないくらい、夏季における人気の花だろう。こちらでも湿地が多いためにそれなりに咲く景色が広がっていた。しかし、どうしても踏みつけによる被害は注意しておきたいものだ。

           
    サギソウ(ラン科サギソウ属)     

 さて、他の山野草類だが、次の種以外にはノギランが咲き終わり、ヒメオトギリが方々でまだまだ多数咲き残り、モウセンゴケも一部咲き残っていた。こちらでのヒツジグサの花はもう終わってしまったのだろうか。一輪たりとも姿は見当たらなかった。 

           
 オオフタバムグラ(アカネ科)   ホザキノミミカキグサ(タヌキモ科)  イトイヌノヒゲ(ホシクサ科)    ミカヅキグサ(カヤツリグサ科)

 最後に笹間ケ岳は低山だが、里からしっかり見えて、どうやら古くから在郷の人々から信仰の山として大事にされていた山のようだ。もちろん、山頂にも小さな祠が祀られている。

     
行きのバス車中よりパチリ     湖南アルプスといわれるだけの道

 富川道から取りつき、ゆったりとした花巡りがすめば、湖南アルプスの名のとおりの道を楽しもう。といってもすぐに頂の八畳岩についてしまうのだが・・。今回はお目当ての花にも出会えて大満足で岩の上を貸し切りでお昼としよう。
 そして上関バス停の時刻調整のため、岩上のお昼寝タイムを貪ろう。祠にお参りしたのちにのんびり歩きで1時間に1本のバスで石山駅まで帰ったきた。それにしてもまだまだ猛暑日のようだ。暑い

         
里山の笹間ケ岳     岩上から比叡山や音羽山などが・・   山頂の八畳岩で自撮り 笑 

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