クロミノニシゴリとキツネアザミ ’19.5.29 晴のち曇

 前日から今朝がたまで雨降りだったのですが、無理やりにやってきました。森はしっぽり草木もしずくをつけたままで出迎えてくれました。本日の一番の超満開はクロミノニシゴリ(ハイノキ科)だったのです。昨年は涸れてしまったのでは・・と心配するほどの裏年だったのですが、今年は5~6mほどもある背の高い樹木が6~7本も並んで一杯の白花を鈴なりに咲かせていました。あたかもこれだけの花と雨のしずくの重さで、枝が折れるのではないだろうかと心配するほどでした。

     
クロミノニシゴリ(ハイノキ科ハイノキ属) サワフタギやタンナサワフタギと同じような花を咲かす 
     
 葉表 雨上りのしずくが重そう   この種のみ葉の両面無毛が区別点 

 関西人のハイカーには梅雨時の頃に白花を咲かすという、タンナサワフタギにサワフタギがよく知られていますが、その仲間で東海地方を中心に分布するといわれるクロミノニシゴリが関西圏でも希少種となって存在します。花そのものはサワフタギ等と見た目ほとんど変わらないのですが、葉で見分けることになるでしょう。
 こちらは葉の両面が無毛であり、その幅が他の種より細くてやや長く、また秋の紅葉色も暗紫褐色に紅葉するなど独特な姿で晩秋を迎えることになります。名前の謂れはサワフタギの別名がニシゴリといい、サワフタギに似ていて果実が瑠璃色ではなく、黒く熟すので黒実の錦織木というとのことです。


 他に木本類で目立った樹種を取り上げてみましょう。カナメモチに イタチハギも満開の花時でした。こちらの山域ではサワフタギがわずかに見られましたが、やっぱりクロミノニシゴリが主役でしょうか。ガンピ、アマズルにゴンズイが咲き初めでした。今春の主役だったマルバアオダモはすっかり暗紫色の果実となり、小さなサルマメの実も色づいてきました。

         
 カナメモチ(バラ科)    イタチハギ(マメ科)   サルマメ(サルトリイバラ科)
         
 ガンピ(ジンチョウゲ科)   シャリンバイ(バラ科)    アマズル(ブドウ科) 
         
 サワフタギ(ハイノキ科)    ゴンズイ(ミツバウツギ科)    マルバアオダモ(モクセイ科)


 さて、草本類はどうでしょうか。本日の本来のお目当てはこの時季であれば、中心はやっぱりラン科の類が気にかかるところでしょう。梅雨の頃のこちらで見られるのはヤマトキソウにトキソウ等でしょうか。ヤマトキソウはツボミも立ち上がっており、時期的にもばっちりでしょうか。続くトキソウはヤマトキソウよりやや開花が遅めのために、今回は個体数がまだまだでしたが、10日も経てばそこそこ咲いてくるでしょうか・・。もちろん、開花に時間のややかかるササユリは二週間もすれば満開となることでしょう。

 最初はソクシンランです。ソクシンラは比較的長く咲くようです。こちらソクシンランといわれるもラン科ではなく、キンコウカ科(旧ユリ科)であります。この花は日当たりのよい草地や砂地に生えるのですが、花は20cmほどの長さの穂状花序で、下から順に咲き上って、今日は中間あたりの小さな花が咲いていました。また、花被や茎は毛深く、背高は50~60cmとあるのですが、花の長さ5〜6mmと小さすぎて地味な花でしょう。

         
 ソクシンラン(キンコウカ科ソクシンラン属)    穂状花序の上部はこれから最後に咲く    叢生する葉の中心から花茎をだすことによる

 続いて、アザミによく似ていますが、よく見ればかなり違うことからキツネアザミと名がついたようです。このキツネアザミはアザミの多年草ではなく、2年草のために比較的出会うことがそう多くはない種ではないでしょうか。

         
キツネアザミ(キク科キツネアザミ属)     総苞片に突起があるのが特徴   花はアザミに似るも棘はない 

5/10大群生のハルリンドウ ホームヘ 6/9トキソウ満開








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