武奈ケ岳に咲く花 ’19.9.15 晴のち曇

 坊村-御殿山-武奈ケ岳-釣瓶岳-細川越-広谷-イブルキノコバ-八雲ケ原-北比良峠-ダケ道-比良駅

 何とか暑さも和らいで来ました。久しぶりの武奈山塊の植物観察を楽しみましょう・・。とはいえ、この時季では期待されるほどの喜びは期待できません。最初は夏の花のヒツジグサにサギソウの残花ですが、いずれも離れた位置に咲いており、納得の写真とはなりませんでした。

 未の刻の午後2時頃に咲くといわれるヒツジグサですが、3~4cmの白い花と1枚の葉を水面に出します。花は6月から11月ころまで咲かすようですが・・。でも、この日は14:30頃と、丁度良い時間にこちらへ降りてきてたようです。ウメバチソウは猛烈な暑さを受けて咲いていたものは、もう花弁が古くなったのか痛んでいました。ツボミもありましたので、まだ、この後も咲くでしょう。

         
ヒツジグサ(スイレン科スイレン属)     サギソウ(ラン科ミズトンボ属)   ウメバチソウ(ニシキギ科ウメバチソウ属) 

 ママコナが群れて咲いてくれました。この種はどうやら群生し易い花のようです。ただ、仲間がいろいろあるようで、同定に頭を悩ます花のようです。ただし、関西圏ではどうやらミヤマママコナの変種であるシコクママコナが多く見られるようです。

  シコクママコナ(ハマウツボ科ママコナ属) 

以前はゴマノハグサ科でしたが、ハマウツボ科へ
変わっているようです。
 
シコクママコナとの判断

花冠内の下唇の二つの隆起が黄色く、また、白っぽ
いものもあるが基部が茶褐色のもので、苞には、棘
状となっていない場合もある。それらのうちに短い
棘状がつく苞が散見されればシコクママコナと判断
しています。 
  こちらの群生で苞の棘は一見まったくなさそうに見え
ていましたのでミヤマママコナと思いました。でも帰宅
後に写真を拡大してみると、基部に近い方へ低い棘
が散見しているような画像がありました。
このようなことからシコクママコナとの判断としたもの
です。
 なお、ミヤマママコナは苞に歯牙状の鋸歯のないも
のをいうとあり、花冠内の下唇の二つの隆起部分の
色あいとの兼ね合いもあって同定には悩みます・・。

 いずれにしてもミヤマママコナの変種であることから
確実な判断は容易ではなさそうです。冷汗
  こちらの群生地では白花も多数あり、見ごたえ充分
なママコナ群落でした。笑
 

 トリカブトが方々に満開のようでした。

       
キタヤマブシ(キンポウゲ科トリカブト属)随所に今が盛りのようです~   

 フクオウソウはやや珍しい花のようですが、残念ながらもう終盤のようでした。おまけに西日をまともに受け、足元悪い場所で時間ばかり要してしまい、納得できずでその場を後にせざるを得ませんでした。 和名は三重県の福王山に由来するのですが、ずっと前に伊豆半島の百名山でこの花を見たのを思い出し、花の思い出にひたりました。

         
    フクオウソウ(キク科フクオウソウ属)    

 イシミカワという野に咲く花の果実に久しぶりに出会いました。このあたりまで帰ってくると17時を廻り、あたりは薄暗くなって写真もハッキリ写りません。この花も以前はどちらでも普通に目にしていたのですが、近年は長い間見かけていませんでした。
 こちらで久しぶりに偶然見かけることができましたが、もちろん、花は7月~10月とありますので、とっくに終わってしまったのか探しても花は見当たりませんでした。あるのは果実ばかりが若い緑色から黒紫色までいろいろついていました。もちろん実の最後の姿がすごく色鮮やかで、宝石のように見える等、独特で美しくて忘れられません。それに葉姿も異様な三角形で棘がいっぱいのツルに離れ離れに葉がついています。

     
イシミカワ(タデ科タデ属) 

 最後はやっぱり、野に咲くツルマメでした。これは以前から見ていましたから、今日は葉だけでなく花の開花も見たいとやってきてたのでした。ところが、花はわずかに咲いていましたが、5mmほどにも満たないほど小さな淡紅色の花でした。時間的にも遅くうす暗くなっており、ボケてばかりで撮れませんでした。残念 涙

     
ダイズの原種のツルマメの葉    去年10/25撮のツルマメ果実 

 さて、こちらからは木本類です。

 モチノキ科は落葉樹と常緑樹に分かれ、日本ではすべてモチノキ属のようです。その落葉樹の中のフウリンウメモドキ以外にウメモドキ、アオハダやタマミズキ等が低山でもよく出会えますが、とりわけフウリンウメモドキは個体数が少ないようで、特に見かけるのが稀ではないでしょうか。
 また、葉の厚い常緑樹のソヨゴ、クロソヨゴ、クロガネモチ、ナナミノキ、モチノキ、ツゲモチ、タラヨウなどのモチノキ科の仲間たちも目にはしていますが、ややもすると落葉性の樹木の方ばかりに目が行き、観察もさけがちとならざるを得ません・・。

  フウリンウメモドキ(モチノキ科モチノキ属)

 落葉低木で2~3mほどの見た目も弱々しい木
です。 
 
            画像 →

雌雄別株でこれは雄花、花は2~5個つきます。
雌花は1個で咲き赤い果実が風鈴のように長い柄
の先にぶら下がってつくのが名のいわれです。 

右画像は6年ほど前に北稜で撮ったものですが、
その後の何年かに何度か花や実への出会いを
求めて再訪するも、見つかっていませんでした。
  わたしは、この花は打身山や岩籠山でも過去に出会
っていますが、近年はこの種を見にそちらへは行っ
てないため、今も健在なのか分かりません。
少なくとも開発等、人の手が入りやすい打身山では
消えていることでしょう・・。 
  今回はやや風があったとはいえ、青空をバック
にした果実が見られて大感激となりました。

同じモチノキ科の仲間でもあるソヨゴの赤い実
にも似てはいるのですが、どちらの山歩きでも
見られる個体数の多い常緑樹のソヨゴとは異
なり、極端に個体数が少なく、ハイカーのみな
さんでも、この木の名前をご存じの方にこれま
で出会ったことはなかったように記憶しています。
 

 アズキナシはバラ科のナナカマ属からアズキナシ属へ変更されました。この樹木は春の花がひととおり咲き終わった頃に白い清楚な花を咲かせる落葉樹で、20mからの高木になります。とりわけ比良山系ではこの樹種はどこにでも生えているようです。今年の5月末には蓬莱山へそのアズキナシを求めて登りました。そのきれいな白花をこちらよりご覧ください。

         
果実今緑色ですが、晩秋には赤熟    アズキナシ(バラ科アズキナシ属)    葉の特徴は葉脈が綺麗に並び美しい 

 ハクウンボクは比良山系では分布しないのでしょうか。その代わりにコハクウンボクは普通にどの比良の山を歩いても出会えるように思います。今回も幼樹は足元にずっと広がっていました。ただ、実をつけるにはやや成長しないといけませんので、その数は限られてくるようです。この果実は蒴果ですから10月ころには縦に裂けて種子を1個見せてくれるようです。

         
まだ若い灰白色で毛多い実    コハクウンボク(エゴノキ科エゴノキ属)    葉の上部には粗い鋸歯が目立つ 

 以下は果実たちですが、サワフタギの果実は核果でその色あいが特徴的なルリ色になりかけており、また、クマシデの堅果が色づき来月には熟すことになるでしょう。

             
サワフタギは一部ルリ色に色づく    タンナサワフタギはここではまだまだ     シロモジは晩秋に黄緑色に熟す   シロモジの葉姿は三中裂と独特 
             
 クマシデの果実姿も面白い    ムシカリの実は赤から最後は黒熟す    ツタウルシ核果は9月黄褐色に熟す    イワガラミの葉は鋸歯粗く嫌な匂い

 歩いたところ

             
御殿山からの西南稜の眺め     武奈ケ岳の山頂 1214.4m   釣瓶岳 1098m   レスキューポイント広谷2橋傷み進む 

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