東山に咲く花 ’19.10.05 曇のち晴

 日本女子オープンゴルフのTVは12時からの中継とのことで、ならばそれまでに近場の東山で咲くキクタニギクの様子を見ようと、夜が明けるのを待ち焦がれて出かけてきました。さすがにまだまだツボミができかかったくらいのようで、この調子なら今月下旬くらいが咲き初めとなろうと読みました。

 アワコガネギクは直径約1.5cmほどの黄色い少花が密集して咲く様子を泡にたとえた名といわれますが、京都では別名となっているキクタニギクの名の方がより馴染みがあります。それは東山の菊渓で咲く菊の花からの名前なのです。長い間、この谷では途絶えていた花なのですが、絶滅危惧種となったキクタニギクを復活させようと京都府等が力をいれてようやく咲き始めてくれた貴重な花なのです。現在のところ鹿の柵除け柵も設置されていないために、またぞろ食害に遭う可能性が心配されるのですが、鹿だけでなく、人害等もこれまた大きな不安事でもあるのです。どうか、持ち帰るなどと不埒な考えを起さないように節に注意したいものであります。

 なお、以前の開花時の様子はこちらからご覧いただけます。

 
アワコガネギク(キク科キク属) 別名キクタニギク 

 花はタデ科のイヌタデなどが群生でしたが、それらは雑草並みで興味もうすれ、メナモミが目だっただけでした。それに、コクランの果実はどちらの果実であっても、今頃ではほとんどが茎先の実は落ちたのか、鳥にでも食べられたのか今回のように緑色の実をつけている個体はほとんど見られず、その点ではこの個体が珍しい状態となっていました。また、ミヤマウズラと同じように、この種もきれいな葉が常緑のままで寒い冬を越して春を迎えます。

         
 メナモミ(キク科)3裂舌状花    ヤブミョウガ(ツユクサ科)黒色が果実   コクラン(ラン科)緑色は若い果実 

 さて、西山ではクロバイ(ハイノキ科ハイノキ属)を見かける機会は多いのですが、同じ仲間であるシロバイ(ハイノキ科ハイノキ属)に出会う機会はほとんどありません。ところが、東山ではこの両方の種が見られるのは嬉しい限りです。ハイノキ科ですが、このグループは日本では落葉樹と常緑樹の仲間があり、その内の今回の二種は常緑樹です。ただ、これらの小さな花は穂状花序です。特にクロバイは高さ10mにもなり、シロバイはやや低く3~5mほどになります。これだけの樹高となりますと、なかなか手じかに目にすることはなりませんので、山歩きの中でもそう大きな関心樹とはならないのでしょう。

 しかし、中でもハイノキという種は4~5月ころに前年枝の葉腋に散房花序をだし、直径約1.2cmのわりにひとつひとつがハッキリしていて、可愛い白花を咲かせてくれます。このように特にきれいな花のために、ハイカーのみなさんにもよく目立ち、必ずといいっていいほど、「アッ、あの花はなんでしょうか・・?」と声の出ること種であることに間違いありません。
 わたしは四国高知の奥深い深山であるカルスト台地の中で、1回だけ開花中のシロバイに出合ったその美しさを今でも忘れられません。ただ、その山へは何度も案内で出かけたにもかかわらず、シロバイの開花中にはその一度しか出会えませんでした。同じころにツアーの案内で何度か行っていたにもかかわらずにも見られず、なかなか季節によっては微妙に開花時期が早い遅いの差があるのでは・・と、いつも残念に思っていたのも忘れられません。その点、シロバイやクロバイは地元でもあることから、つぶさに観察するようにしています。

 さて、クロバイの開花は4~5月ですから、果実にいたるまでは一般的ですが、反面、シロバイについては開花時期が8~10月という植物にとってはやや時期が遅めで異なり、したがって果実の完熟期も変わってきます。そのようなことから、花と実の関連性についても、とまどうことがあります。まずはシロバイの開花や果実化から完熟期等の詳細をこちらからご覧いただきましょう。

 
ここへ写ってる実は前年咲いた実
 
今年の花の開花はこちらです。

今年は前年からの実は落下し、少ない
   
シロバイの前年からの実は3個見え  花は8月末に咲きます。 ↑画像は今年開花後の出来立ての実    シロバイの樹皮は灰褐色で平滑 

 続いて、同じ仲間であるハイノキ科のクロバイも常緑樹です。ただし、クロバイは、晩夏に咲くシロバイとは異なり、春のGWの頃に咲く種であります。こちらの東山でも沢山見られます。この種の花はこれまで、西山ばかりで見ており、東山の開花にはほとんど出会ってはいません。
 西山の開花時には高木が多いために手じかにはじっくり見ることなく、離れたところからの花ばかりだったでした。東山のクロバイは枝先が低い位置にも多くあるようで、来年はその花時である5月上旬には、こちらの個体も観察してみたいと本日歩いてみての感想でした。

 
葉のふちには浅い鋸歯あり、葉柄に
は紫褐色を帯びる傾向がある。
また、葉表は光沢がある。 
 
葉の両面とも無毛であり、葉先は尾状
に尖る。
花は5月頃に咲く
     
クロバイの葉表  葉裏の様子    クロバイの全体、これは高さ7mほど  樹皮の表面は黒褐色で皮目が多い

 サネカズラの実は集合果で11月には赤熟して、特別目立つこととなります。なお、花は雌雄別株または同株という比較的珍しいつき方の種です。別名の謂れは、樹皮からとった粘液を整髪に使用したので美男蔓との別名があります。
また、イヌビワの花は花嚢といわれ、花期は4~5月ころに8~10mmの球形で葉腋に1個ずつつきます。また秋には直径約2cmの球形が10~11月頃に黒紫色に熟しますが、雌果嚢は食べられますが、雄果嚢は硬くて食べられません。

     
 サネカズラ(マツブサ科)実来月下に赤色     イヌビワ(クワ科)雌果嚢12月ころ黒熟

8/31シロバイ ホームヘ 10/28.キチジョウソウ






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