クロミノニシゴリ ’18.5.20 晴

 山地の林縁に白い花の塊が目に入り、寄ってみるとその花はタンナサワフタギのようだった。例年ならば6月に見られる花だと思うのだが、今年は10日以上前から咲き初めとなっていたのだろう。でも、この花はサワフタギとともに関西圏の山人には周知の樹なので珍しくもなく見飽きた花である。
 今日の本当のお目当てであるのはこの種の仲間のクロミノニシゴリ(ハイノキ科ハイノキ属)という東海地方を主に分布する種であるのだと、さっさとタンナサワフタギに別れをつげその場所を後にした。


タンナサワフタギ(ハイノキ科ハイノキ属)

 ところが、その後もタンナサワフタギの花は何度か出会うのだが、その仲間のクロミノニシゴリには出会えない。結局いつもの地へ着いて驚いたのだ。そのクロミノニシゴリがこの地には4~5本が並んでいる花を楽しみに描きながら向かったのだ。やっと着いてみて驚いた。その樹は高さ5mほどの高い種であったのだが、いずれも枝が枯れきってしまっているようだ。だが、よく見れば葉がまったくついていなかったのだが完全に枯れ木っているわけではなさそうだ。これは思いもよらない大変衝撃的な状態となっていたのに出くわしてしまった。
 考えてみるに果して原因は何なのだろうか、出会ってからまだ短いためにこれまでの経過の様子が分からない。そうだこの木も花が咲く年と咲かない年があるのだろうかと、考えるのだがよく分からない。それでもあたりをよく見渡たせば暗褐色の新葉が付いている枯れきったものより低めの樹がそばに立っていたのでその葉を触ると、なんと探していたクロミノニシゴリの新葉ではないか。
 そんなことでこのクロミノニシゴリは京都の山人はそう多くは知らないのではと思う。なぜなら京都府ではRDBでも絶滅寸前種と極めて希少種となっているからだ。滋賀県でもこのクロミノニシゴリは希少種であるのはもちろんで、この花は当地では今年目にすることは不可能だろうからこれぞ誠に残念至極である。

     
追記’18.7.25
   
追記’18.10.22
 
追記’18.10.22 
新葉の左後ろにわずかに枯れ枝?、を見る    後日にはクロミノニシゴリに葉がしっかりつく    18年の紅葉期も葉表はしっかり独特の暗紫色の紅葉、葉裏は明るい緑色のままであった。実はO 

 さて、せっかくであるから、そのクロミノニシゴリの咲いた様子を偲んでみよう。名も知らない当地のクロミノニシゴリに出会ったのは「あれは3年前~‥♪」で、この時には珍しい色あいの紅葉にびっくり仰天したのを今でもはっきり覚えている。なのに、今年は開花はその周辺を探し回るもまったく見当たらなかったのだ。これにはさすがに大ショックであった。

 そうだ、思いだした。最初に見つけた3年前のその時の木の根元には水がいっぱいあって池のような中に生えているようで、根元のそばまで寄れなかったことだ。それに引き換え今年の足元には水はまったくなく、これはどうやら乾燥化が進んでいるからも原因のひとつではなかろうかと・・?。調べるとこの木の生育地は低山地の湿地や池の岸などらしいから、よほど湿地好みなんだろう。これも地球温暖化が影響しており、これではいくいくこの地では生育できないかもしれないので来年こそしっかり観察しておきたいものである。

       
 3年前の出会いのクロミノニシゴリ   2年前に開花を見て、↑右画像は1年前に撮ったクロミノニシゴリである。 

 

 枯れてしまったようになっているクロミノニシゴリにばかり感傷的になっていても仕方ない。この話はこれくらいで、気を取り直して他の樹々の開花を探し回ろう。

       
ガンピはほとんど蕾ばかり  残花のコツクバネウツギの花色珍し   コツクバネ・・は2~3個の萼が美し  ウスギヨウラク(別名ツリガネツツジ)
       
 イボタノキは蕾なり  満開のカナメモチがびっしり花をつけ  残花のスノキは果実化へ進み  タニウツギは満開続き
       
 イタチハギは咲き初めだよ~ シャリンバイの自然種は超まれに見る  ナツハゼも咲き初めなり  雑草並みのスイカズラ満開 
       
 ゴンズイも咲き初めであちこちに  群落でナワシロイチゴもきれいに咲き  モチツツジ澄んだ淡紅色で引きつけ  ヘビノボラズは果実が光沢見事

 他にもエゴノキが散り花となり開花を教えてくれる。ソヨゴにヤマウルシは咲き初めで、イヌツゲ、ネズミモチはまだまだ蕾で、まだかと気になるシャシャンボは新葉の展開が始まったばかりで開花はその次のようだ。そしていつも美しきネジキの開花が見つからないのはまだ先になるのだろう・・。


 最後になったのだが、今回ほど山野草が寂しい花巡りも珍しい。それはやはり端境期なのだろう・・。さすがに二週間前にあれだけの大群生で見事だったハルリンドウは数えるばかりの残花がもう元気はなかったのが痛々しい。

       
 イシモチソウはモウセンゴケの一番手  オカタツナミソウも一番手か  こちらで初見のツメクサだ~  オヘビイチゴは残花で頑張り屋さん

 青空のもと琵琶湖の爽やかな風を一身に受けながら、草原の中に大群生のニガナ、ハナニガナやブタナたちの真っ黄色な花のなかに身をおくことのできた一日は、正に幸せ感一杯であり、このような日々の連続を今後も期待しながら後にするのだった。

5/6ハルリンドウ ホームヘ 5/29ヤマトキソウ








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