京都北山に咲く花 ’18.6.14  晴

 今回はマツブサの花を見ようと出かけたのだが、予想どうり時すでに遅く花は完全に散ってしまっていた。この様子から期待していた雌花ではなく雄花であろうことが類推できた。ところが、もうシロバナベニバナヤマシャクヤクは終了だろうとやってきてたのだが、残り花が数えるほど咲き残って出迎えてくれたのが嬉しい誤算であった。いずれにしても今回は京都府のRDB指定種がカラスシキミを含め三種もあったのだ。

         
         
     シロバナベニバナヤマシャクヤク (ボタン科
ボタン属)


山地の落葉樹林内に生える多年草であり、
淡紅色のベニバナヤマシャクヤクも京都では
咲くがシロバナ・・の方が箇所的には多く咲く
ように感じる。

もちろん、本家のヤマシャクヤクも白花であり
こちらのシロバナ・・と紛らわしい。その相違点
の主たるものをあげてみよう。

開花がヤマシャクヤクが5月と早く、シロバナ・・は1ケ
月遅い開花である。
前者の花柱が3~5個で後者は2~7個と多い。ま
た柱頭の曲がり方での見分けは容易ではない
葉裏の毛は前者無毛、後者は有と無両種ある
も京都では圧倒的に無毛の種が多いようだ。

府の指定希少野生生物であり、無許可採集
が条例で禁止(京都府RDB絶滅寸前種)
今のところ、シカの忌避植物で人間が脅威だ
ろう。大事に見守りたい種である。
   
         
         

 マツブサの蕾をひと月前くらいに見ていたので、5月20日あたりの開花を見込みたかったのだが、日程合わずに今回となってしまった。花は一年先にと我慢しよう。この種は北海道から九州まで広く分布することになっているのだが、京都府では自生地、個体数ともに少なく京都府RDBは準絶滅危惧種とされている。

 マツブサはマツブサ科マツブサ属だが、落葉の蔓性木本。雌雄異株。葉は厚くて無毛。花は黄白色。果実は黒く熟す。とあるように蔓性が変わり種だろうか。いずれにしても超希少種であることをハイカーも知って出会った場合にはそのことを仲間にも話し、大事にしたい数少ない植物である認識としたい。

         
 マツブサの葉は両面とも無毛、鋸歯は少ない   葉裏は葉脈がきれいに見える。花柄だけ残り    古いつるはコルク質、つるは左巻き 

 マツブサの枝や葉はマツのような香りがあるので入浴剤に利用するとあるので嗅いでみると、いわれてみればそうかな・・というくらいにしか感じなかったのだが・・?。また、↑画像中の葉裏の手前に花柄が1本だけ見えるが、ひと月前見た時には沢山の蕾をつけた長い花柄が付いていたのだが、どうやら風雨等で落下してしまったようだ。しかし、雌花の花柄であれば普通ならしっかり残って若い果実化が残っているのだろうから、この株は雄花のハズだと考えている。

 次にカラスシキミ(ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属)である。府内では北山以北の山中に点在するが、群生することはない。分布域は比較的広いが、個体数は少ない。とあり、京都府のRDBでは準絶滅危惧種と指定されている。また、形態として、山林内にはえる常緑の小低木。葉は表面に光沢があり、葉脈はへこむ。6月頃新枝の先端に白色の花を数個頭状に付ける。液果は7~8月に赤熟する。とあるも時期的には若干の前後がありそうだ。なお、液果は若い緑色時には7~8個ついていたが、赤熟へ向かうこの頃ではほとんど1個しか残っていないものばかり(↓画像右)であった。

 樹皮が丈夫で、鬼も縛れるというのでオニシバリという名の仲間の種は、秋に葉が出て夏に落葉することからナツボウズという別名があるのだが、さすがにこのジンジョウゲ科の仲間であるカラスシキミも、林内に生える低木で、夏に落葉する珍しい冬緑樹である。初冬の林内であれだけ緑色の低木樹がよく目立っていたのだが、今回訪ねるとほとんどの低木が↓画像左のように葉を落としてしまい、あれ~カラスシキミの木があったはずだが・・という感じとなっていた。

         
 夏にむけて枝の葉は落ちまさに夏坊主だ・笑   日当たりの悪い個所ではまだ葉は残り    6月中旬なのにもう実は赤色となって 
         
木陰にある木は葉をまだ残し冬緑樹で珍しい    葉表は照かり、細長く葉脈はへこむ     葉裏は照かりなく、葉脈は突出している

 その他に見られた草本類の目についたものは次のとうり

         
 オニタビラコ(キク科)花期長い   左の根生葉     オカタツナミソウ(シソ科)終焉
         
 コナスビ(サクラソウ科)里山で普通    ツルアリドオシ(アカネ科)地面這う蔓性   マルミノヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)* 

*マルミノヤマゴボウの和名の由来は実が分果せず丸いヤマゴボウという謂れ。 茎は太く、緑色、果期には赤味を帯びてくる。葉は互生し、長楕円形~卵状長楕円形で先が尖り、全縁、無毛。花序は直立し、やや円錐花序につき、次第に真っ赤な棒状になる。
 なお、ヤマゴボウは中国原産で江戸時代の本草書に掲載され、当時は食用にされ植栽されていたものらしいが、昨今では山間部で極まれに野生化したものに出会うというが、実際には目にすることはほとんどなさそうである。もちろんこれから暑くなればヨウシュヤマゴボウが普通に見られるのだが、有毒種でもあり雑草扱いだろう。


次に木本類だが、こちらはまだまだ見どころはいろいろありそう・・

         
 オニグルミの果実、リスの秋好物    ジャケツイバラの出来始めの若い実    ジャケツイバラへ虫こぶ、初見
         
 アマヅル(ブドウ科)の若い果実    アマヅルの葉、鋸歯間が山でアヤ・・   ヤマボウシの残花いっぱいつき見事 

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