ポンポン山に咲く花 ’19.7.25  曇のち晴

 昨日の梅雨明け宣言により、下界では本日は36℃の猛暑日だったようですが、山は木陰に入ればそよ風により比較的凌ぎやすく、少なくとも下界よりは快適でした。それに、お目当てのヤブコウジの開花に何年ぶりの出会いとなって気分上々でした。
 以前はヤブコウジの花はどこにでも咲いていたものですが、何故か昨今の山歩きの中においてはヤブコウジを目にすることは無理なのではとの思いであったのです。そんな訳で今日の開花の咲き初めに殊の外、感動を得ることができました。
 この後しばらく、うつむき加減に葉の下へ隠れるようにして咲くヤブコウジから、すぐに始まるであろう果実化やその後の展開などの定点観察を多いに楽しみたいと思います・・。

     
ヤブコウジ(サクラソウ科ヤブコウジ属) 直径5~6mmになって赤く熟す10月ころが待ちどうしくなります・・

 さて、草刈りによって今年はシオデが咲かないのでは・・と心配していましたが、ようやくここにきて遅がけながらも咲いてくれました。もっともこの種は雌雄異株のために、雌花は咲かずで果実は見られないのが悔やまれます。今年はなんとかシオデの雌花に出会いたいものです。そしてその果実もです。

 なお、シオデの近縁種でもあるタチシオデとの相違点は次のとおりです。

①花のシベの先の葯が巻くのがシオデ、巻かないのがタチシオデです。
②葉裏が表と違い白っぽく見えるのがタチシオデで、表と変わらず緑色がシオデです。
③両者の茎では、浅い稜が数条ありザラつくのがシオデで、滑らかなのはタチシオデです。
④果実では未熟時は白く粉がふくのがタチシオデで、浅い緑色がシオデですが、その後、熟してくると両者供深い緑色となって判明は容易ではなくなることも覚えておきたいです。

シオデ(サルトリイバラ科シオデ属) これは雄花 

 葉の幅の1cm前後と広いヤブランですが、その近縁種でもあるヒメヤブランは葉の幅が2~3mmと極細い線形であるのが大きな相違点です。もちろん、花の姿にも見た目でびっしりと蜜に花をつけるヤブランとは違い、まばらにしか咲かせないヒメヤブランとの違いでも見分けやすいでしょうか・・。

 しかし、ヤブラン属でなく、ジャノヒゲ属というのもあったりして、フィールドでは区別はなかなか容易ではなさそうです。わたし的にはこの場合はヤブラン属の果実色が黒色で、ジャノヒゲ属の実は碧色のようですから実の色の違いを覚えるようにしています。

 
ヒメヤブラン(キジカクシ科ヤブラン属) 

 さて、本日のもう一つのお目当ては『オオキツネノカミソリ』でした。鹿除け柵が広がっていますが、柵外ではもう最近はすべて咲かなくなってしまいました。柵など一切なかった中で咲くころの昔の光景が懐かしいです・・。でも日差しのきつい所の花は既に白くなってしまって、見るも無残ですが、やや木陰で咲くオオキツネノカミソリは実に見事な花園となっています。暑いなか、大汗どっぷり流してこの地までやって来た身にとっては、今年もここへ立つことのできた喜びと重なってしばし見とれてしまいます。

     
オオキツネノカミソリ(ヒガンバナ科ヒガンバナ属) 

 下界は猛暑日の一日だったようですが、山中ではいろいろな花々に出会え、暑さをおしてのハイクも楽しからずや!の心境でした。足元にはミゾホオズキ、ダイコンソウたちが満開でありましたが、かたやオカトラノオの花はほとんどがもう終盤で、ギンレイカはいずれも丸っぽい実をつけて花は終わりとなっていました。
 とりわけ残念だったのは、久しぶりの今年のツチアケビが3株出たのでしたが、咲いた分のほとんどが鹿でしょう。喰いちぎられて僅かしかウインナーソーセイジのような暗赤色の実が残るだけとなってしまっていました。おそらく、この後で、残りを鹿に食べつくされることとなるのでしょう・・。そして来年の芽だしは困難となりそうです。希少な植物達が久しぶりに芽だししたのに、最後まで果実を熟すことなく、こんな目に合うのかと思えば、非常に悲しいですね、こんなことを考えると・・涙です。

 でも、木本類だけは、もちろん木々たちは鹿には負けてはいません。生まれた若い果実たちですから、元気に方々に広がって見られました。これらを眺めながら草本類の痛手の気持ちを慰めながら、木々の果実類で傷んだ心の傷を癒すことにしました。

         
 トモエソウだろう、久しぶりだネ!   やっと咲いたヨ、ノギランだ~    ウバユリも咲いてきました 
         
ほとんど命すくないツチアケビの実    ツリバナの果実ぶらり風に揺れ~    これはうれしいコハウチワカエデの空 
         
ジッと目を凝らせばコハウチワカエデ    これぞ絶滅寸前、ヒノキバヤドリギだ    ポンポン山の憩いは爽やかに過ごし 

7/15ナツツバキ ホームヘ 7/28キキョウ





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