京都北山 朝日峯から愛宕山 ’19.4.18 晴のち曇

 山城高雄-谷山6号橋-朝日峯-雲心寺水場-ダルマ峠展望地-P811尾根-愛宕三角点-表参道-ツツジ尾根-保津峡

 

 高雄一帯の昨秋の台風21号被害も大変だったようだが、谷山川沿いの倒木等は既に手が入れられていた。しかし、車道の決壊部分の一部が工事中となって車両は通行止めとなって大型重機が入って歩行者も通過しづらい状態である。

 それでも、山城高雄でバスを降り、最初に向かいの斜面にコバノミツバツツジの満開を見てこの景色が素晴らしい。そして神護寺への坂道を下ってから、西明寺手前の清滝川にかかる灌頂橋から谷山林道を詰めて50分で6号橋が登山口だ。

     
向かい側斜面のコバノミツバツツジ見事     登山口の谷山6号橋あたりの様子

 さぁ、倒木処理が心配はこの後から続くことだろう・・。だが、山道の倒木はどうにか歩けるように植林の倒木は最低限の処理がなされており、歩く分についてはほとんど問題はなくなっていた。これなら大丈夫だとゆったりの歩きが始まった。30分ほど登れば自然林が出てきて、大木となりかけているウリハダカエデの林立地到着で、「ヤァ~、また来たヨ・・」と木肌を撫でながらいつものように再会を喜ぶ。

 
 林立するウリハダカエデ

 この後も足にやさしい山の散歩道が続き、クロモジが超満開となっており、タムシバも日当たりよく散り初めとなっている。このような景色がずっと続いてほしいが期待するほどは続かないのが残念だ。↓中央画像は左葉が出てないのはウリカエデ、新葉がきれいに見えるのは満開のクロモジであり、すぐ後ろには白い花のタムシバも満開となっていた。

         
 クロモジを見上げて撮ろう   クロモじと奥にタムシバのコラボだ    タムシバの花には葉はつかない、褐色は芽鱗 

 やがて松尾峠が近くなってきたなと思えば、そこには「松尾峠地蔵菩薩」が祀られているので、本日一日のハイクの無事をお祈りしよう。すぐで東西に走る林道を右折し朝日峯へ登ってこよう。

 
松尾峠地蔵菩薩 

 松尾峠からすぐで左側に朝日峯登山口のケルンが目印である。短い道へは、近年ではあたりに緑一切なく、山肌は丸坊主となっているため目ぼしいものもなく、登りでも10分もかからずに山頂である。11時にもなっていないから写真を撮れば3分で辞することとなり、5分で引き返してきた。

         
朝日峯は688.3mと表示あり    東側のパノラマは都富士の比叡山だ     3等三角点 石は15×15cmの大きさ

 さて、この後は林道歩きのはじまりであるが、この間が結構アップダウンがあって汗もかくことになる。それは無味乾燥の峠歩きでもあった。朝日峯より松尾峠に引き返してからは、それは無感動の林道歩きであるのだが、それでも薄暗い榧ノ木峠からウジウジ峠までくれば雲心寺領地だった水場も近くなってくる。すると朝日峯下山地からほぼ40分で、前年の台風被害もなく、今日もこんこんと湧き出る湧水が有難い。この木陰地でお昼(11:35~12:05)としよう。

 
 ダルマ峠手前の湧水地の元気よい水場

 しっかり満腹となって、ふと横の谷下へ目をやれば新緑がまぶしい。「アッあの木はなんだ・・?」と声が出てしまった。シデの仲間かな?と腰を上げて近寄れば、どうやらクマシデの花が満開のようであった。

         
 群立ちする若木のクマシデ   カバノキ科クマシデ属のクマシデは雌雄同株    雄花が目立つが雌花も枝先についている 

 クマシデの特徴は花、果実や葉にもそれぞれ特徴があって、互生の葉脈がきれいな葉であることから、葉があれば一目瞭然である。それでも雄花の姿や多さの感じからクマシデだろうと判断はできた。

 とはいえ、樹木は数千種に及ぶことから、似通った葉もあることはあるのだ。仲間の内にサワシバがあるが、この葉も酷似するのだが、普通個体数が圧倒的にクマシデが多い。しかし、鈴鹿あたりではサワシバはよく見られるのでやっぱりその両方の特徴をつかんでおきたい。わたしはその違いをサワシバはクマシデより測脈が少なく、葉身基部が深いハート型になっていることで見分けることにしている。
 さらに、どちらの山の渓谷歩き時にはカエデの仲間のチドリノキがよく目にはいる。それもクマシデの葉とそっくりなのだが、チドリノキの葉は対生のために、こちらはすぐ容易に判断が可能であろう。

 クマシデの花を久しぶりに見て気を良くし腰をあげよう。すぐに比叡山がまたまたよく見えるところは見惚れて撮り忘れるほどであった。すぐにダルマ峠近くの展望台地に寄り道し、今度は愛宕山や三角点方面の展望も楽しもう。

 
ダルマ峠近くの展望台より愛宕山と三角点ピーク 

 この展望台から直に首なし地蔵へ降りれば梨の木林道より清滝へ下山できるのだが、梨の木林道上部が度重なる台風被害で大倒木あり、そのまま復旧なされなくて歩けないのが残念である。以前には梨の木林道を詰めて首なし地蔵へ上がり、愛宕山へ冬道を登るのが、京のハイカーの健脚者なら誰でもが楽しんだものだが、昨今はこの歩きが無理であることが古くからの愛宕ファンには悲しいこととなってしまった。

 今回は当初よりここから下山は入っていない。この展望台から龍ノ小屋方面に向かい竜登口ではなく、小屋手前の尾根末端を登り上げよう。そして南へ緩やかに登って今度は西に振って独標811尾根へ乗り換えるのだ。要は愛宕三角点を目指すわけである。もっとも、この時季の尾根歩きでは見どころはまったく皆無であるために、ただ歩くだけのつまらない時間帯だ。実はこれも東の谷筋の芦見谷がやっぱり、昨秋の台風被害で歩けなくなってしまったことからの代替コースとしているのであるが、緑も皆無の尾根歩きよりもやぱり芦見谷の谷筋道に復旧がいつになるのか気にかかる。

         
南から東の花園◯◯の石埋まるピークへ振る   その後は独標811尾根を南進し三角点地へ    歩いた右の尾根を振り返る、左は竜ヶ岳 

 こうしてここまでほとんど尾根や林道歩きだったが、今回の尾根取りつきから愛宕三角点地まで1時間もかかって辿り着いた。そこには昔の山の会のYさんと女性3名さんが先着しており、狭い三角点上で巡り合えた。ここまでは誰一人出会わなかったのだが、しばし、会の当時の方達の名前が聞かれ、山の話も聞くことができた。三角点からはあまりに暖かすぎて眺望はいまいちであった。

 
 三角点地より比叡から蓬莱山方面

 こちらの下山はこの時季だからツツジ尾根をツツジを見ながら降りることにしよう。ツツジは後半だから最初のきつい下り道を気をつけながら歩こう。それにやっぱり気になっていた、愛宕のダンコウバイの開花に超久しぶりになんとか間に合ったようだ。

     
ダンコウバイ(クスノキ科クロモジ属)ダンコウバイはやや終盤だったが久しぶりの出会いで嬉しい~ 

 この木は早春の山歩きの中では仲間であるアブラチャンとともに見られる木の花である。ところが先日の比叡山でもそうだったのだが、写真を撮っているとハイカーから「何の木か・・?」と何名にも質問される。ほんとうにハイカーにも知られていないのだなと気もブルーになりそうだった。ハイカーであればこの二種の花にはどちらの山でも出会っているはずなのに、ただ歩くだけの山歩きで自然に目が向ない証拠だろうと思えてしまう。

 ところで、アブラチャンとダンコウバイの酷似する花時の見分け方だが、花柄があるのがアブラチャンで、花柄のないのが今回見たダンコウバイである。もっとも植物に無関心の方にはこう言ってもほとんど見分けることは容易ではないだろう。しかし、もうしばらく経てば葉が出てくるようになり、その葉の違いは初心者でも区分できる。ダンコウバイの一枚の葉は三つに分かれるが、アブラチャンの葉はまったく分裂なく一枚葉の単葉であることだ。こちらの方が樹種の見分けがはるかに簡単である。

 さぁ、わたしのお待ちかねのツツジ尾根下部のコバノミツバツツジの見物としよう。実はこのように当地での満開時に歩いたのは今回が初めてであったのだ。聞きしに勝るツツジ尾根だといいたいが、でも、この程度の尾根はびっくりするほどではなかったとの思いだった。

 もっとも多く咲くツツジの中に一か所くらいはユキグニミツバツツジが紛れ込んではいないだろうかと探してみたが、手にとったツツジはいずれもコバノミツバツツジばかりであったのが残念だった。なお、この二つの違いは葉柄が無毛で葉の幅が中央部より下あたりが一番広いのがユキグニミツバツツジであり、こちらのコバノミツバツツジは葉柄が有毛であり、葉の幅が中央部より下あたりが一番広いのがコバノミツバツツジである。ただしコバノと名があるくらいだから葉身や幅を含めてやや葉が小さいのがコバノミツバツツジである。

 それでも、まさか葉柄が有毛であってもダイセンミツバツツジではなかろう。それはコバノミツバツツジとの違いは葉の中央部の幅が最も広いのがダイセンミツバツツジなのだが、こちらの山域ではコバノミツバツツジやユキグニミツバツツジを見ることがあっても、ダイセンミツバツツジの分布域ではなさそうだ。なお、単なるミツバツツジは雄しべが5本であり、当地のコバノミツバツツジ等は10本が大きな相違点である。

         
ツツジ尾根へ早春いち早く咲くツツジはコバノミツバツツジが多数で、ひよっとしてユキグニ・・があるかも知れないがダイセン・・は分布域ではなさそう。   

 さて、最後となったが、本日の山歩きの中で見られた山野草も上げてみよう。

       
 ボタンネコノメソウ 満開  ニシノオオタネツケバナ 満開  クワガタソウ 咲き初め ミヤマカタバミ 満開 
     
 シロバナネコノメソウ 終盤  ミヤマハコベ 満開  フタバアオイ 蕾

本日のトラック 

 
山城高雄S、朝日峯から愛宕、保津峡駅G 沿面距離17.5km約7H 

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