比良 武奈ケ岳から東稜 ’19..3.2 晴

比良-イン谷口-正面谷-金糞峠-南尾根-コヤマノ岳-武奈ケ岳-東稜-広谷-
イブルキノコバ-八雲ケ原-北比良峠-ダケ道-大山口-桜のコバ-比良 

 ようやく好天の日における山登りができそうだ。しかし、肝心の雪は少なくなっているらしいが、武奈へ出かけよう。比良駅(7:40)を出るとすぐ目の前には堂満や釈迦が見下ろしていた。「う~ん、このような景色が武奈でも見られたらうれしいのだが・・」と早くもテンションが上がってきた。

 
 比良駅前からの比良の山並み

 イン谷口からすぐの駐車場には数えきれない車が並んでいる。もちろん数える気もない。笑、でも、気温上昇の方が気にかかる。正面谷を行くともう汗が出だしている。ほとんどが大山口を右折しないようだ。最初の水場を通過するが、さっぱり残雪も目に入らない。
 ルンゼの取りつきを過ぎてようやく雪が出てきた。前回の2/24にアイゼン装着を青ガレの取りつきでやって狭く困ったために、今回はその手前の雪が消え石の出た所で腰掛けてのアイゼン、これが楽だった。すぐに青ガレだったが、雪はほとんど消えかかってアイゼンと岩場との競い合いのようだ。このように極めて登りづらい状態が青ガレ部分が終わるまで、ずっと続いていたのは辛かった。ややフラットになって沢水が元気に流れる二回目の水場に上がってきた。とうとうとの流れに誘われてここで最初の水分補給と、持参のマグカップが取り出して喉を潤そう。

     
雪が消え岩とアイゼンで登りづらい     青ガレ済み、すぐに二回目の水場は元気

 水場から上がればすぐで目に入ってく四角い大岩がダイヤ型に座っているのに目が突き当たる。するといつものように振り返れば近江舞子が眼下に見えるのだが、こちらの今日はその景色より目に入るのは早春一番に咲くハンノキの仲間のケヤマハンノキだろう。8cm前後はあるのだろう長い雄花が揺れている。
 雌花は・・?、と探せばすぐ雄花より上に下向きに曲がってついていた。(雌花が上向きはカワラハンノキとなる)また、よく似る毛のないヤマハンノキも同じく雌花は下向きにつく仲間であるのだが、区分点は葉に毛の有無を見ることになるが今はついてない。それでなくともこの辺りは急登が続いている所のために身体が持たず、そう簡単には同定は難しくてやっかいな種だ。いずれ春頃には、葉の展開も見られるのでその葉で同定したいものとの思いはある。ただ、ハンノキやタニガワハンノキは花のこの時期であれば区分点はなぜか知っているので同定しやすいのだが・・。何としても葉のつくころの青ガレ登りはたまた下りの機会は今年もわたしにはきっとある。笑

 いずれにしてもカバノキ科はカバノキ属、ハンノキ属等があって、雄花と雌花を咲かす雌雄同株であるのだが、比良ではカバノキ属ではミズメだけしか見てはいないが、他の種はほとんど標高高しの分布だろうから、低山の比良あたりでの出会いは容易ではなさそうだ。でもハンノキ属は比良にもいろいろな種に出会える。そしてハンノキ属ではヤシャブシ亜属とハンノキ亜属とに分かれる。今回のハンノキ亜属も仲間が多く、登るのにしんどい箇所での同定はそれこそ投げ出してしまいたい心境なのだ。笑

         
 菱形の大岩がここへ座ってから間がない    ケヤマハンノキ(カバノキ科ハンノキ属)    やっと金糞峠へ着いたが雪はない

 金糞峠からすぐ下の小橋を渡れば、武奈ケ岳最短コースの古い標識地から登り上げよう。中年グループ5人から「単独の方お先にどうぞ!」と順番変更の指示が入った。見れば中に小橋をおっかなびっくりで渡っていたのがその女性であり、こちらに先を譲るほど足に不安のあるようなのと一緒にグループを組むようでは、その他のメンバー装備の割にしては大したことはないのだろう、チラッと横目で「おおきに、お先に・・」とご挨拶だった。

 半時間も登れば群立ちしている樹木に出会える。その木はこれまでからイヌシデかなと思っていたが、今回はその場でじっくりと品定めとした。ブナ科ブナ属にはブナとイヌブナがあり、樹形は簡単にいえばブナは一本立ちで、イヌブナは萌芽力旺盛で、主幹が枯れてもひこばえが成長することにより群立ちした樹形になりやすいのが特徴といわれる、と手持ちの図鑑に解説があるのだ。
 そのことから多数の株立ちだったことから、初めて出会った時以来ずっとイヌブナだろうくらいに見ていた。しかし、それにしては幹の感じがどうもイヌブナらしくなさそうだ。と思うようになってからそのままだったが、今回その気になってしっかり観察することにした。すると、やっぱりこれまでの見立ては間違っていた。同じく図鑑説明によれば、ブナの幹は灰白色で樹皮はなめらかであり、その点からシロブナとの別名がある。一方、イヌブナの樹皮には、いぼ状の皮目が多く、ブナより黒っぽいのでクロブナともいわれているのだ。このような類似種との区別点からこちらは本ブナの「ブナ」であったのだ。「あ~よかった、これからはここを通るたびにどっちかナ」と悩まなくていい。笑

     
 株が群立ちだが、肌が白く本「ブナ」だ    上に行くほど本ブナの古木が出てくる

 そして、コヤマノ岳の標識地が立って居るそばにはブナの王様のように見える、ハイカー仲間では通称「コヤマノクラウン」と呼ばれているようだ。そして、その先の最高点地には三角点のごときブナがどっしりと座っているのだ。

         
南より凛々しい姿の通称コヤマノクラウン    コヤマノ岳の標識地    東側よりからのコヤマノクラウン
         
     堂々のコヤマノクラウンを南東側より    
         
コヤマノ岳最高点を手前より見る     三角点はないが標高1181のブナ     最高点よりコヤマノ東尾根とりつきなだらか

 八雲が原分岐よりすぐでコヤマノ分岐だが、その近辺からの武奈ケ岳の双耳峰がこれまたよい姿を久しぶりに見せてくれた。六日前は山頂の強風に泣き、3分で頂を後にしたのが忘れられない。ところがである、青空はいいのだが、あまりの暖かさで伊吹山すら霞みがかって見えなかったのだ。西から北西にかけてはなんとか山並みは見えたけれども、お目当ての高峰並ぶ北から東方面はさっぱりだったのが、「日ごろの精進の悪さだヨ!・・」と誰かがいってるようだった。大泣

         
 手前から久々に姿よしの武奈ケ岳    西南稜から頂上手前稜線の雪無状態はよくあることだろう・・?    それでも雪の白いのには心躍る
         
    三角点東側からの眺めが目に入れば、お~東稜を予定どうりだ!     
         
 コヤマノや口の深谷より蓬莱山だ    さすがに今日は釣瓶へはパスだが、奥の蛇谷ケ峰も白さ薄そう   武奈の頂にこの時期白0は珍しいのでは 

 眺望が終われば北稜側へ少し降り、岩が顔を出している地で昼食としよう。思うことはみな同じで、小さな岩の塊り周囲や岩上に座って7人ほどがみな昼(11:20~12:00)を食べていた。ゆったり大休憩の後に腰を上げると東稜には二筋のトレースが腺を引いていた。よく見れば右側は昨日以前のようで大分消えかけており、どうやら一人が本日はアイゼンで降りているようだった。さぁ、今日も東稜歩きを存分に楽しもう!!

         
少しでこの武奈東稜の景色だ、やったゼ~     ブナ並木すぐ下、枯れ木のオブジェが良し    東稜Ca1070地からの武奈、北稜の眺め
         
白い三角形は武奈山頂側からはno景色     ここだけの西への見事な景色が絶品だ   北稜の雪庇は泣いたがまた来年期待だ 

 武奈ケ岳山頂からP1070の高台へ下りてきた。するとトレースは台形状どおりに直進して一番東の急斜面を降りるようだった。わたしは登り時はそのルートがよいが、下り時には1070を踏めばすぐに左よりに緩やかに下って行くルートが安全だと歩いている。そして今日はほぼ1000mあたりで先行者のトレースに突き当たったのだ。
 山頂から広谷RPまで今日もほぼ半時間で降りてきた。お蔭さまで無事にRP広谷1の標示ある橋に着地であったが、この看板が隠れかけているほど雪が被っている年とはえらい違いだった。目の前の橋の上の雪は例年より多くはないためにビビることなく渡ることができたのだが、それでも渡ってようやくホッとして振り返ることができた。

         
 予定の小橋前に下山    橋のたもとの木にRP標示あり    渡ってから振り返るがそれでも急だった

 自然とアンマッチな奇抜な黄色い小屋側右岸に渡り返し、広谷道標地まで左岸でなく右岸を歩けば、その先にある丸太橋の中ほどにぷっつりと雪がなくなって1mほどの丸太部分がむき出しとなっていた。恐らくハイカーが渡りかけて崩れたのではなかろうか。それなら渡ろうとした人はドボンになっているハズだが・・?、と右岸側を進みながら見ていたのだが、落ちていたのなら足などの怪我は大丈夫だったのだろうか等と考えていたら、写真も撮り忘れてしまった。そうだ、人の不幸を喜ぶようなことはよそう・・。

 イブルキノコバまで上れば、南尾根上り時に登りの群立ちブナ上で追いつきかけた女性二人だったが、その後二人はこちらを意識したのか、スピードアップしだして追いつけないほど足の強い二人連れだった。それでもコヤマノ分岐あたりでようやく追いつき、武奈を見上げながら「なかな強いネ~」と、一言二言声を交わした女性二人に、又してもイブルキノコバへ同時に到着したのだ。
 するとこちらの顔を見てトップの強い方の子が「どちらのコースから降りてこられたのですか・・?」と問うので「東稜からです・・」と答えると「そうでしたか、私もそのコースはまだ歩いたことないのです。実は前回降りようと初めて計画していたのですが、その時は真っ白で止めてしまったんです。だったらご一緒すればよかった、残念です。こんど降ります。」とのことだった。

 「ちょっとこちらで少し休みます。」とのことで、こちらが先行し八雲ケ原に着けば、今度は男女2人ずつが、「背の高い女性2人組」を見ませんでしたか・・?」と尋ねられ、「それならイブルキノコバで休まれていましたヨ」といえば、「我々と一緒のメンバーなんです。我らと違い早い子ばかりだからゆっくりしているのでしょう・・、八雲で休んで待ちます。」とのことだった。そういえば、南尾根の本ブナすぐ上で4人組の男女が長い間休んでいる中をこちらが追い越したことを思いだした。どうやら4人を置いて強い2人は先にその休憩地点を出発して歩きだしたのだろうとつじつまを考え歩いていた。

 そして目の前が明るくなってきたらそこは北比良峠(13:25~35)だった。八雲は通過したので北比良峠で一本としよう。そしてゆったりと振り返って武奈ケ岳をズームアップしてみよう。「お~、あの白い斜面が東稜なんだ~、なかなかよいもんだった・・。」と感慨に耽っていた。しまいにはこれまた6日前に降りたコヤマノ岳東尾根を眺めまわして楽しんでいた。

         
武奈ケ岳はここからなら真っ白    山頂下手前白い流れはパノラマライン   コヤマノ岳東尾根も眺め良し~ 

 さぁ、ここでアイゼンを片づけ、後は下り道だけだと一安心だった。釈迦や右には3日前に下った堂満岳東稜道の急傾斜を眺めながら、あの日のチョンボも笑いながら思いだして歩いていた。カモシカ台で最後の一本で行動食を取ってから大山口(14:25~30)だったが、さすがにここには下山者がたむろしている感じに思えるほどの人だかりだった。おそらく堂満からの下山組ではなかろうか。

 さぁ、今日の武奈も終わったが、後は比良駅までゆったりしながら歩こうと、近道をのんびりしながら帰るとシキミの開花に今年最初の出会いとなった。駅に着けばゆったり着替えてから乗車(15:35~53)とし、展望はいまいちなれどもよき山歩きの一日とすることができたことより、電車の揺れがいっそう気持ちよくしてくれたのだった。

 
 最後の帰り道にシキミが今年初見だった

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