京都北山 独標811を踏む愛宕三山 ’19.3.18  晴

保津峡-西尾根-水尾分かれ-表参道-愛宕山-三角点-独標811尾根-龍ノ小屋-
竜登口-東尾根-竜ケ岳-滝谷-反射板-地蔵山-樒原分岐-神明峠-水尾-保津峡

 
 3月の愛宕三山を歩こうといつもの西尾根から取りついた。ようやく小春日和のお天気となってくれ、東側のツツジ尾根を見ながらのんびり歩きとする頃にはもう汗が滲んでくるのも分かるくらいだった。そして稜線上の最初の小さな急登を上がって行くとハイカーの声がする。「おや、珍しいナ・・」と思ったが、考えれば近年のこのコースで登山者に行き交ったことはない。

 三人のうら若き別嬪さんが座り込んで休んでおられたのだ。「名古屋からで来月始めの例会下見なんですヨ」とのこと。「え~愛宕のこんなマイナーな道取りをどうして選んだの・・?」と聞けば、「マイナー・・?、そうですか、大岩から荒神峠へ回ってツツジ尾根を登り、下山は表参道からツツジ尾根を保津峡へ下山です。18切符利用ですから・・」とのことだった。

 それを聞いたこちらは、「大岩からの米買道は台風被害で現在は水尾へも落合へも通行できない、このまま大岩から北上し、以前は中尾根を直進してツツジ尾根に合流していたが、鹿除け柵ができてからは中尾根は廃道となり、昨今は鹿除け柵の西側である西尾根を水尾分かれまで突き上げ、後は表参道で上がったらどうですか。ただ、大岩から上はニ、三年前からの倒木で難路となっていますが、山の会のメンバーであれば大丈夫でしょう。今回は道案内がてらご一緒しましょう・・」、とにわかパーティーとなった。

 お元気なリーダーらしき方は百名山完歩済のようで、さすがに健脚だがそれは当然だ。しかし、連続する急登や倒木攻めには後の二人のお連れはややついてくるのが辛そうだ。それもそうだ、いくら山の会といっても年が年ならやむを得ないだろう。最初は上の愛宕神社から三角点まで案内しましょうと言ってたのだが、こちらもその内に後行程を考えるようになり、完全にお二人さんのペースとはいかんともしがたい。終いには「これだけ急登で倒木多しのコースなら、今日は案内人の方がいるから歩けるものの本番は迷うかも知れないヨ、コース予定を変えたらどう・・」と二人の中の方から声が出てきだした。

 リーダーさんはへっちゃらだが、やっぱり検討しないとしかたないかとの感じだった、「他にいいコースはないでしょうか、それともツツジ尾根から登って、下山は表参道を降りて清滝から東海自然歩道を落合へ歩き、そして保津峡へはどうでしょうか・・?」とさすがにリーダーさんはよく調べておられるようだった。「そのコースが無難でしょうネ」と話しながら、何とか歩いてもらって水尾参道に突き上げて水尾分かれの東屋(11:40~)で休憩していただいた。

 ここで「ここからはハイカーは多いので三角点は聞いてネ、後はお気をつけて・・」と、短く言葉を交わしてこちらは先行することにした。石段下小屋で丁度12時だったから昼(12:00~20)としよう。小屋入口の温度計は3℃だが、小屋内は日があたらず、これなら外の方が暖かいだろうと石段の端へ座り込んでの昼食は初めてのことだった。これは、小屋内で食べていたらもし3名の方達が追いついて来られたら気が付かないかもしれない。それならすぐに分かるようにとの考えだったが、どうやらその姿は残念だったが見えなかった。

 さぁ、これで3名の方のことは忘れて自らの歩きを楽しもう!、せっせとジープ道を進んで比叡山から比良山系を眺めながら、いつものとおり地蔵辻から右折し、ショートカット道で三角点(12:35)だった。もちろん、比叡山は雪も消え黒っぽいが、武奈ケ岳に蓬莱山あたりはさすがに白さは残っていた。それに権現山下の小さなとんがりである霊仙山の右上には伊吹山の白さも十分に、いや、肉眼ではかすかに見えるも写真では辛かった。このあたりの展望にはみなさん気がついていないのだろうか、ネット上にもそのような描写はほとんど見かけない・・

 
 ジープ道から比叡に比良山系の眺め
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愛宕三角点から武奈、蓬莱ズーム 

 それではこれからが完全な一人旅だ。三角点の尾根のもう一本東である独標811尾根(勝手に命名、笑)に乗るのだ。まず最初にこれから登ることになる竜ヶ岳を左に見て、「右側に続く尾根、あれが独標811尾根だと指さしでよし!」(12:45)だった。笑、そして今回は811の次の北側の小ピークであるCa800から東より北へ伸びる尾根歩きとしよう。独標811尾根は北の端まで何度か上り下りも歩いているが、今回ルートは以前に真東を降り、首無地蔵へ抜けたことはあるが、北の龍ノ小屋そばに降りるのは初めてだった。
 しかし、雨あがりの今日はさすがに斜面が滑りやすく足元が大変だったが、進む方向そのもは枯れ野が原のために、見通しよく難なく歩けるのがありがたい。でも、さすがに植物観察までのゆとりはなかったが、この尾根は植林ではなく自然林のためにいろいろな樹種が楽しめるハズだ。今の時期であれば枯れ木ばかりでそれ自体が向いていないので、時期を変えて今後に期待したいものである。

         
 右急斜面が竜ヶ岳東尾根、右が独標811尾根   南北の尾根には独標811の標示    Ca800に横書で花園、縦書◯◯の石が埋まる 

 Ca800(13:10)からの歩きは15分ほどだったから処女道歩きとしての感動は1mmたりとも得られなかったのが惜しまれた。最後は小さな沢筋を渡渉して向かいの林道に上がって左にブルーの波板壁の龍ノ小屋が目に入った。この小屋も最近はいつ通っても人影は皆無であり近年は淋しい。以前は元気な小屋の管理人に出会え、いろいろな話しや情報を聞かせてくれ、いかにもハイカー気分を盛り上げてくれた想い出があったのだが、今はそんな人のいい管理人の姿が見られないのが残念だ。涙

 
人影のない 龍ノ小屋は淋しい

 そして小屋よりすぐで三つの支流が合流する地点が取りつきの竜登口である。この左上流の谷も芦見谷のハイキング道があったのだが、今回の台風の爪跡は大きく、今後はひょっとして廃道となってしまうのだろうか。これまでから愛宕三角点よりこの谷筋を何度も降ってまた東尾根の急登をやっつけ竜ヶ岳から滝谷の降り登りで地蔵山へ、そして三頭山、朝日峯に峰山の清滝を起点の裏愛宕六山縦走を度々やった思い出の芦見谷を思いだしながら竜登口(13:30)から登り始めたのだ。

 竜ヶ岳へのこの東尾根も激急登だが、わたしにとってはこの尾根はやはりシャクナゲの見どころ地ではなかろうかと思っている。もちろん、昨今はこの東尾根は登りばかりであり写真はないのが余裕のない証だろう。涙、しかしながら北山や比良にも一級のシャクナゲ地があるために、この東尾根のシャクナゲはほとんど話題になることすらなく、昨今忘れ去られているように思うがどうだろう。今年の10連休の中をなんとかみつけて、下るか登るか、はたまた往復のいずれかの方法でシャクナゲ見物歩きに再訪したいものである。笑
 どうにか竜ヶ岳(14:00)に辿り着いたのだが、腕を覗けばきっちり計ったようにいつもと変わらない半時間でいつもの疲れと違い楽な感じで着いていた。どうやら東尾根上部の最後の岩場すぐ下からいつもは直登してたのだが、今回は北へのトラバースで登ったのが体力への負担度の違いだろうか。

 
 竜ヶ岳921m三角点無

 さぁ、次は鞍部に立つナツツバキの地から右折し竜の広場より少し上がってから激下りの滝谷を目指す歩きが本日一番のアクシデントの発生しやすい歩きが待っているのだ。今日も途中にある「ヤマグルマ」の樹木を見上げながら歩いた。がしかし、のんびり植物観察などしている余裕はない。そんなことすれば滑落間違いないだろうから、慎重に降りざるを得ないのだ。それにしても雨上りの翌日となった今日の天気予報が恨めしい。なぜ、乾いた下りのガレ場に来さしてくれないのかと予報士を恨んでいても始まらない。笑

 
 滝谷への激下り、向かい左反射板地、右地蔵山

 それでも、どうにかいつもどうり半時間ほどで滝谷(14:37)へ降りて来られた。でも、この後の二股までの邪魔する倒木帯の歩きが心配だ。たかだか10分ほどだが、ほとんど岩場がらみの歩きであり、それにその岩たちが渓谷の濡れが大方であるために足元が気にかかるのだ。
 ようやくにして二股だったが目の前の枝を大きく広げた倒木が恨めしい。でも泣き言を言ってられない。次はまた反射板目がけての激登りが半時間ほど続くのだ。ところが最近雪が消えても人の入りもほとんどないのだろう。ロープだけは分かるのだが、ロープエンドのその後の踏み跡がなくなっている。あれだけ踏んでいた道がどうしたのだろう。

     
 滝谷の渓谷へ降りてきた    左から二股へ約10分、倒木多し

 反射板手前の台形状の方角は分かるので適当に上るしかない。そうして反射板地だったが、時計(15:05)はなぜかいつもより10分も早く上がって来てた。どうやら本来のコースのトラバースはせずに直登だったらしい。笑、すぐに地蔵山往復であったが行きでも10分足らず、戻りは8分ほどだから楽だ。そして三叉路(15:35まで地蔵山から20分だった。

         
 反射板地から地蔵山の眺め    地蔵山947.6m1等三角点    帰りの三叉路から右へジープ道に

 三叉路、ここは左へ行けば愛宕三角点へ戻って表参道、、水尾分かれへ、西南脇道、大杉谷道、月の輪寺道などいろいろな下山ルートが多くあるのだが、今回わたしは神明峠へ下山し保津峡駅へ帰るために、右折してジープ道に出、そこで西山、北摂の山並みを眺め、眼下すぐの牛松山を見下ろしてすぐに西南への樒原分かれ(15:45)を左折して神明峠(16:18)へ下山した。
 そして舗装路沿いにある水場だが、21号台風被害で従来はとうとうと年中湧き出ていたのだが、地質水路が変わってしまったのだろうか。今はほそぼそとした水場に変わってしまているのが残念だ。峠から保津峡駅(17:10~28)まで50分のテクテク舗装路歩きが相変わらず辛かった。

         
 ジープ道から直下に牛松山   下山地から5~6分で神明峠    水場の流れは台風で細くなってしまった 

 名古屋の皆さん、無事にお帰りでしたでしょうか。本番は愛宕山をどうぞお楽しみ下さいませ。わたしは結局、保津峡駅(9:25)を遅めのスタートがたたって、下山は少々スピードアップしたのですが17時を過ぎてしまいました。なお、総距離18.8kmを約8時間もかかりました。フゥ、汗

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