京都西山 野の花散策 ’17.9.27

 西山の麓へ野の花を求めて出かけた。今回はやっぱりザクロソウというあまり知られていない花が、もうそろそろ咲いているだろうとの目論見であったのだ。着くと一面に咲き初めとなっていた。この花も直径3mmほどと、極小さな花が風に揺られているのであった。可愛い花なのに、野の道に咲く雑草というのは、余りに可哀想な扱いではなかろうか。

         
 ザクロソウ(ザクロソウ科・属)   細い茎の先に1個ずつ小さな花をつけ、倒れ咲く    花には花弁でなく萼片が可愛く一本の筋 

 * このザクロソウの名は葉がザクロの葉に似ているからの謂れによる。葉は長さ1~3cmの披針形で3~5個ずつ偽輪生でつく。 日当たりのよい道端や畑に生える一年草である。この仲間には他にクルマバザクロソウがある。こちらの違いは葉が4~7個偽輪生し、花は葉腋に束生するところが相違点である。


 続いて今が花盛りのヒメジソ、イヌコウジュである。双方とも酷似し相違点を探すのは至難の業ではなかろうか。花のつけ根の萼先が尖る、鈍頭あるいは上萼中央の長さが低い等の様子なども注視すべきだろう。もちろん、花色などの薄目、濃い目もだが、花冠内の赤紅色の斑模様のあるなしなどもポイントのようだ。ちなみに葉の大きさは2~4cmと同じだが、葉は大きさではなく鋸歯の数、姿ではなかろうか。ただし鋸歯6個の時には他の部分もよく見たい。

         
ヒメジソ(シソ科イヌコウジュ属)  同左の葉の粗い鋸歯は4~6対と少ない     イヌコウジュ(シソ科イヌコウジュ属)  同左の葉の浅い鋸歯は6~13と多し 


 

 他にも野草類はいろいろと咲いてくれていた。とりわけ西山ではイチヤクソウが見られなくなったような昨今だと思っていたが、今回は思いもよらず、そのイチヤクソウの群落地にいきついたのが大収穫であった。来年の花時が楽しみである。

     
 ハナイバナ(ムラサキ科ハナイバナ属)  オオオナモミ(キク科オナモミ属) イチヤクソウ(ツツジ科イチヤクソウ属)

 しかし、気がついたのはマメ科類で果実の姿が今年は特に少なそうであった。例年より開花が遅れ気味なのが大きな原因だろうか。ノアズキ、ヤブマメ、ノササゲなどは豆果の姿を探すことはできなかったのだ・・。それにヤブツルアズキの葉はもちろん3少葉で大き目な丸っぽいのが普通なのだが、今年は葉が3裂するものが多数見られたのだ。

     
 3裂する葉はヤブツルアズキ   ヤブマメ (マメ科ヤブマメ属) 

                                          

 この山麓ではこれまで目にふれていなかったのだが、樹木類の内のニシキギの仲間を探し当てたのが嬉しい。そう、これは枝に板状の翼がないのでマユミでなく『コマユミ』である。

         
コマユミ(ニシキギ科・属)    コマユミの実は1~2個に分果する    1年枝が緑色、葉のふちの鋸歯細かい

 * 自然の山中ではニシキギに出会うことはほとんどないが、コマユミとの出会いは時たまある。10~11月に裂開し熟すと橙赤色の仮種皮に包まれた種子が顔をだして面白い姿となって楽しませてくれるのだ。もちろん、紅葉は天下一品の暗赤色でよく目立ってくれるのだ。


 最後はブドウ科の二種である。エビヅルとノブドウだが、この二種には今回も出会えた。今年はブドウ科のサンカクヅル、アマヅルに始まってエビヅルにノブドウの観察ができたが、後はヤマブドウのみが残っているので探そう。

         
 エビヅルの果実は黒色で完熟   エビヅル(ブドウ科・属)    葉は3~5裂だが変化多く、裏クモ毛あり 

 次はノブドウ(ブドウ科ノブドウ属)だが、こちらの果実にはブドウタマバエなどの幼虫が寄生し、虫えいをつくること多く、紫、白や瑠璃色などになり、正常な果実は少ないといわれ、口には入れられない。

         
ノブドウの葉、 これは変化のキレハノブドウ   葉は普通3~5裂、ふちに粗く浅い鋸歯   ノブドウの葉裏はほとんど無毛 

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