西山の植物観察 ’19.3.14 曇のち霰

 今日の山は霰が降ってくるほど寒い一日となった。いろいろな樹木観察としようと歩き回ったが、さすがに下界では最高気温9℃らしかったが、山では結構寒さが厳しかった。本日の1番手はテイカカズラだ。この種には他にケテイカカズラやサカキカズラと聞きなれない仲間があることを知ったために、それらの区分点をメモしてフィールドへと向かった。

◎テイカカズラ=つる性だ。幼木時は地を這うが、その時の葉には鋸歯があり、葉脈には白い斑となる。しかし、成長し近くの他物によじ登っていくようになれば葉の縁の鋸歯は消えて全縁となり、葉脈の斑も消える。そして葉の両面は無毛である。葉裏は葉脈や細脈までハッキリと分かる。花は白色

◯ケテイカカズラ=つる性だが、テイカカズラとほぼ同様であるも唯一相違点は葉裏に毛が多く、葉の裏をさわって毛がモサモサ生えているか確認すれば分かるらしい。枝は緑褐色で、葉柄とともに、淡褐色の毛が密生する。花は前者とともに白色だが、開花時においては花筒の基部が細く、ふくらんだ上部とほぼ同じ長さであること、それに毛が多いことが一番のポイントだろう。
 その他にも葉の縁はテイカカズラが内巻きするのに比べ、本種は内巻きしない点や葉の長さに比べて幅が広く、ずんぐりしている点などでテイカカズラとの重要な区別点となる。このケテイカカズラは個体数が少なめで、葉裏を触らないと確実に区別できないようだから必ずさわってチェックしたい。

△サカキカズラ=この種もつる性だが、テイカカズラと極めて酷似する。ただ、開花時期では花は白色でなく淡黄色であることが大きなポイントであろう。葉では葉身や幅はテイカカズラよりやや大きめ。それに如実な相違点は葉裏が上記二種はハッキリ葉脈が分かるが、こちらの葉裏は葉脈などハッキリしない。また、葉は対生だが、この種は向かい合う葉柄は太い線で繋がることも区分点のようだ。
 それに果実期の同定は、果実の姿が上の二種とは全く異なるようだ。この果実姿ですぐにサカキカズラだと分かるくらいらしい。それは上記二種は長くなった円柱形の二本がだらりとぶら下がるのだが、サカキカズラの果実は長くとも12cmほどと短く、その二本が横に水平状態でぶら下がるようだ。こちらも個体数が特に極めて少ないので関西あたりでは希少種ではなかろうか。

 以上のような三種の特徴を頭に入れて出かけ、あらかじめ見ていた個体4か所の観察とした。しかし、葉裏が不鮮明なものは見当たらず、また葉裏に毛がいっぱいあるものも見当たらなかったので、結果として見られたのはありふれたテイカカズラだけしか出会えなかった。トホホ
 しかし、京都府ではサカキカズラはほとんど無理かもしれないが、ケテイカカズラは京都府RDBの準絶滅危惧種の指定となっていることから、今後の山歩き、特に花期の5~6月の頃には集中してしっかり詳細な観察としたい。

         
 テイカカズラ(キョウチクトウ科) 葉表無毛   左とは別個体の葉裏 無毛、葉脈ハッキリ見える    葉は対生、左右の葉柄は繋がらず別々につく 

 
 続いてまだ咲いているイヌガシ(クスノキ科シロダモ属)をみよう。この花は一週間前に見ていたのだが、もう少し画像により説明としよう。雄花はまだまだ異彩を放って綺麗だったのだが、お目当ての雌花は小さくてほとんどが終わっているような姿となっており、撮ることならずであったのでやむなく↓画像で変えることとした。

         
 葉はシロダモ似だがシロダモは葉先が長くのびる点で区別。右葉裏はロウ質に覆われ灰白色、無毛     イヌガシの雄花は終盤となるもまだまだ美し 
         
イヌガシの葉芽は披針形で先は尖る     イヌガシの黒紫色に熟した果実   果実が落ちた跡の皿のような萼は雌株の証 

 
 続いてリンボク(バラ科サクラ属)の花は相当前に岩湧山で見ているのだが、その後はさっぱり見たことはない。この種はバクチノキ亜属でこの二種だけが常緑のサクラである非常に希少な桜の仲間なのだ。もちろんわたしはバクチノキは植物園以外の自生種は未見である。

 ところが、リンボクもバクチノキとともに常緑高木で10m以上の高木になるために観察は極めてしづらい。今回も10mはあっただろう。丁度今頃なら黒く熟す前の果実が見られることだろう、と期待してズームで探したがダメだった。だが、この種の幼木は東山などでも出会うことは多いのだが、1mくらいでは花つけず味もそっけもないのが残念である。
 その花はウワミズザクラ、いや厳密には花序下部に葉をつけるウワミズザクラではなく、花序下部に葉のつかないイヌザクラの花姿に近く、総状花序の白い葉を多数つけてなかなかの見ごたえがあるのに、フィールドでは見られる機会がほとんどないのが残念である。しかし、今回の場所のリンボクは太さ胸高直径11cmで10m近い高木なために、必ず花を咲かすことは間違いなかろうから、その時季である9~10月を狙いたいものだ。

         
リンボクと樹名札はありがたい     葉身5~8cm、幅2~3cmの狭長楕円形   樹皮には桜の仲間らしく横に長い皮目あり 

 
 最後に高木の三種をあげてみよう。いずれも15mはゆうにあっただろう・・。いずれも高木すぎて4~5月の頃の開花の様子はほとんど見づらいことだろう。以下の種は道が近年できたため、目にするのは今年が初めてのものばかりであるので、これからの山歩きの楽しみコースとして、ワクワク気分の楽しみとなることだろう。ニコニコ

         
 ヤマモモ、花は来月だろうか、でも高すぎ・・    ヤマザクラだろう、4月初めくらいに咲こうか・・    ケヤキの若木、花は咲いても高すぎ見えないだろう

* 胸高の太さは、左から1の直径が25cm、2が60cm、3が30cmであった。

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