琵琶湖周辺に咲く花 ’19.11.2 晴

 キッコウハグマが咲きだしたことでしょう・・と、いつもの場所へ向かいました。ところが、山道沿いの草刈りが先月下旬になされたようで、山裾は綺麗になっていましたが、いろいろな草花の秋の様子も見られるだろう、との期待は全てあえなく消えてしまいました。
 こちらの山域の草刈りは行政での手は近年は手が回らないのはいずこも同じことです。やっぱり、周辺近くに在住の山好きな方なのでしょう。でも、刈ればいいとの手法は考え物です。それでも、工具使用ではなく、手作業での草苅のように思えます。すくなくとも春一番に咲く種くらいは、今頃なら刈り残してやっていただかないと・・と思えてなりません。
 でも、センブリはその方の目に入ったのか、さすがにどうにか残っていたのでした。すこしはそのあたりが分かっている方のようで、ホッとしながらの花巡りでした。最もキッコウハグマやリンドウは、こちらでは道沿いからわずかに奥まった地で咲くことから、その方の草刈りの範疇ではなさそうで助かりました。もちろん、その草刈りは当方の管理地でしょう・・。笑 

 さて、お目当てのキッコウハグマは、山地の木陰に生える小さな白花を咲かせる多年草です。花冠は1cmにも満たない五つに分かれて捻じれるような白花が三組つきますから、合わせて15個の花弁に見えます。それにこの種は閉鎖花を結ぶことが多いのですが、こちらでは開放花が主体のようで、去年は見られたその閉鎖花は今日は皆無でした。

 
キッコウハグマ(キク科モミジハグマ属) 
     

 そして、最初のセンブリは道沿いに咲いていましたが、本来なら背丈も20~25cmにもなるようですが、草刈りの多い道沿いでは10cmくらいで咲き誇っているようでした。また、背が伸びた個体は茎がそんなにしっかりしていないようで、花の重みい耐えかねて、折れ曲がっているものも多いようです。↓左画像です。
 こちらのセンブリは4~5か所に散らばって咲いていましたが、ややもすれば草叢の林縁の日当たりのよさそうな所を選ぶようです。ただ、このセンブリ属の仲間には他にシノノメソウは関西ではほとんど見ないのですが、ムラサキセンブリ、イヌセンブリやアケボノソウですら、ここでは見られないのが極めて残念です。

         
    センブリ(リンドウ科センブリ属)     

 また、アキノキリンソウもチラホラ昨年は咲いていたのでしたが、今年は今のところは皆無であり、ひょっとして草刈りにでも遭ったのかもしれません。でも、奥まったところの地は昨秋にこちらが草刈りをしていた地で、リンドウが20輪程は軽く、群れ咲き乱舞のごとき草原で、贅沢を言えばやや遅きではありましたが、それでも大感動となりました。ヤッタ~

         
     リンドウ(リンドウ科リンドウ属)    

 山野草では希少種スイランのまったくの残花が一輪だけ咲き残ってくれていました。

         
 オオジシバリより大きいスイランは3~3.5cm    野山に普通に長く咲くツリガネニンジンの残花    ヤマノイモ科のカエデドコロをここでは初見

 木本類の最初はわたしにとってはやっぱりクロミノニシゴリでしょうか。昨年は枯れてしまうのではと心配するほどの、まったくの不作でしたが、今年は名前の謂れとなった黒実(↓中)がもう熟して多くついています。高さ5~6mでもう独特な暗褐色に紅葉(↓左)しだしています。
 そして、葉裏は無毛が特徴ですが、葉表と葉裏(↓右)の色違いはこれまた独特でしょう。仲間のサワフタギやタンナサワフタギの葉身より、少しだけ一番大きくてそれでも3~10cm程あります。花は5月末ころの開花ですが、今年の花はこちらです。関西圏では希少種でしょう。

         
もう独特な紅葉色が始まっています    クロミノニシゴリ(ハイノキ科ハイノキ属)    黒実と無毛の葉裏 

 次はカマツカです。この種の今年は所によってかもしれませんが、わたしの見る限りでは台風の強風のせいかもで果実がほとんど残っていませんでした。しかし、こちらのカマツカは多くの赤い実をつけて特に目立っていたのでした。それが証拠に、毎回そばを歩いていたのですが、ここへカマツカがあるのさえ今回初めて分かったくらいです。今後のカマツカの観察個体と決めました。笑

         
    カマツカ(バラ科カマツカ属)別名ウシコロシ     

 シャシャンボもそろそろ実が熟してきたようです。この果実は例年枝にびっしりとついてくれるようです。そして、ツツジ科のなかでも実に美味しいことで知る人ぞ知る樹木なのです。北アメリカ原産のブルーベリーも大変美味しい果物ですが、実はそのブルーベリーと全く同一のツツジ科スノキ属なので、シャシャンボも美味しいことこの上ありません。今回も昼弁当のデザートとしました。↓の画像色のように色あいがいろいろですが、順番的には右左中の順番で完熟に向かうのでしょう。

         
    シャシャンボ(ツツジ科スノキ属)     

 次はこちらの山塊では、今回初めて見つけたツルウメモドキでした。葉は対生で葉身4~10cmであり、幅は2~8cmで、楕円形または倒卵形であり、ふちは浅い鋸歯がつきます。葉の先はほとんど尖りません。この個体はからんでいた主が折れ曲がって倒れていましたので、これまでははっきりしなかったようです。
 こちらも比較的珍しいツル性の樹木種のために、これからはジックリ観察することとしましょう。とりわけ晩秋の黄色に熟して三つに割れてから橙赤色の仮種皮に包まれた種子が顔を出す独特の姿が超可愛いために、多いに期待したいと思います。なお、果実は8mmほどの球形ですが、種子は長さ約4mmのようです。

         
葉は両面とも無毛のよう    ツルウメモドキ(ニシキギ科ツルウメモドキ属)   果実は蒴果でまだ裂開前の実がつき 

 その他に目についた木本類です。

         
 センダンはまもなく黄褐色に熟す    アオツヅラフジは白っぽい粉ふきで熟    イヌザンショウ葉や果実に香り少ない
         
サルマメ は棘がほとんどなし   この山域にはガマズミだけがあり     ウメモドキは特に湿地帯を好む種
         
ヘビノボラズ湿地好みの約60cm低木    サカキこの後に黒紫色で熟す    モチノキ科で黒熟するのはイヌツゲのみ 

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