京北 京都一周トレイル京北コース ’17.9.3 

 細野口バス停-滝又の滝-余野-茶呑峠-竜ケ坂峠-道標20-ニコニコ公園=ウッデイ京北

 京都一周トレイル京北コースを4回に分けての案内のスタートでした。轟谷へ入れば細い流れの中にかかる心もとない板橋で3~4回の渡渉となります。今日は流れも細くなんなく渡渉できました。ほどなく、私有地の山主によるといわれ、自然の中に山肌を彫られて洞窟のような中に石仏が沢山置かれています。それらの景色を沢の流れの左岸側から樹林越しに眺めながら上流へと進みます。すると35分ほど歩けば、谷奥となってそこへ京都市自然200選のひとつでもある滝又の滝が見られました。
 今回の水量がやや元気なく、いつもの豪快さは見られませんでしたが、自然林に囲まれ岩肌を伝う水の流れを眺めていると心も癒されます。しかし、皆さん今回は遠方からのハイクですから、時間的にあまりゆったりとは説明等もできないのは致し方ありません。

 
滝又の滝 

 滝見物が終われば、さっさと本日一番の急坂を越えてもらいます。でも、次にその滝の上流を、苔むして古くなった滑りやすい短い丸太橋(道標5)を渡ってもらうのが心配でしたが、来てみればなんと最近でしょうか、ガッチリとした新しい橋に架け替えられたばかりのようでラッキーでした。スンナリといとも簡単に渡っていただくことができ、これまでは苔の上を滑らないようにびくびくしながら通過したり、手前の流れの中を無理やり渡渉としたりして、いつもここで苦労してたものですが・・、本日はやれやれでした。

 その後は山道や林道などの歩きがありましたが、途中にはツルリンドウの咲き初めを見つけていただき、「今のシーズンはミヤマウズラというランが咲いているハズですから注意して歩きましょう。」と言ってキョロキョロ探すのですが、残念ながら最後まで見つけることはできませんでした。やっぱり花探しはゆったりゆっくりの歩きでないと見つけられないようです。
 さらに、京都北山の風情ともいえる北山杉の景色が至るところに出てきます。昭和30年代のあの有名な川端康成「古都」の話などお聞きいただきながら進みましょう。そうです、千恵子と苗子の瓜二つの美しい双子の姉妹の「北山杉の章」です。

 やがて、お昼予定地の余野公民館でした。この一帯の集落はきれいに清掃されている感じでした。どこを見てもごみ一つ落ちておりません。相当落ち着いた皆さんたちがお住まいの集落なんでしょうね。心も何もかも余裕のある集落のように見受けました。もちろん、庭にはいろいろなお花も植えられていました。

 ところで、ここでもやっぱり本来のタカサゴユリが咲き誇っていました。紫褐色の斑の入ったユリの花ですね。もっともこのように筋の入った本来のタカサゴユリは昨今少くなくなっているようで、普通見られるのは筋はなく、真っ白なユリがよく見られるようになっているといわれます。その名はシンテッポウユリといわれているようです。

     
 ツルリンドウ よく手を入れられた北山杉  本来のタカサゴユリ 

 食後なのに、上りの伏見坂を上がって降りれば西町です。そちらのパターゴルフ場は今日は閉まっていましたので静かなものでした。西町から西ノ川林道を樹々を見上げながら進めば、足元が次第に上りとなってどんどん傾斜がきつくなってきます。でも、なんとか1回休みで着いた峠は茶呑峠という江戸時代中期からの京街道より小浜街道の古道の峠です。この地蔵さんにも「安全に歩かせてくださいね。」と手を合わせましょう。 

 この峠は今では変則6差路となっていますが、昔は三叉路だったのでしょう。この後は、そばの石標にあるように「左、下村志うさん」ではなく、「右、山国ゆげみち」へ取ります。この右への道は「ユリ道」といって、標高とほぼ同じ、すなわち水平道を竜ケ坂峠まで進むのです。ほとんどアップダウンはありませんし、ピークへも上らず、今流に言えばいわゆるトラバース道でしょうか。
 そんな道の途中にはシコクママコナの小さな塊がありました。もう少し詳細にママコナ等について話せばと同定ポイントを説明します。関西圏では花冠内部に黄色い斑点があり、なおかつ、苞のふちに棘毛状の歯牙があるシコクママコナが多く見られます。黄色い斑があって苞のふちに鋸歯がないのはミヤマママコナであり、苞に鋸歯があって黄色い斑のないのが単にママコナといいます。
 さらに進めばいたるところにはマツカゼソウの大群落もあちこちに見られました。もちろん、谷筋にはオオバアサガラの幼木の葉が散乱していました。

     
石仏菩薩像の祠    シコクママコナ(黄色の斑と苞に鋸歯) 

 ユリ道最後の竜ケ坂峠には今でも江戸時代中期に造られたといわれる地蔵菩薩と大日菩薩が並んで祀られています。そしてその前の広場には江戸時代には茶店があったとの文献記録も残っているとのことです。そんな話を聞いてもらえれば、「あたり一帯は古の面影があるな~」と偲んでいただけたことでしょう。

 さて、この後は急降り道が少々続きます。それに疲れた足にはやや歩きづらい道で、雨風に洗われて石の出た上を歩く道となってきます。下り道で怪我のないように注意も怠りません。休みの中では丁度、植林帯の中でしたから「森林浴」について新聞で見たのですが、説明をさせていただきました。その内容は「ドイツでは病気予防のために約130年前に導入されたといわれ、日本では35年ほど前にようやく時の林野庁が提唱して広がったといわれます。樹木が放出する香りの成分であるフィトンチッドは気温上昇に比例して増えるといわれます。これが、ストレスで上がるとされる尿中アドレナリンの濃度を下げ、癒し効果を高めるといわれます。また、抗がん作用もあり、治療への利用も次第に進むだろうといわれています。」

 そして、道標20番地で時間的にここでトレイル道をはずれます。これより中江集落へ左に降りて、中江のゲートボール場のあるニコニコ公園へショートカット道で下山としましょう。もちろんそこにはトイレもあります。すぐに周山タクシーに中江の公園まで来てと連絡で、うまく早いバス便に乗車でき、遠方からのお客様に喜んでいただけました。休憩込みで約5時間弱でした。お疲れ様でした。

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