ポンポン山に咲く花 ’19.10.20 曇のち晴

 ようやく山日和のようです。ならば裏山の花散歩としてみましょう。今期三度目の秋に咲くという常緑樹のリンボクの開花が、今回こそ見られることだろうとのお目当てで小倉山から向かいました。それに、この小倉山から浄土谷への道は昨年の21号台風で大荒れとなっていたようですが、なんとか整備も済んだような情報を得て、何年振りの通過でしたが、有難いことにきれいな道に復活していました。

 さて、一番手はヒヨドリジョウゴがまだ咲き残っていました。この花は例年であれば8~9月ころに咲くといわれるのですが、今期の花の総体的な遅れのようなためと思われるのでした。仲間には他にヤマホロシ、マルバノホロシにオオマルバノホロシなどがありますが、ヒヨドリジョウゴは野や山のどちらにでも咲くようで、ふつうに見られて珍しくもありません。しかし、この時季なら逆に珍しそうですから取り上げてみましょう。もちろん、他ではもう果実が真っ赤に下がり、ハイカーにはすぐに目に入る状態となっていますが、こちらではまだまだ実は緑色でできたばかりのようでした。

 ヒヨドリジョウゴの名の謂れは、花の後の赤い果実をヒヨドリが好んで食べることによるとのことです。野や山のふちなどに生えるツル性の多年草ですが、先に記した仲間たちとはそれぞれ違いがありますから、この違いを知って山歩きの中で見比べるのは山歩きの楽しみの一つとなります。
 そのヒヨドリジョウゴの特徴は、茎や葉にやわらかな毛が密生することが大きなポイントでしょう。花冠は深く5裂し、1cmほどの白色で大きくそり返りますが、このような咲き方は他の花が同じようにそり返り、淡紫色に咲くことがある点などから、やや同定ポイントとしては紛らわしそうです。もちろん、花冠の裂片基部の花喉部に緑色の斑紋状はマルバノホロシ以外の他種にも同じであることも知っておきたい点です。果実の赤く熟すのは他種とも同様です。

 
ヒヨドリジョウゴ(ナス科ナス属) 茎や葉に密な毛が大きな特徴
     
 葉に三裂した独特な葉姿があればこの種だ   肉眼でも 葉柄や茎ともに毛の多いのが分かる

 さて、ヤマノイモ科の花期はほとんどが夏期ですからもう咲き終わりましたが、その仲間たちもいろいろありますが、比較的目にすることが多くないと思われるカエデドコロがありました。この科はいずれも雌雄異株であり、雌株は個体数少な目で見つけづらいでしょう・・。今回も雄株のようでしたが、それは若い果実等もまったくついてなかったからです。

 さて、このカエデドコロは特にキクバドコロとがよく似るためにフィールドでは即座に見極めがた易い種ではなかろうかと思われます。しかし、その種の同定ポイントを知って押さえておれば即座に「カエデドコロだ、いや、キクバドコロではないだろう」と、確定できます。
 もちろん、同定には一点だけで見分けるのではないのですが、この種だけは次の一点だけでOKのようです。それは↓画像に見えるように、横向きの茎から葉柄が上向きに伸びています。やや膨れ気味の葉柄基部に一対の小突起が左右へ伸びているのが見えます。これが、カエデドコロの根拠なのです。近似種のキクバドコロにはもちろん、その他のヤマノイモ科たちにもこの1対の小突起はありませんから、カエデドコロの同定ポイントであることの証明となるものです。ただ、ヤマノイモ科の仲間には他にもヤマノイモ、オニドコロ等数種あるために、カエデドコロやキクバドコロに辿り着くまでの各々の特徴を知ることは、当然必要であることはもちろんであります。 

 なお、カエデドコロとキクバドコロの違いは、もちろん、↓画像のように、葉柄基部に小突起のあるなしですが、前者の葉は3~9裂ですが、わたしが見ているカエデドコロはほとんどが7裂のように見えがちですが、更によくつけ根あたりを見れば9裂のものも見当たります。そして、頂裂片が大きくて尖り気味ですが、その他の側裂片はほとんどが丸っぽいようです。なお、花期は7~8月です。
 ところが、後者の葉は図鑑には5~9裂とあるのですが、目にするのは7~9裂がほとんどのようらしいです。とすれば裂片は両者共同じことになります。そして、頂裂片と大きな側裂片は鋭尖頭のようです。この全部が鋭裂頭というのがこのキクバ・・の方の見極めでしょうか・・。なお、花期は6~7月と前者よりやや早く咲くようです。わたしもキクバドコロを見たのは相当以前のために、知識はネット上の羅列ですが、これからは何とか探し出したいものです。それにしても個体数も後者が圧倒的に少ないように思っていますが、さて、本当のところは如何なんでしょうか・・?

 
比較的個体数が多くないカエデドコロの確定的な同定ポイント↑上記赤字 
         
今回出合った個体のカエデドコロはほとんど7~9裂で葉先は鈍頭に見えます~    両面に肉眼では見えなかったが毛があるよう・・ 

 ガガイモは花が終わって、若い実になっています。この種の果実は熟してから、種髪で種が風に乗るまでにはまだまだ相当長い期間がかかりそうです。今年の花の開花はこちらからどうぞ。

 
 ガガイモ(キョウチクトウ科イケマ属)↓をUpしたものです
 
 一面に10数個ついていました

 草本類でも、オカダイコンの残花しか見ませんでした。もちろん、他にもミゾソバやイヌタデ類は多数残っていましたが省略です・・。笑

           
オカダイコン鹿の食害に遭わず    タンキリマメの莢はまだ弾けず    カラスウリ晩秋には特によく目立ち   スズメウリは少しで灰白色に熟くす 

 こちらの果実は草本ではなく、木本類のアオツヅラフジの熟してきた実です。実に粉がふくと熟してきたことを告げています。それでなくともツヅラフジ科の花は小さく、花色は黄白色等で深緑の広がる小道では、花時にはほとんど目につきませんが、果実が熟してくれば特に目立ちます。粉のふいた実を見つけた食い意地一杯の方が元気な声で嬉しそうに「アッ、あれはブドウだな!」と、大声を上げたのを聞いたことがあります。傍らのこちらは、「残念!、その実はブドウではなくて有毒のツブラフジなんだがナ・・」と、そっと静かに、つぶやいていたこともありました。「アッ、冗談ではないですよ。毒は本当の話しですヨ・・」笑

 
アオツヅラフジ(ツヅラフジ科アオツヅラフジ属)美味しそうに見える実だが 

 突然ですが、話しはまったく変わります。肝心の秋に咲くというバラ科サクラ属の珍しいリンボクですが、今回三度目の開花出合へも、またまた花は見られませんでした。涙 どうやら、この樹木は毎年開花はなさそうです。というより、開花を待つ身にはなかなか咲いてくれない秋のサクラ見物は根気が居るリンボクのようです。実はこの西山古道の道中にこのリンボクの成木があることを知ったのもここ五~六年しかたっていませんので、その開花にはまだ一度も出合ってないのです。
 相当前に大阪南部の岩湧山に通っていた時には、一度だけその開花を見たことだけは覚えがありますが、もう記憶の彼方です。バラ科サクラ属というだけにウワミズザクラやイヌザクラ似の花を咲かすのですが、いつになればこちらで見られるのでしょうか。その個体は7~8mは充分あった成木ですが、花を咲かせてもよいくらいに成長し、中々の木に見えますが・・。待てば海路の日和ありでしょうか・・。笑

 その木の傍らで泣きながら昼ごはんを食べて開花を待ちました。イエ、そんな馬鹿な・・、あほらしくなって重い腰を上げます。それはこの先が急登なんです。しかたないとふうふういいながら、汗みどろで先へ登っていきます。ところが静かな秋の山道に姿は見えねど、かまびすしい賑やかな声だけがドンドン近づいてきます。元気な山ガールだろうナ~と、思っていると突然その発声者が下りて来られたのでした。顔を見るなり、「アッ、○○さんやないの、そうやね~?」の声にこちらはビックリぽん!、でした。聞けば以前にあちこちの山をご一緒した三人の美女ばかりだったのです。
 こちらのその時は、リンボクの花が見られず、その心の悲しさばかりを思いながらの登りでしたから、冷静な心やそれにしっかりした目もなく、只々、言われるがままに聞くばかりでした。どうやら『美人SOS隊』だったようです。しばし、時の流れるのを忘れて長話しが続いたのでした。最後は山崎のサントリービールで反省会されるらしい相手さん達に別れを告げたのでした。それにしても楽しいひと時でした。また出会いましょう!


 美人SOS隊に別れた後には、↓中央の木のハイノキ科のクロバイの大木の前に立ちました。こちらのクロバイの今年の花を見た時は、GW過ぎで運よく咲き初めの花でしたが、「年末くらいに黒い果実も見られると嬉しいのだが待ちどうしいなぁ~、それに来年の開花もきっと出会いがあればいいのだが・・」と、欲深く考えるのでした。その時の5月の花はこちらからどうぞご覧ください。そして、そのすぐ先でも今年も年末近くなれば見られるだろうと期待しているタマミズキ(↓右画像の木)の真っ赤な実を思い出しました。
 でも、実はこの個体はタマミズキの雄株なんです。モチノキ科の仲間はみな雌雄別株のために、雌株しか果実はつきませんから、この木にはあの真っ赤な実ももちろんつきません。この木から大分下がった地に雌株が年末にはびっしりの真っ赤な実姿を見せてくれるのでしょう。
 モチノキ科の中でも高木のタマミズキの花はほとんど目にできません。でも実だけは遠方からでもよく目立ちます。昨年もあちこちでそのタマミズキの実を遠望したものですが、こちらからご覧いただけます。特にポンポン山にはこのタマミズキが多く咲くようで、特に植物好き者にとっては「よい地に住んだものだ」と、ひそかにほくそ笑んでいます。笑

         
また泣いた花なしのリンボクが悲しい・・    分かれてすぐに立つクロバイの満開も懐かしい   赤い実がびっしりではないタマミズキの雄株 

 その他の木本類の花や実です。

         
なぜか紅がかったコウヤボウキ    ウメモドキも実がびっしりつきやすい     ノブドウは色あいに変化あり美しい
         
ナツハゼの実は完熟で美味なり~    まだも一つ未熟なヤマコウバシなり     も一つのサネカズラも少しで真っ赤に

10/10ジャコウソウ ホームヘ 10/30.キチジョウソウ






inserted by FC2 system