京都北山 愛宕山から神護寺の紅葉 ’17.11.13

保津峡-中尾根-大岩-西尾根-水尾別れ-愛宕山-地蔵辻-サカサマ峠-雲心寺林道
-西ノ谷林道-神護寺-菖蒲谷池ハイクコース-京見峠-直指庵-大覚寺-阪急嵐山  

 今日はもう遅いだろうが、愛宕から神護寺の紅葉を楽しんでこようとJR保津峡駅へ降り立った。朝方は冷え込んでいたのだが、汗かきには歩きだせばすぐに暖かくなることだろうと、山中歩きの姿にと準備をしていたが、水尾へのバスが待っているのに、そのバスを横目に素通りされる単独者が出発されるのが目に入った。

 え~、バスに乗らないんだ・・。きっとツツジ尾根を行かれるのだろうと準備を終えた私もツツジ尾根ではないが、バスを横目に同じように歩きだした(9:05)。ところが赤い橋を渡りちょっと水尾方向に進むと、その方の姿が前方にある。え~、水尾まで舗装路を歩かれるのかな・・?、健脚者だなと思いながらそれでもすぐに追いついた。

 いつもはしないが珍しく、先行者へこちらから声をかけさせてもらった。すると「愛宕山へ水尾から登るのだ。」とのことだ。「それならバスにも乗らず、健脚なんですね。」と話しかければ、「百名山も39歩いてるし・・」とのことで、「それは立派、お元気なんですね。」など話しながら、「私は今日はこのすぐ先から中尾根に取りついて西尾根より水尾別れの東屋へ上がり、愛宕へ登ります。このルートは歩かれましたか・・?」と聞けば、「知らない」とのことだったので、「結構面白いですよ。向かいのツツジ尾根は多くの方が登っていますが、こちらは歩く人が少なく静かなコースですよ。」と誘導気味に話したのだ。「では一緒に登ってみよう」とのことで、いわゆるこれが俗に言う『にわかパーティー』であるのだが成立したのだ。実はこのようなにわかパーティーはあまりお勧めではないのは知り得てはいたのだが、今回何を思ったのか初めてのことだった。

 さてさて、最初の急坂をちょっとで、すぐに低い稜線に乗ってしまうほどの低山である。でも、次第に上りになりながら「最近は山より弓道をやってるんです。」と珍しい趣味の話が聞けた。こちらは”他人様のいろいろな行いの話事が聞けるのもいいもんだな”などと思いながら弓のことを聞いていた。
 そして、青空をバックにタカノツメの黄葉が美しく、思わずカメラを向けよう。「写真はやらないんですか。」と聞くも「しないです。」素っ気ないように聞こえた。「そうですか、これはタカノツメというんですよ。」などと話すもどうやら植物にも興味はなさそうだ。
 次第にさらなる急登が出てきだすとこちらが振り返れば、遅れ気味の様子が出てきだしているようだ。ゆっくり上がらないといかんようだ・・。と思いながらスピードダウンであった。それでも、ようやく米買道の大岩地点で休憩であった。腕を覗けば駅からここまで1時間もかかっていたが、ここでゆっくり十二分に休んでいただいて、やおら立っていただいた。

 休みながら思っていたのは、「これはえらい迷惑をおかけすることになってしまった。百名山39を鵜呑みにしたがそれがいけなかったのだ。やっぱりにわかパーティーは組むべきではないな」と大きな反省であった。ここで「とにかく次の水尾別れまでは超スローペースで進もう、そして東屋で休憩していただき、その後は慣れ知っておられるハズの表参道を自分のペースで山頂まで登っていただくことをお願いし、了承をいただけるのであればそこでパーティーを解散としよう。」と心にしまった。

 さて、ここで中尾根は終わりで、この後すぐに鹿除け網柵沿いに西尾根となっていよいよ道はさらに踏み跡は落ち葉で薄くなりがち、そして急登も増してくるので、遅れ気味はやむを得ない。「足は大丈夫ですか、ザックを持ちましょう、実は私は登山ガイドをやってまして、他の方のザックを持つのも慣れてるんですよ。」と声をだすのだが、「いいです!」となかなか聞いてもらえないので、さらにスピードダウンはもちろんであった。こちらは足元の道への落枝などを片づけながら後ろを振り返りつつ登っていこう・・。

 こうして、何とか登っていただき、仰いだ青空がこれほど嬉しかったことはなかった。それは東屋が近いことを知らせてくれた喜びだった。その時、偶然表参道側から着いた方々が数人同時だったために、バテすぎた方へあまりに気の毒で、多くは話せなかったのだが、短く断りをさせていただき、これより個々人で歩くこととなった。「ほんとうにご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。」としか言いようがなかったのだ。大岩地から1時間かかって歩いていたのだが・・。

         
 タカノツメ(ウコギ科) コナラ(ブナ科)   水尾からのコメカイ道の「大岩」   水尾別れの東屋 

 さて、これより表参道だが、こちらは挨拶が大変なほどで平日でも人の姿が多い。カナクギノキやウリハダカエデなどの紅葉を見ながら石段をトントンと上がるが先の台風の被害の大杉の倒木地もあったりした。そしていつも気にしているオモトが二株だが、落ち葉のなかに埋もれるように残っているのを覗き込めば、完熟色の赤色手前の状態だった。
 そしてトイレや休憩舎のある社務所一帯にあるもみじの紅葉がやや遅めであったが、写真ではなんとかまだ撮れる状態となっていた。そして東屋から半時間で愛宕神社へ到着(12:00~30)で、温度計は7.5℃を指していた。どうりでスト-ブ小屋に火がついていたのだ。ここで半時間の昼休みであったが、珍しく小屋内での人の姿はニ~三人と少なく、心ゆったりとさせていただけた。

         
 カナクギノキ(クスノキ科)  オモト(キジカクシ科)    多分植栽のもみじだろう・・?  愛宕神社

 食後は高雄の神護寺へ降ろう。まずは白髭神社からジープ道へ下り、比叡や比良の山並みを眺めつつ、下部の山肌は紅葉をズーム(↓左画像)してなんとか目に入る。この眺めも一番時の紅葉の最盛期に出会えるのがなんとも難しいと、ここでいつも感じるばかりである。
 地蔵辻から三角点への立ち寄りはパスし、イヌブナの森では先月の台風でだろう、葉は丸裸であり、アオハダも探せど、葉もなく幹での同定は先を急ぐ目には入らない。でも、燃えるがごときの真っ赤なドウダンツツジの紅葉はカエデ類とは少々異なる紅葉色なために、やや離れて目に飛び込んできても、アッ、ドウダンツツジだ!と喜び勇んで近寄るのはいつものことである。

 こうして落ち葉を踏みしめカサコソと熊よけ代わりに音を出させながら進んで、緩やかに下り道を右側に遠くの山並みを見とどけ、小広い地が目に入ってくればそこはサカサマ峠(13:00)であり、神社から半時間で降り立った。いつもなら、赤い前ダレの首のない地蔵さんに頭を下げ、ここで一本たてるのだが、今日ばかりはまだまだ先は長いと気が急くばかりで素通りとした。

 この後が苦手な車道歩きが長いのだ。その道の雲心寺林道に入って半時間で、今度は作業車しか入らない暗い西ノ谷林道へ右折し、気持ち悪いほど薄暗い道のりでは嫌な気分はいつもの通りであった。だが、簡易舗装の西ノ谷林道から地道に変われば山道となってくれるのだ。

 しかし、昔から道は荒れ放題であるが、さらに最初は先月末の台風の爪痕らしき倒木たちを我慢して進んだ。だが、その後になればなんと素晴らしい道整備がなされているのにはびっくりであった。おそらく奇特な山歩きの方だろうか、でも太い鋸跡を見ると山主ではないだろうか・・?、見れば電動で切ったのではとも思うほどであったのだが・・。ずっとこれまでから長い期間の道の荒れ様だったものをここまできれいに片づけられた労力は並大抵のごご苦労があったはずである。大きな感謝であった。感謝しながら大事に歩かせていただきましょう。

         
遠くの比良のずっと手前のこの紅葉   ドウダンツツジ(ツツジ科) サカサマ峠の首無地蔵さん   ウリハダカエデ(ムクロジ科)  コシアブラ(ウコギ科)

 展望のない高雄山へはパスして降りていくと、右へ上がれば古い古い墓地登り口である。なんとここへお似合いのカップルがこちらを待つようにしていきなり質問であった。「降りて来られたこの先には何があるんですか、この石段上にも何かありますか。」というのだ。
 足元を見れば新しそうできれいだがもちろん登山靴ではない観光客だ。さすがに若者の二人で格好いいベタ靴を履いていた。どちらでも、すぐそこだし若者だから登れるだろうと、「この先には高雄山という山があるが、樹林の中で展望ないし、それに引き換えこの石段からなら、すぐで昔の偉い方の墓地がある。
 ただ、その偉い方の名前は忘れてしまった。ごめんね、でも行きたいのであれば展望のある方がお奨めだな・・」と、気をつけるように言って別れた。まだ14時前のことだから時間的にだって、若者二人なのだから人のいない静かな場所へ行きたい気持ちは推して知るべしだ。邪魔されたくない二人の思いは、そうだ昔も今も望むことは同様だろうと微笑ましかった。爆笑

 こちらはすぐに神護寺の多宝塔に降り立った。そこには多くの外人さんたち観光客が紅葉を見上げていた。そんな中には降りて来たこちらを見ながら、俺たちも上がろうかな・・、というような顔つきの御人もいたが、こちらはやめとき!と、注意しようかなとも思ったが、我が顔と似たような人の話すコトバが分からないので写真撮りに移るばかりであった。涙

       
多宝塔の紅葉は終わり同然    こちらは「かわらけ投げ」 前広場の紅葉、まだ観光客には喜ばれそうな状況

 ↓画像は上の右二枚と同じカエデを幅を強調しての撮影でしたが、見栄えが違い少しはきれいな紅葉ではないだろうか・・。でも、どうしたことか青空はほとんど消えていたよう・・

 
過ぎた日にちを数えても仕方ないが、今年の紅葉ベストは11/8前後だったよう・・いつもより早し! 

 しかしながら、神護寺境内の金堂あたりは元より、下の境内の毘沙門堂、明王堂や五大堂はもちろん、受付箇所、楼門あたりを含め完全に終わってしまっていたようだ。おそらく日差しの多少によるものだろう。でも、長い石段を下り始めていくと右側に茶店が並んでいるのだが、その屋根越しの紅葉(↓左)はそれなりにいい景色が展開していた。ちなみに神護寺の階段の段数は約400段と言われているらしい。でも、お年寄りには少々きついために十分ご注意を・・

 そして階段を降りれば、左に高雄橋ありだが、このあたりの景色もやや遅しの風景だっただろうか。また上の車道までエッチラホッチラ上れば、↓右に燃えるようなカエデの紅葉に観光客の人だかりで気がついた。これらで充分今年の高雄の紅葉を堪能した。
 それよりもあたりが暗くなっては困るのにと気になりだして、せっかくのチャンスであったバス停山城高雄少し左下から清滝川向かいの山の斜面に繰り広げられる「コバノミツバツツジの紅葉」の見処地に足を伸ばすのを、すっかり忘れてしまっている誰かは、この後、一バス停先の御所の口へ向かうのであった。

   

 御所の口バス停向かいの「国宝 子安延命地蔵尊」の石碑立つところから菖蒲谷池から大覚寺へ向けてのハイキングコースへ取りついた。(14:35)、これより菖蒲池へ暗くなってはと足早にトットと歩いて、釣り人が20人ほど並ぶ池を横目に、そして若い子ずれのファミリーがチラホラ状態で、こちらは池を素通りし、京見峠へ上がった。
 そこには広沢の池から東山をバックへ市街地が広がる中にスックと鉛筆を立てるがごとく京都タワーもよく見えた。そして最後の急な下り道を降りて直指庵だが、14時前というのに本日は定休なのか、入口はきっちり閉まっているようだったし、時間的にも遅かったために門のそばまで寄りもしなかった。

 そして、この後は住宅地を縫うように坂道を降りて大覚寺大沢の池へ辿り着き、これより人混みでごった返す嵐山に出て、中之島公園で最後の一休みであった。あたりは暮れなずみ、秋の日の釣瓶落としの小倉山向こう奥の愛宕山を愛おしそうに眺めつつ、今日もまた19K約7時間歩きと長いハイキングを阪急嵐山駅(16:20)で締めたのであった。

 そうそう、保津峡からご一緒に中尾根より取りついた名も知らない方は、分かれたあの後に愛宕山に登られ、無事に下山していただいたのだろうか・・・?。

         
「国宝 子安延命地蔵尊」の石碑    ま近かな広沢の池が鮮やかに見え    嵐山中之島公園からの愛宕山 

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