大群生のトキソウとササユリ '18.6.8 曇のち小雨

 いよいよ今年も入梅となったようだ。6月の梅雨時季といえばやっぱり花はランであろう。その内でもとりわけ希少種であるのが『トキソウ』であろう。その花が群れなして咲いてくれるその光景を楽しみたいものだが雨ではいただけない。ところがうまく梅雨の晴れ間というではないか、早速その地へむかおう。トキソウその名の和名は朱鷺草とあるように、花の色がトキ色をしていることによるが、佐渡島のトキの森公園でなんどか見たことがあるその色あいは、羽の色が紅紫色まさにトキ色といえよう。

 日のよく当たるジメッとした貧栄養な湿地の草むらに生える多年草であることから毎年咲いてくれるようだ。今回はいつもと違う場所で聞きしにまさる大群生の景色に出会え圧倒されてしまったのだった。その数は40~50輪は雄に数えられるだろうか。
 花茎の高さは10~30cmになり、その茎に長さ4~10cm、幅1cm足らずの細長い葉を1枚のみつけるというが、花冠の方ばかりに気を取られて葉に目がいくことは忘れがちとなる。京都府のRDBでは絶滅危惧種の指定をうけているほど希少種なのだ。もちろん、環境省でも準絶滅危惧(NT)となっているほどで、日本中でも大変貴重な種であることを知って大切に見守っていきたいものだ。

 
トキソウ(ラン科トキソウ属)  
     


 続いて、トキソウと同じ仲間でもある『ヤマトキソウ』がほとんど終盤となっていた。数えられるほどしかなかったのだが、でもなんとか見つけることもできた。もちろんこちらも京都府RDBにも取り上げられており、絶滅寸前種の指定であり、トキソウとともに貴重植物に変わりなく大切にしたい種であるのだ。なお、こちらではこの二種はヤマトキソウがトキソウより、少しだけやや早めに咲くようで、5月下旬あたりから咲き初めとなり、トキソウは概ね6月上旬から咲きだすような感じである。

 
ヤマトキソウ(ラン科トキソウ属) 


 そして、今年もその開花を待っていた『ササユリ』が満開となって歓迎してくれた。裏山のササユリは人の手が入った保護柵内しか咲いてくれずどうにかならないか、との思いばかりでいただけない。だが、しかし、ここは大自然の中で自由奔放に咲き誇っていたのが嬉しい。
 ササユリは日本特産の日本を代表するユリだ。中部地方から九州にかけて分布するので、関西では珍しくない花と言われているのだが、近年盗掘やシカの食害でその数を減らしているユリの仲間たちの種である。なお、関東では見ることができないようだ。

 こちらも数をあたれば、ほとんどが登山道沿いに四か所合計で28輪が咲き、その内3輪が鹿に花そのものを食べられた痕跡が見られたのだ。しかし、ほとんどは全くの無傷で美しく、まさに楚々として微風の中でもじっと我慢してカメラ目線で立ってくれているように感じられ、なんと可愛らしい花なのかと感激至極であった。このようにいつまでも元気に咲き誇ってくれることを祈りつつ感謝の頭を下げてから家路についた。

         
    ササユリ(ユリ科ユリ属)     

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