比良 ホッケ谷右岸尾根から蓬莱山 ’18.10.18 晴のち曇

 JR蓬莱-苗田橋-ホッケ谷右岸尾根-P735-ホッケ山-小女郎ケ池-
 蓬莱山-P1101-小女郎谷北東尾根-P717-P265-八屋戸-JR蓬莱

 山日和に久しぶりのご機嫌の山歩きを楽しんだ。今回は南比良のマイナーなコース取りでホッケ谷右岸尾根を登り、蓬莱を踏んでから小女郎峠手前まで戻って、小女郎谷北東尾根を下る道としよう。蓬莱駅(6:30)から半時間ほど歩いて旧湖西道路上にかかる苗田橋に着き、比良の南陵を見上げて、あの稜線にぶら下がる二つの尾根を見比べた。それにしても登るにしても降るにしてもどっちにしてもきつそうだな・・と、まず気合を入れようと心した。

 
 苗田橋から見上げる南比良の稜線が素晴らしい!

 しかし、歩きだすと初めてではないのになんと退屈な作業林道だった。この橋の後の長い林道歩きから登山口までが半時間歩きだが、この時期だからまったく見るものは皆無に等しいので余計に退屈歩きが辛いのだ。おまけに登山口からの道が最初から踏み跡も消えたも同然で、昨年の台風被害発生で、どうやらほとんど人は入っていないのだろう。道には倒木は片づけられるはずもなく、その後も落枝が山ほど残っており、一昨年以前とは雲泥の差で歩きにくくなっているように感じた。

 それでも何とかCa550あたりまでの荒れ様は大したことはないと思ったのは縦走路まで上がってからの気持ちだった。それが証拠に550過ぎからの一直線の古い仕事道らしきですら、中盤での倒木によって踏み跡は分からなくなる始末だ。それでも方角を読みながら雑木の中をとり、どうにか最初の左折点を探し当て、それより5回の左折右折はすんなり進んだ。お~迷点の部分だが、何とか歩けるやないの・・と油断が出たのだろう。最後の右折点から少しで分からなくなってしまった。それでも右往左往して何とか迷点の終了地(↓左画像)まで上がって来れた。腕を覗くと登山口から45分もかかっていた。

 この後はP735はすぐで、やれやれこの後は縦走路までは安心して登れることだろうとホッと気が休まるのが一昨年までの歩きだったのだが、今年はどうやらこれからの道も歩きにくくなっていることだろうと予感した。さぁ気を引き締めて登ろうと腰を上げるも、予想どうり次第にあちこちで歩きにくい状態となってきた。
 倒木など裂けて急斜面のエスケイプの連続で時間がかかりそうだ。古道をそのまま歩けた部分はどうにかコース中で半分くらいだったかな・・?。ところがエスケイプのお蔭で過去のこの古道歩き中には見たことはなかったが、びっくりするほどの大木ブナ(↓右画像)にも出会うことができたので良しとしようと考えながら歩き続けるのであった。

     
 迷点上の最終地のここは穏やかに見えるが・・    ここの古道歩きで初見の大木ブナだ

 古木ブナからすぐで縦走路到着であった。フラットなきれいな縦走路を見て、これでやれやれだなと小休止(9:00~05)だ。やっぱり今冬はこのコースは下りに使うべきだろうと思いながら腰を上げた。この後の稜線漫歩はそんな楽しみはマンネリ化で期待しないで進もう。すぐでホッケ山到着だ。この山は360度の大展望が広がるのだ。最初の目はやっぱり今しがた上がって来た尾根(↓1枚目)を覗き込むのだ。右の霊仙山や比叡山は気にならず左よりのピークがP735だ。

         
 一番左下のピークがP735でその後が辛かった   ホッケ山(1050m)は坊主頭の小広いピークだ     これから行く蓬莱山は指呼の間でたおやかだ

 さぁ、稜線漫歩だが、気になるのは植物たちだ。笹原の中へリンドウがまだまだ盛んにいろいろと咲いていたが、センブリには出会えず樹木類の果実ばかりが目についた。

 
 笹原の中に咲くリンドウ
       
 アオハダも台風で実は落ち少し残り もちろんカマツカも台風で実は淋しい   アズキナシは珍しく葉が多く残り タンナサワフタギも風当たらず葉も多 

 小女郎ケ池へは笹薮を縦走路よりショートカットで降りたが、誰一人姿なく池の看板も台無しとなっている。従来は琵琶湖バレーが観光ハイカーのために道標、説明板等にまで手をいれていたようだ。近年は自分ファーストの時代のようで儲かる点のみで関心がおおらかとなならないようだが、心淋しいのはわたしだけではないだろう。
 そういえば過去にはゴンドラで上がってきて、汁谷のお花畑を覗いたり、キャンプ場で遊んだり、はたまた小女郎ケ池までの往復で満足してまたゴンドラで降りるハイカーにもよく出くわしたものだが、近年のそのようなハイカーにほとんど出会わなくなっているように感じている。

     
ひっそりとした小女郎ケ池    小女郎付近からの蓬莱、コヤマノに武奈もいい 

 さぁ、本日の高みは蓬莱山であった。さすがにハイカーはほとんど姿はないが、観光客もそんなに多くはなさそうだ。こちらは早昼としよう。山の神休憩所に入らせてもらい、のんびりと昼めし(10:30~11:00)にありつこう。でも、山頂まで上がれば、そろそろ寒さを感じるようになってきたようだ。これからはガス持参も用意せねばと思いながら、それにしても今年の夏の猛暑はなんだったのかと思いながらヤマメシのひと時だった。

         
 蓬莱山(1174.2m)の一等三角点    少し先に進み森山岳を見ながら、しばらくご無沙汰だねと愛しい    食後には琵琶湖テラスを見物だが・・

 小女郎谷北東尾根を下る

 さぁ、蓬莱にもこれくらいで辞そう。この後は小女郎峠すぐ手前のP1101地蔵さん座る地まで引き返して、これより小女郎谷北東尾根を下る道をとろう。地蔵さんに「この後の山道から最後までも安全を守ってくださいね。」と首を垂れて向かいの笹原に薄っすらと細い踏み跡(↓左画像)へ入ろう。この笹原の突端からの展望は最高地だが、今回はもやっていて満足なビューとはならず、さっさと急傾斜のヤセ尾根を降りるのであった。

 しかし、このコースは考えれば前半に少しばかりの若いブナ林の地が広がってはいるのだが、その後の自然林地が終われば、もう後はほとんどがスギやヒノキの植林地帯ばかりで日のあたる場所も無いのに等しい。そんなことから見ごたえなどあろうハズのない道が続くのである。
 ましてやCa650から500あたりの激下り斜面は植林の中で、猛烈に滑りやすいのは危険さえ感じるほどである。でもCa500mあたりからの小さなフラットな尾根の無名峠に降り立つと、余りの激下りが済んだとの思いから、後は穏やかな道歩きができるのだと嬉しさがこみ上げるほどであった。 

     
P1101地蔵さんから笹原中の細い道を南東へ    中間くらいのP717小ピークあたりも杉の中 

 そうしてH9年の植林整備看板ある作業道も、枝落ちの散乱で歩きづらいが、それでも激下り斜面とは大違いのためにのんびり歩きができ、左手には沢水がコンクリートで相当後で施設されたらしい。その溝の水量も元気よく冷たい水がありがたく顔を洗って気持ちよくP265(12:45~55)へと着いた。あたりには野菊があちこちに咲き乱れており、早速にしばらく花巡りとしよう。

 とはいえ、野菊はなかなか同定は容易ではない。特にヨメナ属はたまたシオン属だが、前者がヨメナ、オオユウガギクにユウガギクであり、後者のシオン属の仲間にはシオン、ノコンギク、シロヨメナにイナカギク、それにホソバコンギクやゴマナ、シラヤマギク、サワシロギクたちを目にすることだろう。全国的にはもっと他にも多数あって、図鑑を見ていると目が回りそうなキク科ヨメナ属にシオン属の一員たちだ。

 さりとて、山歩きの人たちにはスミレを少なからず名が言えても、野菊が咲いていてヨメナ属やシオン属などの話しが出てくると、「もうエー、菊の花は野菊でエエーのや・・」と笑いで誤魔化してしまうなどの声を聞くことが多いのだが如何だろうか・・。

 では極簡単な見分け方で今回の花の同定としてみよう。できれば頭花の直径、花色や冠毛の長さに色あい等で観察はしたいところだが・・。これだけ雑草のごとく咲き乱れていることから、気はひけるのだが、一番早く終わりそうな個体を摘んで舌状花と筒状花を引き離し、それぞれの基部についている冠毛の長さを見分けるのが一番早い見分け方だろうと思っているのだ。

 図鑑の説明では次のような解説があるようだ。

ヨメナ属(冠毛が1mm以下でほとんど無いといってよいほど短い)=ヨメナの冠毛の長さ約0.5mm、オオユウガギク約1mm、ユガギク約0.25mmだが、これでも肉眼でも漠然と見えるが、できれば長さの感じをルーペで観察したい。

シオン属(冠毛は概ね約4~6mmと極めて長い)=近畿圏では一番個体数が多いと勝手に思っているノコンギクだが、↓右画像で分かるように舌状花基部に白いヒゲのように長いのが冠毛だ。もっともシオンは近年庭や畑に植栽ばかりで自然種はほとんど見られないようだ。なお、シオン属は冠毛の長いのを見るだけでなく、それぞれの種の特徴を見ることも大事な同定方法だろう。 

     
ノコンギクは茎も葉もザラザラし、大きな鋸歯あり     シオン属は冠毛が4~6mmとめちゃ長いのだ・・

 P265からは車道歩きで信号八屋戸まで降りてくれば帰ったも同然であり、JR蓬莱駅(13:20~27)は目と鼻の先であった。しかし、今日の山歩きは久しぶりで相当の体力を使ったような気がしたが、とりわけ登りの古道上りには手を焼いた。フゥ~

歩いた軌跡です。↓クリックで拡大

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10/25紅葉の武奈ヶ岳 10/29西尾根から皆子山

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