京都西山に咲く花 ’17.10.11

 今回は『ツルドクダミ』という中国原産のつる性植物に出会ってきた。花は8~10月とあるも、こちらでは花は終わってどうやら果実化が始まっていた。江戸時代に薬用植物として入り、別名は何百鳥(カシュウ)ともよばれ、漢方では白髪は黒くなり、精力も旺盛になって長生きができる不老長寿の薬として、中国から渡来したとある。
 パッと見はイタドリか・・と見過ごしてしまいそうな種に見え、これまでからひょっとして出会っていても見分けられなかったかもしれない。今後の花散策では十分注意してみたいと思う。なお、葉はドクダミとそっくりだが、ドクダミ科ではなくタデ科の分類となっているようだ。

     
 ツルドクダミ(タデ科ツルドクダミ属)   名は葉がドクダミに似ることからの謂れ 

 この時期には鹿の忌避植物でもあるナギナタコウジュが大群落で咲いている。しかし、この群生をよ~く見てみると、中には『フトボナギナタコウジュ』があったのだ。花穂裏側に返して見ると、苞の幅の広いのがすぐ分かり、フトボナギナタコウジュだな・・と嬉しい瞬間である。
 この種の出会いも久しぶりであったのだが、フトボナギナタコウジュを見つけられた嬉しさは何ともいえない山の中での花巡りであった。なお、同じく鹿の忌避植物であるキタヤマブシ、アケボノソウ、ミカエリソウ、ツリフネソウなども西山ではまだまだ咲いていた。

     
 ナギナタコウジュ(シソ科ナギナタコウジュ属) 同左の花穂裏側  フトボナギナタコウジュの花穂裏側 

 次は『モミジガサ』がまだ咲いていた。この花に出会えば、遠い昔の春先ではきれいなもみじのような葉っぱの大群生であったことから、葉を摘み取って瑞々しい若葉を山菜として食べたものだが、近年の鹿の食害に遭うようになってからは柵内以外では咲くことは叶わなくなったのが悲しい植物である。だから、晩夏の開花時期のモミジガサよりは、早春の頃の葉の展開が始まる頃の方が山中によく似あう植物だとの思い出の種であるのだ。 

     
  モミジガサ(キク科コウモリソウ属)   

 その他にも満開のジンジソウが今年も見られたが、この種も鹿の食害種であり、ほそぼそとしか咲かず、柵内でしか見られないのも悲しい限りである。そのような種はジャコウソウ、オタカラコウ、オカダイコン、オトコエシなども同じ状況にあるのだが・・・。 
 ↓画像の最後にあるクロソヨゴだが、今年の山歩きの中でソヨゴの赤い実は例年どおりよく目にするのだが、こちらのクロソヨゴの赤い実はなかなか目につかなかった。しかし、ようやくにして今回見つけることができた。名前のクロとあるのだが、これは果実の色ではなく、木肌が本家のソヨゴは白っぽく、クロソヨゴの木肌の色が黒っぽいことからの名前の謂れである。なお、クロソヨゴとソヨゴの相違点は何といっても葉に鋸歯のあるなしで、クロソヨゴの葉のふちには鋸歯があるのが明瞭な違いである。

     
ジンジソウ(ユキノシタ科・属)   ジャコウソウ(シソ科ジャコウソウ属)  オタカラコウ(キク科メタカラコウ属)
     
キタヤマブシ(キンポウゲ科トリカブト属) アケボノソウ(リンドウ科センブリ属)  クロソヨゴ(モチノキ科・属) 

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