京都西山 初夏の野の花巡り  ’18.4.22 晴

 いよいよ、まだ4月中旬だというのに真夏日がやってきてしまった。今年の真夏が心配だな・・。そんな暑さの中で植物たちの戸惑いはどんなものだろうかと開花状況のチェックとしよう。今回はホウチャクソウの咲き初めが大群生で見られたのが幸いとなった。いろいろな種の花が咲くころだが、とりわけホウチャクソウの始まった開花は歩いた随所で見られ、実に見事というほかなかった。

 長くユリ科で知られていたが、近年はAPG分類体系でイヌサフラン科と聞きなれない分類とされている。これまでの図鑑には花期5月から6月中旬とあるとおり、今年の開花が実に早期となっているのが分かる。花の後には直径1cmほどの実がなり黒紫色の液果となる。花の先端ほど緑色が濃く、初夏には地味だが白から緑へのグラデーションが美しい花をつける。この花はよく似た種のナルコユリやアマドコロが1本の茎に多くの花を並べて下垂させて咲くのと違い、茎を枝分かれさせ、枝先に花を1~2個つけるのが簡単な区分点であろう。

 なお、この花の若芽に有毒成分を含むことを山人にはそんなに知られていないが、樹間の薄暗い広場に大群落を造ることから分かるように鹿の忌避植物なのだ。さらに、山菜として利用されたりすると聞くも、アマドコロやナルコユリの若芽と似ており注意が必要である。ホウチャクソウは摘んだときに独特の臭気を発するため見分けは可能だから注意したい。

 
ホウチャクソウ (イヌサフラン科チゴユリ属)
 他に咲き初めで群生しているものにはセキショウやニシノオオタネツケバナも見事に群生していた。セキショウは菖蒲の仲間だが、花は淡黄色の肉穂花序で春から初夏にかけて咲くが、山歩きのほとんどの方たちにも見向きもされないようだ。笑、こちらはいちいち触ってみるなど観察に余念はない。葉は長くなれば30cmほどと長くなる。葉の縁を触ってもすべすべしており棘はなさそうだ。もちろん鹿も食べないし溝の中で群落を形成していた。

 後者のニシノオオタネツケバナも谷間の湿った木陰などに負けじと大群生となっており、丁度今頃が見事な満開時季を迎えている。ニシノオオタネツケバナはオオバタネツケバナと酷似しており、なかなか同定に苦労する種でもある。ニシノオオタネツケバナはにオオバタネツケバナに比べて全体に大型で、葉は明るい緑色だが、両者が並んで咲いている場合は分かるが、一方のみでは根生葉の頂葉の丸っぽいのがニシノ・・である。決定的な同定ポイントは側小葉がオオバ・・は切れ込まない点を確認できればニシノ‥ではないことが分かるのだ。。

     
セキショウ    ニシノオオタネツケバナ
(ショウブ科属)     (アブラナ科タネツケバナ属) 

 続いて咲き初めだが、大きな群生というより小群落となって咲き初めたタニギキョウは、山間部の森林の木陰や、水気の多いところによく生えるのだ。そろそろ咲き始めとなっていたが、花というものは一輪でなく一定の数が揃えば実に見事ということになろう。

 次のミヤマナルコユリはやや開花時期が遅めなのだが、それでももうボツボツ蕾ほころぶ頃を迎えてきたようだ。ミヤマナルコユリと同じ仲間のアマドコロの茎は稜角といって角ばっているが、ナルコユリは稜がなくて丸いのが一般的な一番単純な同定方法だろう。

     
 タニギキョウ   ミヤマナルコユリ
(キキョウ科タニギキョウ属)     (キジカクシ科アマドコロ属)

 そして雑草並みな扱いとなっていたクサノオウ、キツネノボタンにウマノアシガタなどの黄色花が凄い大群落で、あたりを真黄色く染めていたのも嬉しい光景と思えたのだ。

         
 クサノオウ    キツネノボタン    ウマノアシアタ
 (ケシ科クサノオウ属)    ( キンポウゲ科属)   ( キンポウゲ科属) 

 続いてマムシグサの仲間たちはまだまだこれからで、賑わうのはもう少しかかろう。この種の花は特殊ないで立ちで興味深い。簡単な同定は仏炎苞の下にある肉穂花序という付属体を見るのが容易であろう。コウライ・・の付属体上部はやや棍棒状となる。それにムロウテンナンショウはよく似るも付属体の上部の先がマッチ棒状となることで一目瞭然であろう。なお、ムロウテンナンショウによく似た名にムロウマムシグサがあるが、こちらは仏炎苞の先が著しく長ぼそく、糸状になるので見分けやすい。

 セントウソウは早春に咲く小さな白い花だが、これも集まって咲くために花時には山歩き人からは「アッ、この花は何んですか?」と必ず声が出る種だ。大勢集まって人でなく、虫の眼を引く戦術のようだ。それにしても葉は羽状に細かく深裂しこの姿も見事であるが、この葉の形からオウレンダマシという別名を貰っている。

         
 コウライテンナンショウ   ムロウテンナンショウ    セントウソウ 
(サトイモ科テンナンショウ属)    (同左)    (セリ科セントウソウ属) 

 山野草の最後はヨツバムグラ、ヤマルリソウが満開終盤である。中でも前者の花の大きさは図鑑によれば1mmと記されているように撮るには一苦労である。スミレの本家はもうほとんど終わりの咲き残りだったが、今年のスミレ類は、当地では不作で普段の年に見られた種でもなぜか今年はそんなに咲きはしなかったのだろう。

         
ヨツバムグラ     ヤマルリソウ    スミレ
(アカネ科ヤエムグラ属)    (ムラサキ科ルリソウ属)    (スミレ科属) 

 木本類は早くも端境期となっており、西山山麓の開花は寂しいかぎりであった。

         
カマツカ(バラ科カマツキア属)     コバノガマズミ(レンプクソウ科ガマズミ属)   コナラ(ブナ科コナラ属) 
         
 クマイチゴ(バラ科キイチゴ属)    スノキ(ツツジ科スノキ属)    ウスノキ(同左)

 これな~に・・?。最初はリンゴでなく虫こぶだ。山歩きの食いしん坊は気をつけてネ!。今の時期どちらの山歩きでも出会える虫こぶである。二点目は写真が悪いゾ!・・ムクロジ科の一つの果実の一番手だろう。最後は竹藪の王様・・?、にわたしには見える。その名はキッコウチク(亀甲竹)、茶室などの床柱への飾りものにどうぞ・・笑

         
 ナラメリンゴフシと呼ぶようだ・・   ウリカエデの果実は早い    キッコウチクの節目が見事  

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