湿原の秋花巡り ’17.10.08

 今年も湿原に咲く秋花巡りを楽しんできた。この時期は何といってもキク科のスイランでラン科ではないのだが、その黄色花が本日のお目当てだ。ネットによれば「スイランの和名は、葉がシュンランのように細長く、湿地に生えることに由来する」とある。「葉は長さ15~50㎝、幅1~3㎝の線状披針形で、葉先が鋭くとがり、下部に集まってつく」とあるのだが、現地ではどうしても溜池畔にあるために葉の観察は容易ではない。今回も葉の撮影とまではならなかったのが惜しまれた。

 ネットからその植物知識を借りれば、「葉の質は厚く、無毛で、まばらに不明瞭な鋸歯がある。花の終わり頃になると葉が枯れ、花だけになっていることも多い。9月から11月にかけ、高さ50~80cmほどの花茎を出し、分枝してその先端に頭花をつける。頭花は直径約3~3.5㎝。花は舌状花だけであり、筒状花はない。花弁の先は5個の歯牙状にほぼ均等に切れ込む。開花時期は9~11月とある」も、こちらの山域では、9月の開花に出会ったことはなく、やはり10月上旬からとなろう。そして11月まで咲いてくれるのか来月には確認したいものだが・・

    スイランは東海地方以西、四国、九州に分布

RDBカテゴリーは京都府絶滅危惧種、滋賀県
は準絶滅危惧種の指定となっており、どちらに
しても希少種であり、水湿地でもまれな植物で
あり、出会える機会は極めて少ないだろう。
 
↑画像
浅い溜池の中に咲いているスイラン
そのためバックは水中の草や藻
   スイラン キク科スイラン属
   
スイランの頭花はオオジシバリによく似るが
オオジシバリは春に咲き、こちらは秋花である。
もちろん、オオジシバリの花は酷似するも葉の
姿はへら形で全く異なり、田のあぜや道端に生
えるが池畔などでは見ない。
 

 続いてお目当て二番手はサワシロギク(キク科シオン属)はやや終盤となっていた。さて、サワシロギクとは図鑑によれば、「日当たりのよい酸性の湿地に生える多年草で、茎は細くほとんど分枝せず、50~60cmの高さとなる。葉は厚くしわが目立ち、ふちは硬い毛があってざらつき、根生葉は花期にはない。花は約2.7cmで舌状花は白色でのちにやや紅紫色を帯びる」とある。

 
最初白色だが、次第に淡紅色に変化
していく。 
 
最初の開花は純白である。    葉は下部は柄長く、中部の柄は短いが
上部 の葉には葉柄はない。 

 その他の野草類ではまだまだ秋花が見られたが、とりわけセンブリがこの山域ではまだまだこれからが開花時期となるようだ。ネット上では1000mを越える山域では満開となっているようだが、標高の少ない里山での開花は遅い種のようである。
 それにしてもこの地のセンブリは20株ほどと賑やかな様子に初めて出会え、またまた大きな喜びとなったのだ。だが、これがイヌセンブリはたまたムラサキセンブリであれば尚更喜びも一入となるのだが、そんなに多くの喜びが重なり合うことは欲が深いというものだろう。

 しかし、ほとんどが蕾硬しが多く、でもそうはいっても、中には、もうすぐにも咲きそうな個体までいろいろあって、これらが揃って満開を迎えるころには見事となることだろう。そのような満開の群生の光景を眺めに、またまた訪ねてみるのも悪くはないなと思うほどであった。

     
コバナノワレモコウ(バラ科ワレモコウ属)  ヒレタゴボウ(アカバナ科チョウジタデ属)   ツリガネニンジン(キキョウ科ツリガネニンジン属)
 
群生の中のすぐ咲きそうなセンブリ
 
カワラケツメイの果実
果実は黒色に完熟し、上向きに斜上するの
が特徴
センブリ (リンドウ科センブリ属)蕾 コマツカサススキ(カヤツリグサ科)*   カワラケツメイ(マメ科カワラケツメイ属)果実

 *コマツカサススキは京都府では絶滅危惧種となっている希少種


 キバナノマツバニンジンは直径7~8mmの黄色花で可愛く、北ア原産の帰化植物とはいえ、低地の道端、荒れ地に稀に咲くといわれる。草丈20~60cm、花期は初夏6月ころからまだ暑い秋10月頃にも咲いている。

     
キバナノマツバニンジン(アマ科・属) 

 

 最後は木本類である。まず最初はこちらでは、やっぱり関西人には珍しい種であるクロミノニシゴリだろう。この木はハイノキ科ハイノキ属の内で常緑樹ではなく、日本に4種ある落葉樹である。それはサワフタギやタンナサワフタギは山歩きの人たちならどなたでも知る種であるのだが、このクロミノニシゴリを関西圏で見るのは超珍しいといえる種であろう。

 面白い名前の謂れだが、ニシゴリ(錦織木)とはサワフタギの別名で、サワフタギに似ていて、サワフタギの実は瑠璃色だが、こちらクロミノニシゴリの果実は黒色であることからの名の謂れとなっている。ちなみにサワフタギの近縁種であるタンナサワフタギの果実の色も黒色であるが・・ややこしい!~笑

         
 名の謂れである黒い果実    樹木の高さは2~8mにもなる    葉の両面とも無毛であることが特徴

 続いて、ツツジ科スノキ属のシャシャンボである。こちらの山域では普通に見られる種のようで、花期は図鑑では5~7月となっているのだが、なぜかその間でも花の開花時に気づかず、白い花に出会ったことはないので、来期の宿題予定である種なのだ。取あえず今秋の果実の様子を観察としよう。実の色は緑から赤くなり、9~10月頃に黒熟するとあるのだが、今回も↓のような状態であった。なお、木の高さは5mほどとツツジ科としては高い部類だろう。

     
 シャシャンボの若き果実 日当たりよき所は赤くなり始めていた   この樹木の背丈は4~5mだろうか

 その他の木本類であるが、湿地好きな樹木が多い。最初は果実の完熟色が赤色のものである。

     
 サルマメ(シオデ科)  ウメモドキ(モチノキ科) ヘビノボラズ(メギ科) 
     
 ガマズミ(レンプクソウ科)  アオハダ(モチノキ科)  カマツカ(バラ科)

 次に完熟色が黒系統である。

   
 サカキ(モッコク科) イヌツゲ(モチノキ科) 

 ↓の野蝶はヒヨドリバナに競争しながら吸密中だった蝶を撮った。

     
ツマグロヒョウモン(タテハチョウ科)♂    メスグロヒョウモン(タテハチョウ科)♀ 

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