比良 伊藤新道から打見山 ’19.5.3 曇のち晴

 坊村-明王林道-伊藤新道-白滝山-オトワ池-ニシヤ谷-夫婦滝-汁谷-打見山-クロトノハゲ-キタダカ道-志賀駅

 令和元年の最初の「花歩きと山歩き」を楽しもうと坊村へ向かいました。ところが温暖化現象のため雪不足による伊藤新道の野草は極めて寂しい限りでした。それもこれも致し方ありません。わたしは4年ぶりの伊藤新道でしたが、コース上では昨年の21号台風の被害がなかったのがせめてもの償いでした。しかし、連続する急登コースのために、体力が落ちている状態がよくわかり、一途に歩くのに一生懸命となってしまい、これでは花が多ければとても時間が足りなくなってしまうなぁ・・と思うほどの有り様でした。汗

 今回は四か所の滝見物となってしまいました。最初は立派なアスナロの木の立つところを下へ降りて三の滝への見物がスタートです。ここの滝は周りの樹木が多く、やや離れているために遠望も苦しいのですが、轟々と爆音が聞こえるほどの元気さある名瀑でしょう。

 そして伊藤新道出合までの明王林道歩きも以前の台風で大土砂崩れがあったのですが、府道のために片づけはとっくに整備なされています。もちろん、ここまでにも野草たちは例年より少なめだったとはいえ、ネコノメソウ属やいろいろな花が咲いていました。今回、この道でわたしは多分初めて見られたと思うのがハクサンハタザオだったでしょうか。とはいえ一株だけでしたが・・。

 
 明王林道の三の滝

 今日は坊村を9時前に歩き始めて、急登の伊藤新道前半のワサビ大滝まで2時間もかかってしまいました。花歩きだったとはいえかかりすぎでしょう。でも、元気よく落ちるワサビ大滝の轟々と落ちる音の豪快さには何度やって来ても元気がもらえ、すぐに疲れが飛んでいってくれます。この素晴らしい自然度充分な地が大好きでやってくるのでしょう・・。

     
滝にはモミジチャルメルソウがびっしりと  ワサビ大滝   滝横にはトチノキの大木が立ち

 でも、滝つぼあたりには以前クルマムグラが見られたのですが、今回はモミジチャルメルソウにコチャルメルソウくらいしか目にしませんでした。少しの日にちのずれの差ならいいのですが・・

 一本が済めばすぐ上にはテツカエデの小さな杜が待ってくれていました。このカエデの種を知ってから大分大きく成長してくれています。カエデの仲間にウリハダカエデはハイカーならどなたでもご存じでしょうが、このテツカエデは比較的個体数が少なめですから、以外に珍しいようです。葉もウリハダカエデの葉にそっくりですが、しっかり凝視すればいろいろな違いがあります。葉柄に溝がなく、葉の表面には細かい葉脈がすぐ目に入ります。ぜひ、山歩きで見つけてみてください。しかし、この花を見ることはほとんどないのが実態ですが、テツカエデの花には相当な山歩きをしないと出会えないこと必定でしょう。

     
葉は細かい葉脈までよく見え、葉柄溝なし   テツカエデの杜となって~ 葉裏を下から見上げて撮ってみる 

 そして次は三箇所目の滝がまたすぐ落ちています。その名はワサビ天井滝であります。何段かに分かれており相当上の方から落ちているようで、滝の水はやや細めのようです。

 
 ワサビ天井滝

 この滝つぼを踏んですぐに倒木が道を少し塞いでいます。その先へは踏み跡が消えかかっていますが、気を静めてあたりを見渡せば方向が分かることでしょう。これで後は白滝山ピークまでしっかりした九十九折れの足にやさしいハイキング道となってくれます。
 途中にはこの新道で唯一のイワウチワの咲く場所もありますが、日当たりよしの場所のためでしょうか、さすがに今回はすべて咲き終わってしまっていました。結局最後までイワウチワの開花には間に合わなかったようです。今年ほど雪の少ない年ならばやむを得ないシーズンと諦めましょう。

 結局、坊村から白滝山には2時間20分ほどで登ってきたようです。こちらの頂は1022mで今日の1000m越えですから、900以上のあたりにはまったくの枯れ野が原で木々の緑はありません。奥深い白滝山にはいつ来ても人の姿はないに等しい寂しい山頂です。すぐに辞してオトワ池へ降りましょう。そしてポツンと池の畔に咲き初めのムシカリを眺めなら大休止といっても半時間ほどでした。

 
 オトワ池でぼんやりお昼としましょう

 お昼が終わればニシヤ谷を降りますが、この谷こそ無雪期は何年前に歩いたのかも思いだせません。調べてみると6年前でした。その時には白花のナガバノスミレサイシンに出会っていたようです。もちろん今回も楽しみにしていたのですが、予想通り影も形もありません。咲いていたのはミヤマカタバミばかりでした。残念

 ここまでも途中はやや荒れ気味となっていますが、ハシリドコロが多数群生し、コバイケソウは葉が元気に散らばっていました。そして30分足らずの花歩きでしたが、休憩小屋立つ地へ降りると今度は「夫婦の滝」へ見物しにまた降ります。倒木でやや荒れてはいますがすぐでした。滝の周りの樹々の成長が著しく次第に見通しが悪くなってきていました。

 
 以前は夫婦滝まで観光客もよく来てたが

 ちょっと昔までは、ゴンドラで上がってきた観光客がこの滝までよく整備されていたために、大勢やってきていたのに出会いましたが、近年の汁谷は大幅に荒れてきてしまい、この滝を見物にやってくる観光客はおろか、ハイカーすら少なくなっておりますので、いつやってきてもとても寂しくなった場所といえるでしょうか。

 さぁ、これより汁谷を遡上しましょう。牛コバへの分岐地点の小屋から東向きの上流へ進めば、すぐ右岸への渡渉地に着きます。すると背の高い40代前後のテント泊装備で二人の外人が上流からやってきて渡渉しているようです。その二人目が急流の岩伝い渡渉にあたふたしているところでしたが、どうにかかろうじてドボンもなく渡渉ができたようで、気の毒なくらい泣きそうな顔でようやく渡り切ったのでした。「よく頑張って渡りましたね」と声をかけたのですが、言葉がよく通じないようで、こちらの言わんとした言葉が通じていないようで残念でした。

 終えるとすぐに下流に向かった外人さんは、次の番のこちらの渡渉具合を見届けるまでもなく、下流に向かって行くのでした。こちらはその姿を見送りながら「どうやらそんな他人の渡渉方法を見ようとの余裕すらないのだな、多分山の初級者だろう・・」と思ってしまいましたが、調べた6年前にも同じように他の5人パーティーとやりとりの記録がありました。今回はさらにあの時よりきつい渡渉状況となっており、こちらもやや緊張しましたが幸いシングルスットック持参のために難なく渡渉完了ができました。難なくと言ってもやっぱり少々緊張していたのでしょう。その渡渉地あたりの写真すら撮っていなかったのですから・・。汗

 この後の路ももちろんやっぱり荒れが続いていました。そんな中でしたが、咲き終わったバイカオウレンやヤマエンゴサクにニリンソウなどわずかな野草類も寂しいかぎりでした。そしてまた岩場もへつりながら進みましょう。このあたりには木橋がかかっていたようですが、壊れた橋の残害がそばに放置されていました。

 
このような岩場をヘツリながら上流へ 

 さらに上流に行けばやや下に橋が外れて片方だけが縛られた状態が見下ろせました。さぁ、ここをどう渡渉したらいいのだろうか、やっぱり靴を脱がなくてはいけないのだろうか・・?、と思案します。「靴を脱ぐのは面倒だ、やっぱり石伝いに渡渉を強行しよう」と決めました。
 今度もやっぱりストックのお蔭で完ぺきに大成功となりました。今度は二度目でしたから落ち着いて写真も撮る余裕があったようです。写真は降りる手前上から渡る前に見下ろして撮ったものですが、この時点ではどの箇所を渡渉するのか決めていないで撮りました。そして降りてどこを渡るか右往左往し、渡ったのは写っているこの左3mほど上流でした。渡る箇所を写すべきなのに、その余裕はやっぱりなかったようで、緊張してなかったというのはやっぱりウソでした・・。笑

 
 写ってない左へ3mほどの箇所をやっと渡渉成功

 さらに最後の橋が待っているのは分かっていましたが、あそこは鉄の橋だったので大丈夫だろうと安心しながら花を探しのんびりと歩きます。でも汁谷最後の地ですら肝心の花、ツツジやシャクナゲすら全く姿もありませんでした。やはりこれだけ乾燥化が激しければ仕方ありません。それに昨今はスキー場も花鑑賞目当ての観光客への環境整備も手抜きのようです。自然の花達も、もちろん1000m越えの斜面のこの時季ですから花を咲かすような植物たちは無いに等しいようです。これなら我が方もただ歩くだけでしたが、最後の水道設備地でもある鉄の橋だけは頑丈なものでした。

 そしてやっとスキー場下のリフト乗場へ上がってきました。さぁ、これで後は最後の打見山までのスキー場スロープの急坂斜面を少し登り上げるだけとなりました。そして30分もかかってスロープを登れば、一気に目の前にはゴンドラへ乗って下山する観光客の大行列が続いているのでした。ギャフーン

   
 13時半ころの左へのゴンドラ行列 列の右側から蓬莱を眺めて天命水へ 

 山頂のトイレを済ませると、この後は寺屋敷そばの天命水からクロノノハゲへ下りましょう。途中にはシロモジがいっぱい咲いておりましたが、イワカガミはようやく蕾ができかかったくらいの状態でイワウチワはまったく終了となっていました。でも、このクロトノハゲあたりまで降りてくれば、ちょっとしたお花畑となっているハズと期待しながら降りたのですが、ホンシャクナゲだけがやっと咲いているだけでした。

     
 シロモジが沢山咲き 天命水   ツルシキミの雌花咲き

 
 クロトノハゲまで降りてきてようやく満開のホンシャクナゲに出会えました。これより下部にはそこそこ開花のホンシャクナゲロードとなってくれました。笑顔

     
  ホンシャクナゲが多数咲き~   

 シャクナゲ鑑賞を済ませると、倒木群もほとんど支障のないように整備されて、天狗杉で一本立てた後には、キタダカ道をただひたすらに下るだけとなりました。そして脇山橋を渡れば、左へ左へととってJR志賀駅を目指して近道しながらひたすら歩きで、本日14kmを7時間ほどもかけた花歩きと山歩きのゆっくりのんびり歩きでした。

 なお、本日見かけた山野草類は次のような種だったでしょうか・・

       
 キシダマムシグサ コウライテンナンショウ  ムロウテンナンショウ  ハクサンハタザオ 
       
 キンシベボタンネコノメソウ ボタンネコノメソウ  ネコノメソウ   ニリンソウ
       
 シハイスミレ  フモトスミレ  ハシリドコロ ミヤマカタバミ 
       
 マルバコンロンソウ  白滝山山頂  オトワ池  クロトノハゲ地蔵さん
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