湖東三山自然歩道ハイク ’19.11.13 晴、11/21 晴、11/26曇、12/3曇

 今年の湖東三山のオフアー4回の初回でした。しかしながら、昨今の気候変動により、紅葉の様子はほんとうのところ、最高とはお世辞にも思えない有り様のようです。そもそもツアーなるものは天候も含めてあなた任せのようですから、致し方ありません。やれやれの紅葉巡りのカバーにと、そこは京都検定力でもって、歴史等主体の案内によりお楽しみいただくこととしましょう。笑い

     
 西明寺三重塔 (国宝)高さ24m   境内の紅葉はもう少しのよう 

 西明寺は天台宗で、イエ、本日の湖東三山はすべてが天台宗なのです。まず、西明寺の本尊は薬師如来ですが、この立像は秘仏であります。開基は三修上人が平安時代承和元年(834)に開創されたようです。平安、鎌倉に室町時代の山内には十七の諸堂と三百の憎坊があって栄えていたといわれます。
 源頼朝が来寺して、戦勝祈願されたとも伝えられています。戦国時代には信長が比叡山を焼き討ちにし、その直後に西明寺も焼いたのですが、国宝の本堂や三重塔、それに重要文化財の二天門が火難を免れ現存しています。

 建造物として本堂は国宝であり、鎌倉時代初期に飛騨の匠が建立した純和風建築で、屋根は檜皮葺きで、蟇股、格子模様等鎌倉の様式が保存されています。それに三重塔は鎌倉時代後期に飛騨の匠が建立し、本堂と同じく釘を使用していないのです。屋根は檜皮葺であり、総桧の建物です。初層内部の壁画は巨勢派画家が描いたもので鎌倉時代の壁画としては国内唯一といわれています。また、二天門は重要文化財ですが室町時代初期の建立で杮葺きの八脚門です。(以上、寺のパンフ抜粋)

 国指定の名勝庭園である庭は蓬莱庭といい、本尊の薬師如来や日光・月光三尊仏さらに十二神将を表わす立石や石組がそれぞれあります。そして、滋賀県の天然記念物である樹齢二百五十年以上の不断桜があり、春秋冬に咲くといいます。今日も満開でしたが、説明に追われて撮ることはなりませんでした。残念!

 しかし、遠方からお越しのお客様であり、三ケ寺だけの観光だけではなく、自然歩道ハイクもかねているために、境内での案内時間にしばりがあって、どうしてもその解説は走らざるを得ないのが申し訳なかったです。もちろん、それらを一番最初にお断りして進みましたからご不満の声はなかったようだと、こちらの勝手な思いでした。笑

 さて、最初の西明寺見物が40分ほどで済めば、今度は湖東三山自然歩道ハイクの始まりです。こちらは合計10K足らずのハイクですが、これまでの経験からややもすれば、西明寺の本堂までの石段の上がり下がりで、「もうこの後をさらに10Kも歩けば、残りの二つの寺巡りの足が不安です・・」との声あり、西明寺から金剛輪寺までや、百済寺までの自然歩道ハイクは止めにして、その間をバス移動される希望者が出る状態も経験しているのです。ゲエー

 そのように低山あるいは里山歩きとまでもいかず、平坦地の散歩しか・・との言いようでしかありません。今日も先が思いやられます。しかしながら、どうにか何とか歩いて頂いたようです。それでは話は変わりますが、こちらの自然歩道コースの道標は行政が昔から多数設置されていますが、もう相当古くなっています。
 最初あたりの四差路に立つ道標が、これまで標示不手際であるために何年にもわたり、単独者のハイカーがここで道迷いされ、左折して登って行ってしまい、そのために踏み跡がしっかりついてしまっています。そうです、ここで遭難騒ぎが続いていたようです。二年前にもパトカーや捜索者たちで大騒動騒ぎになりました。
 そのような大問題となったことを寺関係者から聞き、おまけに「そちらも道間違いしないでくださいね」といわれる始末です。わたしはこれまでから単独ハイカーに道間違いしたと泣き言を何度も交差時に聞いて知っていましたから、大騒動のその話を聞きつけたわたしは、最終的に県の担当課へ、くどく道標誤りの指摘をしましたが、ようやく改善がなされているのを今回確認できてやれやれでした。
 いずれにしても、市町村はもとより、元締めの県庁の担当者達の態度はもちろん、業務に対する思考力等についても、現場では大騒ぎになっている事案にもかかわらず、お役所仕事の平然としているその態度には呆れかえってしまいます。イヤ、これ以上はお役所仕事の不満は馬鹿らしくさらには書きません・・。泣

 続いて、鹿除け柵を出ればすぐに、集落の角に田んぼの畝場整備記念碑付近あたりへ標示物で何やら整理されています。ここで、いつものように斧磨集落名の地名の由来などの話を聞いていただきます。さて、この集落名はいったいどう読むのでしょうか・・? 笑い

     
直角矢印を水平に変更するべきと申し出    斧磨はなんて読むの・・? 

 最初の金剛輪寺までのハイクは3.5Kほどです。こちらは短く一時間もかからずに二番目の金剛輪寺です。到着後すぐに黒門前のPのバス内で弁当昼食半時間を取った後にお参りでした。こちらは奈良時代の天平十三年(741)に行基菩薩によって開山された立派な歴史あるお寺さんで、もちろん天台宗です。本尊の観世音菩薩は行基菩薩の手によって彫刀され、一刀三礼で彫り進められると、木肌から一筋の血が流れ落ちたといわれます。その時点で魂が宿ったとして粗削りのまま本尊としてお祀りされたのです。
 後の世に生身の観音様と呼ばれて全国の観音信徒より篤い信仰を集めているそうです。本尊は秘仏本尊聖観世音菩薩として、住職一代につき、一度のみご開帳が許される決まりとなっているようです。

 このように、生身の観音様ということから、本堂沿いにあるカエデの紅葉は『血染めの紅葉』として知られ、あたかも木肌から流れた血で染められたように鮮やかに紅葉することから言われるようになったらしいです。

         
金剛輪寺の高麗門の黒門    国宝の本堂の左が血染めの紅葉です   金剛輪寺宝塔 (愛荘町指定文化財)
         
大日如来の三重塔 重要文化財S53復元完了    国の名勝庭園にあるナツツバキの紅葉     二天門(重文)のわらじ(長さ2.5m重さ70kg)

 金剛輪寺の見物を一時間ほどで済ませて、いよいよ一番長い自然歩道6.5Kを歩き三番目の百済寺へ進みます。この間には見どころもあります。まず、上蚊野古墳群落があり、トイレもあるためにこちらで休憩と、依智秦氏の里古墳公園の古墳についての話を聞いて頂きます。
 宇曽川沿いにはかっては300基にもおよぶ県下でも最大級の金剛寺野古墳群があったのですが、現在は10基でその2基が見学できるとあります。渡来系族である秦氏の氏族、依智秦氏ゆかりの古墳群と考えられているようです。昔は古墳にこうもりや狸が住んでいたことから、こうもり古墳やたぬき古墳と名がついたようです。

 続いては39年前の建設の宇曽川ダムです。このダムは6年がかりで63億円かけて建設したロックフィルダムで堤高56mあるようです。↓中がズームしたロックフィルダムの外壁のようです。このダムと同じ形式で日本で一番高いのは北アルプスで裏銀座登山口の高瀬ダムの176mのようです。
 しかし、ダム全体ではアーチダム形式であり、1963年開始の関電の黒部ダムの186mのようです。ちなみにダムの形式には日本では四形式あり、後の二形式は重力式コンクリートダムと中空重力式コンクリートダムの四種類とのことです。ダム建設にはこのように莫大な費用がかかることから政治的な問題としてこれまでから賑わったことがありますが、税を負担する側からもそのあたりを常に情報として意識したいものがあります。

 さらに、歩けば今度は田舎の素晴らしい風景のなかの高台に、瀟洒なヨーロッパ風な白亜の殿堂と見まがうホテルと、生きた化石として知られるメタセコイア並木の光景が素晴らしいです。もちろん、こちらの風景を眺めながら休憩としましょう。

         
 こうもり古墳   宇曽川ロックフィルダム    クレフィール湖東とメタセコイアの光景 

 次第に上り坂となってきました。名神高速道沿いからその下を潜って、南東向きにさらに緩やかに登り上げます。このあたりまでくればお互いに境内本堂までの往復をいれて、10Kは充分歩いていることでしょうから、やや足が心配な方があっても不思議ではありません。
 せいぜい、道中の植物たちも紹介しながら気を紛らわせていただきましょう。そして坂道登りから後ろを振り返っていただき、琵琶湖の広がりを眺めて気分を変えていただきます。もやっていましたからハッキリとはしなかったのですが、琵琶湖の広さを見て、「たしかに気分転換になった」との声もいただきました。

 金剛輪寺から二時間弱歩いて、ようやく最後の百済寺へ到着でした。こちらのお寺も極めて古い歴史ある天台宗の寺です。当山は推古天皇の時代に聖徳太子により百済人のために創建された古刹です。本尊は木造十一面観世音菩薩立像です。本堂は唐破風付入母屋造で重要文化財の指定を受けています。

     
喜見院の庭園はまもなく紅葉で華やかとなろう
     
本堂は唐破風付入母屋造屋根で重要文化財    本堂の東面には花頭窓や格子模様も見どころ 

 自然歩道の途中ではRDB指定の植物にも出会えました。それは、京都府では絶滅危惧種で、滋賀県ではその他重要種の指定がなされている「キク科のオグルマ」でした。今回わたしは久しぶりに出会えました。ご参加の方々にも「珍しい花に出会えましたね。皆さんの身には今後ラッキーなことが起こるかも知れませんヨ、なんでしたら年末ジャンボ宝くじでもお買いになっては・・」と笑いながら話しました。爆笑

 
 ハイカーでもなかなか出会えない超希少なオグルマ(キク科オグルマ属)

 最後になりましたが、↓上段4種は三ケ寺の境内で見られた植栽樹木の果実たちです。下段は自然歩道歩きの中で出会った自然種の植物たちでしたが、それぞれ解説しながらの歩きとしました。

       
 センリョウとキミノセンリョウ  ヤブコウジ コブシ   ミツマタ
       
ボタンヅルは綿毛で旅たち始まろう  時忘れのカキツバタ、そばには果実も   サネカズラは真っ赤に完熟でしょう  アオツヅラフジも粉がふいて完熟

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