ポンポン山で咲くセリバオウレン ’20.2.27 曇のち時々小雪

 その朝の窓より西山はおぼれげながらもわたしには近くに見えた。明日はまだましな予報のようだが、ヤボ用で登れない。ならばすぐに登山靴を履こう。お目当ては西山で見られるセリバオウレンなのだ。珍しく稜線では北風とともに小雪の風花が見事な景色で待っていてくれた。しかし、このような日だから山頂には人の姿などまったくあろうハズはない。このような日にやってきたのも久しぶりだった。ひと息の後にさらには歩きが要求されるも、あの花に逢えるのだと心は躍った。

 着いたその場の花はやっぱりこれだけ寒ければ花びらはふるえているのだろう・・。それに出会いもやや遅すぎたのだろう・・。でも、出会えたセリバオウレンに思わず咲いてくれてありがとう・・との心根であったのだ。ゆったり小一時間も、この寒さの中に心遊ばせながら身をおいた。

 
 キンポウゲ科オーレン属のセリバオウレン 群生の雌花、雄花は左側に3輪皆寒さでふるえてる

 ↓画像の右二株はもう終わっている。その左一株のみが雄花である。そして左一株が雌株だ。惜しむらくは一番きれいな花姿を見せてくれる雄花をもっと沢山見たかったのが本音だった・・。

 
柄のある径約1cmの白花が咲く、左から二株目の雄花が好きだ~ 
 
でも、もう一度雌花を眺めなおそう・・。いいね~♪ 

 セリバオウレンの最後はその名の謂れとなったセリに似た葉である。今回は雪から冷たく細い雨が待ってはくれず、頬さす冷たき風と一緒に容赦なく続いた。この花の葉は2回3出複葉であるのだ。でも、見慣れないとその葉は判然とはしないだろう・・。

 オーレン属は全国には8種ほどありそうだが、オオゴカヨウオーレン以外には出会っているはずだ。とりわけ、葉が3出複葉が単なるオーレン(別名葉が菊の葉に似ることからキクバオウレンともいわれる)で、セリバ・・との二種は花好きには知られるのだが、葉が3回3出複葉であるのはコセリバオウレンであるのだが、個体数的にもあまり出会える機会の多くない種ではなかろうか・・。

 
セリバオウレンの葉は2回3出複葉で小葉がセリの葉のように切れ込む 

 続いて帰り道では、植物の先生よりお聞きしていたバラ科サクラ属で常緑樹のリンボクを確認できた。それはウワミズザクラに似たような果実のつき方が目に入って、「アッ、これが聞いていたリンボクだ!」と思わず、嬉しさのあまり一人で声を出してしまった。その樹木そのものは以前から他所では見てはいたのだが、西山山塊での花や実がつくリンボクには出会えていなかったのだ。

 もちろん、花時である9~10月ころにこの大木の元を訪れて、久しぶりの秋に咲き、それも落葉樹ではなく常緑樹のサクラの仲間である珍しいリンボクの花を拝みたいものだ。先生、教えていただき感謝です。

 さらに、幼木のリンボクの木につく葉は西山でなくともどこの里山でも個体数は多く見かける。葉を手に取ると「痛い!」と思わず声が出るのだ。それは針状の鋭い鋸歯が多くつくためなのだが、古木になればその鋸歯は消えて、人間と同じく丸くなるのだ。ということで鋭い鋸歯を持つことで知られるヒイラギの葉に似ることから、別名ヒイラギカシとの名も持っている。

 ただ、リンボクは花が咲き果実ができるのは、相当の年数が必要のようだ。西山古道沿いでも名札がかかるその個体の高さは5~6m以上ありそうだが、いまだに花時を狙って出かけても花は咲かないのか見られたことはないのだ。このように、樹木もいろいろあって、樹種により花をつけるために相当の年数を要する樹種がいろいろありそうで決して個体差ではなさそうだ。そのあたりの植物の生態も面白い。

 
リンボクの果実は5~6月に紫褐色から黒紫色に熟すだろう 
 
リンボクの葉は波打ちやすく、古木では縁の鋸歯は消え全縁となる 

 

 ミチノクフクジュソウ地にも立ち寄ってみたが、この寒さと日差しなしのこの日だから、開花の個体はありえない。でも、しかし、フクジュソウとミチノクフクジュソウの相違点把握のために一枚撮ろう。その違いのポイントは萼片と花弁の長さの違いである。

 その二つの違いを詳しくみてみよう。まず、フクジュソウの萼片は花弁と同じか、花弁よりやや短い。ミチノクフクジュソウの萼片は花弁より明らかに短い。と説明があるのだが、↓画像では明らかとは見えないようで紛らわしい。
 そしてさらに説明では花弁の長さの半分かそれよりわずかに長いくらいともある。どうやら花弁と萼の長さは微妙なようだが、個体差もあるのだろう。そして、京都府のRDB内でも「京都府内のものはミチノクフクジュソウであることが判明している」と特記事項にも表記があるのだ。

         
 ミチノクフクジュソウの今日は開花お休み    マンサクの開花はこれからのよう    アッ、花が‥と見ればトキリマメの実殻下がり

 今日は歩きだして、山道となってくれば日差しが消えてどんよりと辺りは薄暗くなったが、やがて日差しが戻ってきたりしてもまた風が強くなったりして寒くなって来た。しかし、いよいよ坂道となって体もぬくもってくると元気が出てくる。
 次第に稜線が目前になれば横殴りの小雪が舞いだした。これがまさに春の雪ではないだろうか。でもポンポン山に着けば人影もなくあたりは寒々しい。頂の温度計は氷点下を指していた。見渡せば、西北方面には薄く青空も見えている。我が今冬の雪山歩きは、ずぼらばかりで5℃以下さえ、ここの温度計を見ていない。笑

     
稜線上の樹々が白さを広げてきたようだ・・     ポンポン山-1℃だったがふるえた・・

2/24ヤマシロネコノメ ホームヘ 3/1西山のヤマナラシ





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