比良の奥の深谷花巡り ’19.4.23 花曇り

 比良駅-イン谷口-金糞峠-奥の深谷-毘沙門岩-大橋-南比良峠-荒川峠-志賀駅

 夏日の温度となって、GWも雨混じりのような時候となりそうだ。それにしても今年の3~4月は天候不順となって花の開花は遅れがちだが、やっぱりイワウチワの開花も遅く、昨年は行きそびれたことから、今年こそイワウチワの大群生の満開に乗り遅れないでおこうとの本日だった。ところが余りの日ごろの精進の悪さからだろうが、今度は出かけるのが早すぎることとなってしまった。奥の深谷沿いの谷は木陰の地形のために日当たりはよくないことからほとんど蕾すらまだまだ少なかったのだ。

 でも取あえず数えるほどの開花状況に出会えたことから、まぁよしとしよう・・・。もちろん、例年イワウチワに続いて開花するイワカガミのことだから当然皆無状態だったが、これこそ了解済みであった。負け惜しみ・・笑

     
日当たり良しのところで何とか咲いてたイワウチワ(イワウメ科イワウチワ属) 

 しかしながら、比良山塊の一級の深い渓谷の景色の大橋では絶品の光景が嬉しい。澄んだ小気味よい流れの水音とともに岩の姿も自然にマッチして素晴らしい空間である。もちろん、ここまでにあの10cmほどの小さなミソサザイなのにあれだけ澄んだ鳴き声のさえずりがどうして出るのだろうか・・と思いながらその姿は探せど動きが早すぎて目に留まらない。
 ツルルル・・スピスピスピ・・チィチィピチュピチュというような、よく響く声を聞きながら歩ける沢沿いの路は、この世のものとはいえないほど心地よい。このような静寂と澄んだ空気のなかに、ミソサザイとともに身をおける我が身が喜びとなって、健康に育んでくれた亡き両親に感謝しながら瞑想に耽るのであった。さて、このような自然の息吹に触れられるのはいつまで続くのだろうか・・。

 
 奥の深谷一番の渓谷地大橋

 今日は草木の見事さにやや満足度は高くはなかったが、その分自然の営みの面においての感触がよかったと感じたい。とりわけ二本の滝の元気な水音においても、同じように頑張って日々をつつがなく暮らすよすがときっとできることだろうと思えるのだった。

     
 カクレ滝    金糞滝

 本日歩いた道中の記憶に残る地点等、しかし、倒壊した水晶小屋から10分ほど先のブナやミズナラの並ぶ森の新緑地にも期待していたのだが、昨年よりほんの5日早かっただけで全くの枯木立だったのが、お目当てだっただけに尚更ガッカリであった。

         
19.3.27に正面谷大岩すぐ下土砂崩    金糞峠     奥の深谷 毘沙門岩を振り返る
         
大橋では擂鉢山の湧水地あり    大橋一帯の荒れた小屋は使えない    奥の深谷の丸太橋は健在 
         
水晶小屋は昨年に崩壊のまま    縦走路上の南比良峠     さらに南へ荒川峠

 歩きながらの自然植物観察はいつものとおりの方法で花はもちろん、葉の姿や果実のようす等を五感で楽しむのであるが、これが我が山歩きの中心である。

         
 マルバアオダモ バットの木とも  花のUP、もじゃもじゃに見える   キンキマメザクラがまだ満開だ~  ことしようやく満開の花を見られた 
         
 今日もコバノミツバツツジばかり  クマシデの花はほぼ終わり    アカシデ花は終わっても葉が綺麗  背が低いイヌブナの葉表を観察
         
 イヌブナの葉裏は長毛密が特徴 あたりはシロモジの廊下が続き     その花UP、まだまだきれい 標高下げるとその葉姿は独特 

 山野草が思わぬほど出会い少々で寂しかったが、この原因は出かける日の遅い早いによって、これだけ違うのも大きな自然のことだからやむを得ないのだろう・・と思わざるをえなかった。(涙)

         
 イワカガミはこれから咲きだす    ミヤマカタバミは満開    イカリソウは咲き初めでこれから
         
 もう終わり近いバイカオウレン   ありふれるコチャルメルソウの葉     モミジチャルメルソウは少ない
       
 チャルメルソウ花弁は3~5裂する    スミレサイシンの葉は巻いて出る    白花らしきシハイスミレ

 さて、最後になったが、野の花観察も山歩きの最中にあっては、やはり限りある時間の中のためだが、少しばかり楽しめた。

         
 5mmほどと小さなタニギキョウ  ムラサキサギゴケ *1  マツバウンラン *2 ノミノフスマ *3   ウラシマソウ釣り糸これから伸び

 *1 山へ取りつくまでの田の畦道には野の花がいろいろと乱舞するように群れ咲いていたのだが、中でもこのムラサキサギゴケが一番手だった。この花に酷似するトキワハゼとの区分は見分けにくいだろう。見分けの一番簡単なのはランナー(走出枝)があるのが前者で、トキワハゼにはそれがない。もちろん他にもいろいろな種があったり、各種の同定ポイント上での区別点はある。そのありすぎてそれが「区別がよく分からい・・」との声になり、初級者にはつらいだろう・・(笑)

: *2 マツバウンランも多数林立して風になびいていた。この花に酷似する種はやっぱりツタバウンランだろうか。でもこの二つは葉の姿だけの比較で分かりやすいだろう。前者は葉が松の葉に似ることからで細長いのだ。後者はつる性の草花のツタの葉に似ることからの名で、葉は楕円形状だからまったく違うので二つは覚えやすいだろう。

 *3 ノミノフスマは同類花が多いためにやや見分けにくい花のようだ。ナデシコ科の種には多数同じような花を咲かせる種があってややこしい。山の花好き者でも「野の花まで手が回らい、草花はもうエエわ・・」といって逃げてしまうのが実態ではなかろうか。ナデシコ科、アブラナ科にセリ科など大きな科の花々は敬遠されがちなのだ。ところで肝心のノミノフスマだが、比良山系では野から山麓を通り越してそれなりの標高にまで進出しているようだ。本日もカクレ滝を過ぎてもあったようだ。

 

閑話休題

 このページを編集後に外で聞きなれない野鳥の鳴き声が聞こえた。すぐに窓を開けると自宅前の電柱のてっぺんへ大きめな鳥が留まっていたから、急いで写真を撮ったのがこの画像↓だった。画像をクリックで拡大


キジバト

 調べてみるとそれはどうやら『キジバト』のようだった。その面白い鳴き声は♂のデデッポーポーと聞こえたようだ。のどかな山村を思わせる声の山鳩らしい。そして山奥から都会に進出してきたのは1960年代ころからだといわれる。2~3枚撮っているとまもなく飛びったってしまったが、すぐに空を旋回している二羽が目に入った。それは♀を追っかけていたようだ。なお、この鳥の大きさは33cmとある。

 どうやら、このキジバトという野鳥は面白い習性があるらしい。オスは150m四方ほどの狭いなわばりを守り、そのオスは情けなくしつこいくらいの求愛を繰り返す癖があるらしい。メスがそっぽを向いてもあきらめずに回り込み、言い寄るらしく、さらに飛んで逃げられてもすぐに追いかけるのを繰り返すようだ。
 どうやらさっきの行動はこの筋書きどうりだったのだろう。結果としてめでたしで合体のあかつきには繁殖となる。それは3月から11月にかけての長い期間に6~8回も繁殖する(つわもの)がいるようだ。要するにあの方面の実にマメないわゆる好き者(鳥)らしい・・笑

 昨今では山だけでなく、都会の庭木にまでやってきて暮らし、雑な巣をかける身近な野鳥として知られているようだ。    ホームヘ







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