京都西山 いよいよ早春花のポンポン山 ’19.2.21 曇

立石橋-新鉄塔道-展望台-京青ノ森-釈迦岳-ポンポン山-リョウブの丘-
フクジュソウ地-窯ケ谷-東尾根-第一ベンチ-西山キャンプ場-立石橋

 明日の予報はいまいちだが、午後からは晴そうだからと前夜の天気予報を見てぐっすり眠ることができた。ところが朝起きると今にも泣きそうな雲行きではないか。これでほんとに午後あたりから晴れるのだろうか・・、と思えど決行としよう。ところが家を出ると昨日があまりに温度が高かったことから、今朝はめっぽう寒いではないか。え~、こんなに寒くて晴れ間がないのならお目当てのフクジュソウは咲いてはくれないだろう・・。

 こんな、ことを考えながら、立石橋までの間は止めよう、どうしよう・・のじれったい気持ちの心の揺らぎが続いていしまった。でも、このあたりまで来れば寒さの原因だった冷たい風がピタリとなくなってくれた。寒くないのであればやっぱり登ろう・・、とようやく踏ん切りがついたのだ。よし、これで今日の上りは決まった。それは今期早くも三度目となる新鉄塔道からとしよう。

 この山には大木が古くから残されているようだ。それらはこれから順次四季を変えて観察していこう。今回はまず最初のカラスザンショウであった。この木はミカン科の代表選手だろうと前々から思っている。図鑑では15mの落葉高木とあるが、わたし的にはもっと背が高いのではなかろうかと首が痛くなるほど見上げていた。

 山歩きの中で比較的よく見かけるミカン科サンショウ属の仲間は、この木の他にはサンショウ、イヌザンショウにフユザンショウの四種だろうと勝手に思っている。もっともこの四種はポンポン山にあるために早くから知ることができていたのだが、図鑑に掲載のあるその他のサンショウ属たちは、他の山域でもわたしは出会ったことがないので覚える機会はまだこの四種のみという訳なのだ。笑

 サンショウ属の四種の見分け方は極簡単だ。見分け方はいろいろあるだろうが、わたしは棘を見ることにしている。それは棘のつき方で見ればたやすいだろう。

*フユザンショウの棘はサンショウと同じく対生だが、サンショウとの区別点は葉軸に翼があるのがフユザンショウである。

 種名  カラスザンショウ サンショウ  イヌザンショウ   フユザンショウ
棘のつき方  ランダム   対生  互生 対生*

 カラスザンショウの棘は古くなって大木になると先が丸くなるのは人間様とおなじようだ・・。笑

     
 カラスザンショウ幹下部の棘は丸い  果実の裂開後姿  この冬姿は2/5撮影のもの

 さて、ようやく西山古道である展望台へ上がってきたが、今日は眺望はよろしくない。ハッキリするのはすぐ目の前の野山だけで、少し奥の音羽山塊すらしっかりとは見えないのだ。もちろん、比叡山はほとんど見えないのも残念だ。そんなことより悲しい出来事を書かねばならない。

すぐ上のゴルフ場そばの鉄塔付近にあった、ゴンズイという比較的こちらの山塊では希少種があったのだが、先の21号台風で杉の大木が倒れてきてしまい、完全にゴンズイが折れてしまっていた。その状態を見て、せめて折れ残った状態でも生きてほしいとの願いから、ゴンズイに乗っていた倒木杉の枝払いを一生懸命やって、杉の枝や葉すべてを片づけていた。
 だが、今回それを見に行って見ると、やっぱり心配してたとおり、折れ曲がったゴンズイの枝はすっかり切りはらわれてしまい、きれいさっぱり片づけられていた。この状況を見て、「仕方ないナー、ここは関電地なのだろうから・・、今後のゴンズイはポンポン山では他には見ていないから、他の山で見ることとしよう」と諦めた。泣


 さぁ、次はマンサクの開花に出会えるかもしれないと喜々として歩を進めていた。するとこれは予想どおりズバリ的中であった。バンザ~イ笑、その名の謂れは早春のころ他の花に先駆けて「まんず咲く」と東北地方で訛ってたものとか、花が沢山ついて豊年満作だからの名のようだ。花が咲けば比較的花もちは長い。この特徴は早春の花は開花期間が長いといわれ、花粉を媒介する虫が少ないからのようだ。

 また、マンサクの葉は花が終わってから展開してくるが、葉は、単葉で互生であり、葉身は5~10cmと長く、左右不相称で菱状円形あるいは広卵形。先は三角形に尖り、縁は波状の粗い鋸歯がある。葉柄は15mm以下と短め。だが、この変種は日本海側に分布する葉先が丸くなるマルバマンサク、もちろん、福井の山はマルバマンサクばかりだ。それに関東方面に分布するオオバマンサクという葉の長さが14cm、幅が11cmと一回り大きくなるものもある。わたしはこのオオバマンサクは丹沢山系で見ている。

 そして中国地方分布のアテツマンサクはマンサクの葉の形とほぼ同じだが、長さが14mmとやや長く、岡山県阿哲地方で発見されたことからの名である。わたしはこのアテツマンサクを今は真庭市となっているのだが、以前の阿哲郡といったころに岡山の大佐山まで見に出かけたこともある。実はこの種は京都府立植物園内で初めて知った思い出のアテツマンサクだから、府立植物園へも長らくご無沙汰のために訪ねて見るのも悪くはないが・・。

 ところで↓右画像に果実殻が写っている。植物観察では人はややもすれば花ばかり気になるのだが、昔比良山系で夏ころだったと思うが、初めてマンサク、いや比良はマルバマンサクだったと思うが、その緑色の果実を見たのを思い出したが、その後すっかりマンサクの果実のことは忘却の彼方だった。ただ、今回偶然ズームで果実殻を見て感傷に浸っていた。

     
 マンサク(マンサク科マンサク属)    ハイカーが果実やその殻を目にすることはまれだろう・・

 マンサクの花よりも果実殻が見られてルンルン気分でポンポン山到着だったが、平日の今にも雨が降りそうな空模様の中に、10人ばかりの姿があった。温度は1℃だったがやはり寒い。台風で幹が半分に割れ損ねたような状態のカマツカ傍のベンチでお昼をゆっくりとろう。それは、後のフクジュソウの花が咲くのを待つために、できるだけ晴れ間を待とうとの魂胆だったのだ。


 頂の人の中には、だいぶ前の百名山案内時に何度か参加いただいた方にもまたまた出会ったので、この後の花のことを聞けば「月曜日の18日にはこんな感じで咲いていたヨ」、と多くのフクちゃん満開のデジを見せてもらい、ついつい早く行こう、いや急いでもこんな空模様であれば花は開かないヨ、と気持ちはうろうろであったが、結局1時間近く暇をつぶして、渋々腰を上げてフクジュソウ地へと向かうのであった。
 ところがこんなに足の重い歩きが「何とバカな天気模様の日に上がってきたもんだ・・」と我ながら情けなくなってしまった。先のリョウブの丘では6人の男女が元気にこちらを茶化してくれる。「まぁ、行けば花は見られるわナ・・」と笑い転げている。要するにバカにされていたのだ。笑

 寒くて曇空の今日はフクジュソウの花はお休みだ! 涙

     
花びらを開かないで蕾ばかりのフクジュソウ ;; 

 行ってびっくり、というより当たり前田のクラッカーだろう。笑、昨日咲いた後の寒さで傷んだ花が数えるほどあるだけ、その他はみなすぼんだ花ばかりであった。この寒さで一面黒い雲なれば花びらは睡眠状態は当然だ。バカ丸出しの日のフクジュソウ見物だったのだ。笑
 ならばヤマシロネコノメやセントウソウでも花が見られるだろうかと、窯ケ谷へ降りてみた。ついてない時はこんなものだ。ヤマシロ君もセンちゃんもアウトであったのだ。大泣

 後は徘徊しながらキャンプ場へ降りることとしよう。ところが、西山キャンプ場の水道設備は直っておりびっくりだった。あれだけ台風の爪痕ひどかったのだが、やっぱり今年も予算の余裕がまだまだあるらしい。「こんなところへ予算を使うより、全国のそのような予算を集めて、震災や大洪水等の被害地域の復興へなぜ回せないのだろう・・」と考えながら、とぼとぼと立石橋へ向けて鉢伏林道を最後の歩きとした。

 他に見かけたものもご覧いただこう。

         
イヌガシ 花芽も膨らみ     シキミ 蕾   シュンラン 2本の花芽2cmに成長 
         
 ヤブコウジ 実   ツルマサキ 冬芽     コウヤノマンネングサ

2/5ヤブコウジの赤い実 ホームヘ 3/8イヌガシ満開






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