京都北山 愛宕山に咲く花 ’19.7.10 曇

 久しぶりの愛宕山でした。下界は梅雨空で一日中曇リ空の暑い日だったようですが、924mの神社の山頂では17℃とひんやりとしていました。本日はラン科のオオバノトンボソウが咲いているだろうとのお目当てでしたが、心配していたとおり、花はおろか葉姿さえ一株も目に入りませんでした。とうとう、鹿の食害でしょうか、被害甚大でした。というより、今年はこのオオバノトンボソウは他のいろいろな山歩きの中でも見られたのは皆無でしたから、特にこの種は不作種ではなかったのでしょうか・・?

 そのようなことから、他に咲く花はもうこの山ではこの時季なのだから、ほとんどなかろうと諦めかけの境地で歩くこととなりました。すると目の前に小さな黄色いオトギリソウの仲間が、7輪ほど散らばるように咲いているのに気がつきました。「アッ、花だ~!」と、思わず声が出てしまいました。

 見ると、「エ~とこの名はコケオトギリかな、それともヒメオトギリかな・・?」、「イヤいや、待てヨ、その二つは野原や湿地帯近くに生える小型の多年草のはずだ・・?」、と即座に名が出てきません。その場でしばし考えました。花の大きさ、雄しべの姿やそれに黒点や明点の有無等、それに背の高さなどを見ながら考えますと、それこそ条件がごっちゃになってしまい、確たる同定が怪しくなるばかりでした。イヤ、野原や山麓ではなく、ここは標高800mあたりの林道の湿り気のある苔の散らばるそばの法面で咲くこの花はサワオトギリではないのだろうか・・?」、と堂々巡りとなってしまいました。

 「イヤ待てヨ」、とルーペを取り出します。目の前の花につく葉や花弁をル~ペで見いると葉縁に黒点が見えたのでした。「ならば、やっぱりコケオトギリかヒメオトギリではないな、その二つには明点はあっても黒点はないハズだから~」と思いだし、「ならばやっぱりこの三つの中では、サワオトギリに間違いないだろう」、とやっとのことで同定ができたのでした・・?。汗

 
サワオトギリ(オトギリソウ科オトギリソウ属)この個体は茎高20cm

 念のために帰宅後に調べると、考えた三つの種の相違点は次のような状況でした。

  生える所等  茎高   茎  葉長さ・幅等 黒点・明点等  花 苞 
サワオトギリ 低山や山地の水辺や湿地 15~40cm  稜無 葉は茎抱かず、長さ2~3.5cm倒卵形~長楕円形、先丸い  黒点縁有、明点多数  直径約1cm  苞は花弁より短く鈍頭 
コケオトギリ  野原や休耕田などの湿地  3~10~30cm  4稜  葉は茎抱く、長さ0.5~1cm、幅3~8mm 広卵形で円頭 黒点無、明点多し  直径5~8mm  苞と葉とほぼ同形の広卵形
ヒメオトギリ  野原や山麓の湿地  15~40cm  4稜 葉は茎抱く、長さ5~13mm、幅3~10mm卵形  黒点無、 明点あり 直径6~8mm  線形~披針形


 次はズミ(バラ科リンゴ属)でコリンゴやコナシなどいろいろな地域で方言名が多くありそうな種です。この果実がどのくらいの大きさに成長しているのだろうかと回ってみました。50日ほど前には花は終わりでしたが、実の大きさは4~5mmくらいとまだまだ小さく、真っ赤に熟すのは10月以降でしょうか。

         
ズミと名が可愛いが上高地ではコナシ平が有名    この幹回りは25cmで高さ7~8mと立派に成長   葉の特徴で枝先には三浅裂するものも見られる 

 ツゲ(ツゲ科ツゲ属)やイヌツゲ(モチノキ科モチノギ属)はせいぜい2~3mどまりの常緑樹小低木のような状態ばかりをこれまでから見ていたのでしたが、こちらではアセビやカナクギノキなどの樹木等が競争するかのような状態で茂っている中に、目を剝くようなイヌツゲの大木に出会ってきました。

         
あたかも庭木のような姿でイヌツゲがありました    太いところは35cmで多分古くから切らず成長?    本ツゲでなくイヌツゲの根拠は葉が対生でなく互生 

 
 オオウラジロノキ(バラ科リンゴ属)のその後も当然見てきました。

         
オオウラジロノキの葉の表と下が裏です     木は5~7mくらいでしょうか、幹は落枝婚目立ち   6~8mmの若い実を拾い集めてみました 

 ↑の近縁種でもありますウラジロノキ(バラ科アズキナジ属)も観察でした。

     
ウラジロノキはいつも実つきがよくなく 2ケでした   こちらが葉裏で↑よりずっと白っぽいです 

 他にも果実がいろいろ見られましたが、主たるものをご覧ください。

     
 ムシカリ    ヒロハゴマギ
     
 カナクギノキ    カラタチ(神社の植栽)

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